雑文(02)「ジェリービーンズ妻」
ジェリービーンズばっか食べてると、そのうちジェリービーンズになっちゃうぞ。
って、おれが言っても、妻は、ジェリービーンズばっか食べて、ジェリービーンズばっか食べるのをやめない。
ジェリービーンズなんか栄養価ないぞ。
って、おれが言っても、妻は、ジェリービーンズばっか食べて、ジェリービーンズばっか食べるのをやめない。
ジェリービーンズ、ジェリービーンズ、ジェリービーンズ。
ジェリービーンズの味なんてどれも同じだろ?
って、おれが言っても、妻は、ジェリービーンズばっか食べて、ジェリービーンズばっか食べるのをやめない。
ジェリービーンズのどこがうまいんだ?
って、おれが言っても、妻は、ジェリービーンズばっか食べて、ジェリービーンズばっか食べるのをやめない。
ジェリービーンズ、ジェリービーンズ、ジェリービーンズ。
お茶碗にまっ白なジェリービーンズが盛られてある。
お茶椀にまっ茶なジェリービーンズがたっぷり、まっ白なジェリービーンズがちょっと、まっ緑なジェリービーンズがちょっとちょっと。
横長なお皿にまっ紅なジェリービーンズが三列並んであって、まっ銀なジェリービーンズがまっ紅なジェリービーンズに沿うように一列並んである。
ジェリービーンズが夜ご飯か?
って、おれが言っても、妻は、ジェリービーンズばっか食べて、ジェリービーンズばっか食べるのをやめない。
ジェリービーンズ、ジェリービーンズ、ジェリービーンズ。
おれは腰をあげた。向かい側にすわる妻の、ガラス瓶に詰まったカラフルなジェリービーンズを食べるのをやめない妻の、おいっ聞いてんのか? って、おれは、妻の、なで肩に手を置いた。
ジェリービーンズ、ジェリービーンズ、ジェリービーンズ。
妻は、ジェリービーンズのように崩れて床に散らばった。
ジェリービーンズ、ジェリービーンズ、ジェリービーンズ。
まっ肌なジェリービーンズがほとんどで、たまにまっ黒なジェリービーンズがちょっと、さらに少なくまっ赤なジェリービーンズがちょっとちょっと、妻の、カラフルなジェリービーンズが床に転がってある。
まっ透なジェリービーンズがちょっぴり、おれの、めじりからこぼれた。
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