見出し画像

僕らはみんな褒められて伸びる子 - ロンドン封鎖日記 第2波 #4

甘い甘いミルクで育つ。

なんだか物凄いスピードで11月が消し飛んで行きました。例年であれば年末の慌ただしさが増してきて、イベント事も増え、年末年始のホリデープランで忙しなくなる時期ですが、ロックダウン下のロンドンは相変わらずの静寂です。

ボリス氏の最新発表によれば、12月のロックダウン延長は無しで地域別の警戒レベルシステムに戻るようです。しかし北部では最高警戒レベルで事実上ロックダウン継続、ロンドンはTeir2で商店はかろうじて開けられます。クリスマスのみ「エクスクルーシブで3バブル混合までなら可」だとか。

いや逆にマジか。死者数感染者数共に順調に伸びてますけど。ていうかもはや誰も警戒レベルとか気にしてないし。そもそも何がしたいのかようわからんし。そのホニャララTeirシステムにしろ追跡Appにしろ、尽く役立たずでここまで来てますし。

今月に入って「ワクチンほぼ完成でイケそう」的なニュースが錯綜し始めてますが、それすらなんかイマイチ勘繰ってしまいます。ワクチン開発とか通常10年プランな筈なんですが、それを7〜8ヶ月で成し遂げて、更にようわからん集計方法で「7〜9割の効果!」とか唐突に言われても、むしろプロパガンダ的薄気味悪さすら感じます。いや間違いなく朗報なんですよ?なんですけど、タイミング的にも大衆のガス抜きというか、希望を与えてクリスマス鬱回避的な、なんとなく打算的胡散臭さが漂います。世界各国ワクチンレースみたいになってきてるし、B級映画とかだったら「俄かワクチンでウイルス凶悪変異〜」とかのパターンのやつやん。ぬか喜びから突き落とされる展開多過ぎて完全に不信になっちゃってますね。つーかそれ以前に、ワクチンできたところでもうこの焼け野原どーすんの的な手遅れ感もあったりとか。

まあ何にせよ年内に状況が激変するような事は無さそうです。さようならクリスマス。ロックダウン2はこれで終了ですが、本格的な冬はむしろこれから。年が明けても3月まで続きますよ〜。

即席承認中毒

さて前回エモ反応現象群について書きながら、その根底にあるのはやっぱりコレだよなあと思っていたもの、それが「承認欲求」です。世間でこれが言われ始めて早10年経つ訳ですが、未だ現在進行形でSNSの魔力に飲み込まれて身を持ち崩す人後を立たず。改善どころかむしろ悪化しているような気すらします。

このソーシャルメディア大爆発の評価経済社会では、即席承認ドラッグ「Like」が中毒者を量産していきます。快感物質を最速ルートで追い求め、より強い快感を得るためにエスカレートしていく、承認ジャンキー全盛時代です。

例えば容姿に恵まれた人が、その資産を遺憾無く活用して、いとも容易くインフルエンサーになっていく。それがちょいチラ見せでもしようものなら破壊力は絶大、存在するだけで承認受けまくりのインフルエンサー究極形態「アイドル」と呼ばれる存在に至ります。こういった特異個体の偶像崇拝はクレオパトラ時代からの伝統的構造ではありますが、偶像は人格を含まないため現実から乖離していきがちです。賞味期限切れる前にマネタイズ頑張らないと破滅人生直滑降。若年層にとっては超強力依存の危険ドラッグともなり得るので笑ってもいられません。

「美男美女が露出高めで、流行りネタに乗っかって特殊技能を披露する」という全部載せ、時流に媚び尽くしたYoutuberがまんまとバズる、まさにジャンキーエスカレーション。その行き着く先はどこなのか。

幸福には承認が必要

しかしドラッグは結局ドラッグでしかない。即席承認は所詮即席なのです。イージーカムイージーゴー。チヤホヤされるだけで幸せだったアイドル願望なんて10代まで、成長するとそう単純ではなくなります。ちゃんと承認されないとちゃんと幸せになれません

例えば「億万長者になったのに人生が虚しい」みたいなのを見聞きする事があります。僕は億万長者になった事が無いので定かではありませんが、数字や物質的成果を追い求める事が必ずしも幸福をもたらさないという事は、経験則でもなんとなくわかります。ひとり砂場ですげーお城作ったのに、褒めてくれる人が周りにいない虚しさ。どんなに才能がある人もひとりぼっちでは幸せになれない。人間が幸せになるためには自身をちゃんと承認してくれる他者の存在が不可欠なのです。

「好き」と「得意」と「需要がある」が全て揃った時、それはあなたの天職となる、といわれます。やり甲斐とか生き甲斐を感じられず虚しいという人は、そのどれかが欠けている可能性が高いです。例えばパンを焼くのが好き過ぎて毎日焼いてたら、パン屋を開くまでになり、それが地域の人気店になる。好きでやってたら上手になって、それが他者への貢献となり感謝される。それが本来の職業や人生のあり方だった筈なのです。

自分の人格と能力が、尊厳を伴って他者から承認される。あなたがいてくれてよかったと。ありがとうと言われるために生きている。ちょっと臭いですが、でも究極的にはそれが幸せな人生の全てなのです。シンプル。

褒められて伸びる子

他者に承認されたいという気持ちは、マズロー先生も言う通り、人間のかなり根幹から来る本能的欲求です。群れに貢献し承認されることでドーパミン大放出。社会性生物が集団で生きるために、基本OSに組み込まれている機能です。タスクとリワードで充足感ゲット、ゲーミフィケーションにも通じます。承認されればより低次の安全欲求や所属欲求もついでに満たされます。

つまるところ僕らはみんな褒められて伸びる子なんです。そもそも叩かれて伸びる子なんていません。叩かれても頑張る子は、頑張った末に褒められるために頑張るのです。そして頑張ったところを褒められたい。表面上のどうでもいいとこ褒められたって大して嬉しくありません。自分という人間の本質的な部分を肯定されたい。尊重されたい。必要とされたい。愛されたい。そういう風に出来てるんだからしょうがない。ドラッグで一瞬キモチよくなれたとしてもこればっかりは誤魔化せない。幸せになりたいならそこを目指すしかありません。他者やコミュニティに貢献し、ちゃんと承認してもらいましょう。叩くのをやめて、他者の功績を誉めてあげましょう。そうすれば幸福な人が多い社会に近づけます。

僕らはみんな褒められて伸びる子だけど、すぐにズルして楽しようとします。でもズルして褒められても、あんまり嬉しくないのです。


xx










いつの世も、アーティストという職業はファンやパトロンのサポートがなければ食っていけない茨道〜✨