雑文(32)「チックとタックの追いかけっこ」
チックがお兄さんで、タックはその弟だった、ふたりはとても仲よしでいつもふたり一緒に同じときを刻んでいた、ただ兄のチックは外周だったから弟のタックよりも忙しく、不平は言わないもののちょっとタックを羨んでいた、
ある日チックはタックに提案する、いっかいぼくらの役割を変えてみないかと、その提案にタックは、おもしろいね、それと乗ってきて、ぼくら兄弟はその役割を交代することになった、はたらき者のチック、のんびり屋のタックがその役割を交代したら、世界は凄まじい速度で、具体的にはいままでの60倍のスピードで世界の時間が進んでいった、いままでの1年は、いままでの尺度でいうところのだいたい6日で過ぎ、人類はだいたい1年半から長くても2年くらいしか生きられず、慌ただしく時間が過ぎさるなかで人々は生活を営み、そしてその短い人生が終わった、
チックとタックはあいかわらず時間を刻み続けていた。
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