『ノマドランド』を観た。

もうずいぶん時間経ってしまったけど、観たことをきちんと覚えておきたくて。
もう一度見たかったのだけれど、ちょっとバタバタして見られなかったのが残念。

世の中の評判とか、そういうのは割と信じているので、自分が観に行きたいと感じた映画と評価が高い映画を選択肢に入れて、何をみようか考えるタイプなのだけれど、これは完全に前者。
予告を観た段階で、絶対観るのだと決めて、観た。

強く思ったのは、一人で生きること、誰かと生きること、年齢を重ねることについて。パートナーと死別してからの主人公の生きざまや、様々な事情で定住せずに暮らす人たちが、人生のある一点で出会って、別れて、そういう繰り返しが生きることだなと。常時一緒にいることやお互いの住処を明確に知らない同士であることで、彼ら彼女らの別れは、さようならではなく、またどこか(路上)でという再会を含んでいる。けれどそれは細い絹糸のような頼りない未来にも見えて、こういう時代、状況で、会いたい人に会えずにいる自分自身に少し重ねてしまって、映画を観ながらずっと、会いたい人が頭の中から離れなくなって、涙が止まらなくなってしまった。

映画を観ながら誰かを思い出して、語られる言葉やスクリーンに映る映像がずっと涙腺を刺激し続ける、こういう経験は、初めてなんじゃないだろうか。

映画館で、もう一度観たかったな。それだけが心残り。

この映画を観ている間中思い出していた親友も、この映画を観たいと言っていたけれど、観ただろうか。
彼女も忙しいのと、私が無精なのとで1か月くらい連絡していないけれど、そろそろ連絡してみようか。
この先どれだけの人と出会うかわからないけれど、今の私にとっての最強で最愛の友人に、私は後何度会えるのだろうか。

都会で頑張っている友人たちは、それぞれに元気でいてくれるだろうか。
時々、ドラマや映画で見つけると、とても誇らしい気持ちになるよ。過去にすがっているように思われてもかまわない。だって、その過去があったから、今の私がいるのだから。みんなバラバラになって、今もエンタテインメントの世界にいるのなんて片手で数えられるくらいかもしれない。それでも、あの時一緒にいた時間は、若くて、痛くて、バカだったけど、まっすぐだった。

思い出くらいは、キラキラしていても良いと、今は思える。そして、自分に対しても、誰かに対しても、愛や信念や強さを持っていたいなと、そう強く思った。

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