映画『ライアー×ライアー』を観た

※ネタバレを含みます。

動機は【森七菜】

原作漫画も読んだのだけれど、それもこれもすべて、【森七菜】という女優さんに惹かれたことから始まった。
はっきりと彼女を認識したのは、NHKの番組で、ホフディランとスマイルを歌っているのを見た時で、驚くほどにまっすぐに届くその歌声に驚いて、なぜか涙が出てきてしまって、なんと素敵な女の子だろうと思ったのだ。

気になったら調べられるとても良い時代を生きているので、とりあえず、主演していた連ドラを観たところ、とても可愛らしくて、パワフルで、予想のつかないお芝居をする女優さんで、これはすごいなと。しかもまだ10代なんて。更に好きになってしまった。すぐに女優を好きになる、かなりチョロいタイプとはいえ、40も間近のおばさんの心を鷲掴みにするとは。恐るべし【森七菜】。

前置きが長くなったが、そんなドはまりしている【森七菜】を観たくて、映画館に足を運んだ。
正直、この映画を40前のおばちゃんが一人で見るのはハードルが高い。テレビなどで番宣を見るたび、アイドル映画っぽい要素を感じてしまうので、ターゲット層と自分の乖離を認識せざるを得ない。あぁ、混んでいて、周りが女子高生ばかりだったらどうしよう。そんな不安を抱きながら、それでも私を映画館に向かわせたのは、ひとえに【森七菜】のとりこになってしまったからなのだが。
結果、私は今後もしばらく【森七菜】を見続けるのだろうという結論に至る。

※以降、ネタバレあり。

原作漫画と映画

大前提として、私は原作を読んでいる。そのため、どこをどのようにピックアップして映画として成立させたのだろうかと、若干懐疑的にならざるを得ないところから入ったのだけれど、それはほぼ杞憂に終わった。
エンドロールをフルに使って、湊と透が付き合っていることを親に伝えるシーンや結婚式まで入れたことで、ハッピーエンド感がかなり強くなったのは、原作読者の私にとっては納得のいく着地というか、動物園で手をつなぎ、今後の二人の幸せを想像させるだけでは、ハッピーだけれど物足りなさを感じてしまっただろうなと思う。

印象に残ったシーンについて

印象に残ったシーンはいくつかあって、まず、烏丸と湊のホテルのくだりは、クライマックスへ向かう流れが加速していく、ジャンプの前踏み込みとして、とても好きだった。

次に、小関さんも何かのインタビューでおっしゃっていたが、玄関入ってつっ立っている透のシーンは、後からのネタバレも含めて可愛いシーンだった。

ただ、それらよりも印象に残っているのは、みなと透が別れた後、みなが再び透のアパートを訪れ、帰るシーンで、みなに完全にフォーカスしている後ろの透が飛び跳ねながら手を振っているところ。
何気に素足(靴を履いていなかったはず)なところも含め、透役の松村北斗さん好きには『カワイイ!!!』となるシーンなのだと思う。実際、後ろで見ていた女子高生二人組は盛り上がっていたし(映画を見ながらしゃべることについては置いておいて)、確かにとても可愛らしいとは思うのだが、ここは湊が、自分でもう一度嘘をつくと決めてみなになった最初で、湊が傷つくことを覚悟した最初の一歩だと思うし、その後、ひと時とはいえ、みなと透の幸せな時間が訪れることを思うと、ギャルの恰好をして、みなはすごいなと思う湊が悲しくて、切なくなってしまった。

共演の俳優さんたちの印象

俳優さんたちは、とても若くてフレッシュなのに、今の若手の方々は、上手だなと思う。烏丸役の小関裕太さんの笑顔が、全体的に嘘っぽくて良いなと思いながら見ていた。嘘っぽい笑顔は、ちょっと悲しそうな雰囲気を纏うから、好きなのだ。この映画の烏丸君は、ものすごくいい人であることが、良かったと思う。自分が嫌な奴だと自覚できている、良い人。

