ソーシャルエスケイプ
微振動を続ける視界が青く染まって、僕は小鳥の群れを追いかける。
数多のさえずりに耳を傾けたところで幸福になどなれやしないのに、見失うのが恐ろしい。
おいていかないでよ。
僕の声はただ素通りしていくばかりで誰も気にもとめない。
閉ざされた扉の向こうの悪魔は夢の中で肥大する。
こんなことなら扉があることにすら気づかなければよかったのに、向こう側から微かに聞こえる笑い声の妄想が首を絞める。
夕焼けに照らされた街はキラキラ眩しくて全てが嘘のように思えた。
顔の無い住人が灯す明かりは火種、今日もどこかで燻って焦げたにおいを漂わせている。
全部燃えてしまえばいいのにな。
僕は1人、額縁の外側から街を素通りしていく。
綺麗なもので取り繕った内側の醜さを誰もが見ない振りをしている。
気持ち悪いんだ、僕も君もみんな全部
本当はわかっているくせにうつくしいと言い合うのは幸せですか。
僕は指先で世界を見る。
画面の中の君が笑っている。
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