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そのジーンズのポケットの中身まで全部出せ

無職になって一週間経った。

引っ越し日が決まり、荷造りに締め切りができた。少しずつ不要品をまとめつつ、保育園探しや年度途中の申し込み、来年度の入園申し込み、そして忘れかけていた元同僚からのイラスト作成の依頼など、同時に複数のプロジェクトが動いている。
いくつもの締め切りを抱えるのは、お腹がそわそわする。


物事の管理が苦手なわたしは、いくつかの仕事を掛け持つSE時代に頭の中が真っ白になることがときたまあった。その日も入社半年足らずで連日の深夜残業に休日出社が重なり疲労困憊していた。ぼんやりしたわたしを見かねたのだろう、仕事中に「おつかれ!元気?」と先輩が通りすがりに声をかけてくれた。その笑顔を見たら涙が止まらなくなったのだ。

慌てた先輩に別室に呼ばれて「仕事が片付かない」とベソをかくと、先輩が紙とペンを持ってきてわたしの仕事をひとつずつ整理してくれた。涙が止まって、先輩の整理してくれた順に仕事を進めた。残業時間は変わらなかったけど、それでも今自分がやっていることのゴールや重要性がわかっているだけで、心が晴れた。

だから、もう分かってる。複数のやるべきことが重なって頭がポーンと白くなったとき。ふとしたときに「もう逃げたいな…」と思うときには、今抱えているものを全て紙に書けばいいんだ。

ここに書いたのはぜーんぶ、今のわたしのための文章なのだけれどね。
さて、抱えるものを全て書き出してみようか。

頭の中、バッグの中、ポケットの中まで全部手を入れて。引っ張り出して眺めてみる時間にしよう。

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