ダブル主演のもう片方、透役の松村北斗さんは、パーフェクトワールドの印象が強くて、というか、それしかなくて、その時、いい役者さんだなーと思った覚えはあって、可愛らしいな、ジャニーズの方なんだっていう認識をしていて、それ以上でも以下でもなかったのだけれど、この映画の、みなといる透のキラキラからの別れてどん底、湊に対するそっけなくてクール、素直でなくてちょっと意地悪、周りからイケメンだと言われる人の説得力など、あ、ジャニーズの方だ、自分の見せ方というか、カッコいいを意識的にできる方なのだなというい印象を持った。朝ドラも決まっているとのことで、以前のドラマと今回の映画で、俳優さんとしての興味が沸いた。
ジャニーズの方、特にデビューされてる方は、ほとんど単館の映画とか出演されない印象だし、ファンの方がたくさんいらっしゃるから難しいのだろうけど、単館でしか公開されないような、コアな映画で見てみたいなぁと思わせる方だなと。
アイドルの印象がなさ過ぎたので、後に、SixTONESのYouTubeチャンネルを見てみるとめちゃめちゃアイドルで、驚きはあったが合点がいった部分も大きく、ジャニーズの方の見せ方の上手さは見られることに対する経験値なのだろうと、常々考えていたことが当てはまる方がここにもいたか、と感じた。


そして、女優【森七菜】の力よ。パワーよ。

確か仲野太賀さんが、「情報量が多い」みたいなコメントをされているのを読んだ気がするのだが、本当にそういうイメージ。なんというか、7色くらいの色がバーッと降ってくる感じ。
その小さな体のどこにあるんだ、そのパワー。
セリフの言葉通りの意味と、それとは違う想いや気持ちと、表情の動きや手の表情、体の動き、全部がちょっとずつ、又は全く違う言葉を発している感じがして、全部わかりたい(想像だけれども)と思うけど、無理だわみたいなあきらめを同時に感じる。ちょっとオーバーに見える気がしても、納得できてしまう、その力はどこから来るのだろう。
このセリフをこんな風に、こんな顔で、こんな動きで言うのか!という驚きを次々とくれる、でも、納得させられる、本当に不思議で魅力的。
まだ全然わからないから、もっと見たいと思える、それが、今の私にとっての女優【森七菜】なんだと思う。
ここから、過去の出演作を追っていく自分が容易に想像できる。
同時に、とっくに足を洗ったとはいえ、ほんの少しだけ演劇の世界に身を置いていたことのある身としては、共演者はものすごく楽しいだろうけれど、それ以上の恐怖を突き付けられるのではないか。俳優は、同じ年齢なら、圧倒的に女優の方が強いといつも感じているのだけど、彼女の相手役を同じ年の俳優がこなすのは、ハードルが高いだろうなと。今回の相手役、透、烏丸二人とも、実年齢では6歳の差があり、二人とも幼く見えるわけではないのに、更に言うと身長の低さや湊、みなというキャラクターも相まって、幼さが強調されてしまいそうなのに、画面越しに違和感がないのは、女優のパワーなのかなと思ったり。

結果、純粋に楽しんだ

総じて、原作を読んだ漫画がラブコメになったら興味のある女優さんが出ているからというだけの認識だけで観に行ったのに、とても面白く、目的の森七菜さん以外にも興味が沸く映画だった。
原作ファンを裏切らない、映画としてとても素敵な作品だなと感じた。
そう、戦隊ものの好きな成人男性がいるように、漫画原作の、明らかに若い子向けのラブコメのように見えても、アラフォーでも楽しめるのだ。タイトルやあらすじだけでは確実に見なかった作品を見る機会を、女優【森七菜】に与えられ、とても幸せな気持ちをもらった。それが、とても素敵なことのように思える。

ロケ地に対する個人的な思い出

全く関係ないのだが、烏丸君との待ち合わせ場所がWWWの前で、なつかしさが込み上げてきた。何度か足を運んで、素敵な音楽を与えらえた場所。関東圏に住むことは、きっともうないので、もう訪れることはないであろう場所。
エンタテインメントは生きていくためにどの程度必要かは、まだよくわからないけれど、幸せな思い出を作ってくれた場所なのは間違いのないこと。それを思い出せて、良かった。
エンタメや芸術的なものから、以前に比べればかなり遠くに来てしまったし、距離ができてしまったけれど、それでも、そういった場がこの時世を耐えて、残っていることが、とてもうれしく思った。私はずっと、エンタテインメントに助けられてきたから。

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