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夢だった教師を辞めた理由

……こんな感じのタイトルにしてますが、仕事が辛かったとか、教育現場の現実に絶望したとか、また何か自分が粗相をしたとか、そういった類のものではありません。
こんなことがあって教師を離れる人がいるんだ、ということを知ってもらえればと思い、この内容をしたためた次第です。

教師を志したのは高校2年生のときでした。
当時の国語科の担当の先生の授業が非常に面白く、
こんな風に面白く好かれる先生になりたい、と思ったのがきっかけです。

大学の学部は国語科の教員免許を取得できるところへ進み、
教育実習を経て4年間で無事に取ることができました。

しかしいきなり教員になるのも社会経験が乏しくなってしまうと感じた
ため、一旦は一般の企業に就職。印刷系の会社で1年半ほど、その後出向で広告系の会社で2年半働きました。

その期間に着々と準備を進め、そして2020年4月に晴れて都内共学の私立高校の講師として勤めることになりました。クラス担任としてではなく、まずは数年間授業のみを行って、もし空きが出た+本人希望があれば今後クラスを持てる、というような契約内容です。
どのような雇用形態であれ、勤め先が決まったときは嬉しく、またようやく転職活動が終わったということもあり、肩の荷が下りたような気持ちでした。

ベテランの教員はなかなか辞めることもないため空きが出ることは少ないのですが、まずはクラス担任を目標に、できうる限り精一杯日々の授業や質問対応、担当外の雑務も行っていました。ただ、2020年はコロナの関係もありリモート授業が多く、正直あまり教員としての成果というか、生徒指導等も含め上から評価を受けにくい状況でした。

そんな中でもある程度もがきながら工夫しているような姿が国語科の主任の目に留まったのか、勤務開始から10カ月ほど経った2021年2月頃、校長と教頭に呼ばれ、話を受けました。内容としては来年度からクラス担任として働かないか、というもので、運よく声がかかったと思い非常に内心舞い上がっていました。

しかし同時に大きな不安も。授業のみの講師であれば基本的には自分の授業がある時間にさえ来ればよく、また終わり次第すぐに帰宅できたため、早い日は午前中に、遅くとも4時ごろには家でくつろいでいました。
そのため妻の方が帰りが遅く、家事はほとんど自分が行っていたこともあり、もしクラス担任となると勤務時間が大きく変わり生活に影響が出ると感じました。
クラス担任=常勤教諭の場合、校長・教頭には勤務時間は8時~17時と言われましたが、実際7時過ぎにはもうほとんどの先生が出勤していて、また19時に学校は閉まるものの、その後深夜まで自宅で働いている(授業準備やクラス関係の資料作成など)先生がほとんどだと聞いていたからです。

そのため嬉しく思う反面即答ができず、一旦持ち帰って改めて回答する形としました。ただ、自分としてはまたとないチャンスであったため、妻にはポジティブに相談し、家のことはお互い頑張ろうということで、常勤教諭の話を受けることとしました。雇用形態としては三年は契約教諭の形で、それを終えれば専任(正社員の扱い)となる内容でした。周囲に聞いても全員その流れだったということだったのでこれは特に疑問には思いませんでした。

そのような流れで、思っていたよりは早く2021年4月からクラス担任として勤務を開始しました。本文の主意ではないためある程度割愛しますが、講師のときとは比べ物にならないほど忙しい日々でした。

高校一年生のクラスを持ったのですが、生徒指導はもちろん、クラス内のいざこざやSNSへの不適切な投稿に対しての対応など、ありとあらゆる方面で時間が削られ、朝7時に出勤し、気づけばもう夕方というような毎日でした。しかも土曜日も毎週授業のある学校であったため、休めるのは日曜日のみ。その日曜日も月曜日の準備をしていたような状況です。

……というような世間一般でよく言われているような教員の働き方でしたが、恐らくなんだかんだ面白い仕事ではあったかなと思います。ティーチャーズハイとでもいうのでしょうか、若干おかしくなっていた気もしますが、つらいから辞めようとはなっていませんでした。普通に何年もそこで働くつもりで考えていました。

そのように一年働き、2022年4月からはまた新しいクラスを持つことになり、担任二年目としての仕事が始まりました。

二年目ということである程度視野も広がり、余裕を持ってクラス運営が進められました。自分で言うのもアレですが、明るいクラスで、生徒からは普通以上には好かれていたのでは、と。

そんな中、2022年7月に教頭+教務主任(学校でNo.3の立場)との面談がありました。教員の状況把握(急に辞めてしまうかどうか)のためか面談はよくあったので特に気にせず話しにいったのですが、そこで急に、「22年度で契約を打ち切る」ということを言われました。

正直、言われた瞬間は意味が分からず、「え?いやいやなんで?嘘だぁ~」と口から出そうに。一年ちょっと働いた中で高評価を得られるような成果があったわけではなかったものの、特段落ち度も無く、標準的な働き方をしていたと客観的には判断していたからです。

「えぇ、マジで?」「来年からどうしよう」「明日からやる気でるかな」といった色々なことを考えながら続けて話を聞いていると、どうやら校長の独断で決めたとのこと。また校務分掌(学校運営のために教員が分担し行う仕事)では教務主任の下で動いていたためある程度関係性はあり、そのおかげで今回の人事については反論してくれたみたいでした(本当に反論したかは不明ですが)。

流石に気になったので校長がなぜそのような判断をしたのか聞いてみると、「担任になるかどうかの話をした際、即決しなかったところが引っ掛かっていたのかも……」や、「あんまりガツガツしたタイプじゃないから、そういった部分とか……」といった言葉が教頭・教務主任から出てきました。

若干表現が雑かもしれませんが、色々と総合すると「校長に気に入られなかった」からということです。

自分も勤務してから知りましたが、私立高校は思った以上に理事長や校長の発言が全てで、周囲の先生との関係性にもよりますが、基本的には誰も逆らえません。長年勤めた専任教諭も新しい校長(前校長の息子など)の意に沿わなければ簡単に辞めさせられる(そういった方向に仕向ける)そうです。

誰もがドラマに出てくるような悪徳校長というわけでは決してないですが、自分のイメージした学校経営にそぐわない場合、簡単にクビにして、また新しい人を入れる、というようなことだそうです。

また更に色々と書いてしまうと、契約教諭→専任となると、給料が割と上がります。また正社員扱いなので、一応すぐにクビにはできません(自主的に辞めてもらうような方向に話す、など……)。

そういった理由もあり、余程気に入った者以外の若手先生は三年と言っておきながら、その間にクビにすることが多々あるそうで、現に自分以外の20代の担任の先生はほとんどが2年以内にいなくなっていました。

ちなみに三年契約と思っていたのですが、書面をしっかりみると単年契約になっていて、三年を待たずに契約打ち切りにできるような形でした(これに関しては勘違いさせられた自分が悪いのですが……)。

色々つらつらと書きましたが、家庭の事情も加味して、結果自分は22年8月末でクラスの子たちに別れを告げました。

運よく転職活動がうまくいって9月からは一般企業で勤めることになり、23年11月現在もそこで働いています。教員から一般企業への転職については、また別のタイミングで記事を書ければと考えています。

正直、今は働き方としてかなり楽になりましたが、教員の方が面白味はあったと感じています。

もし現在学生で教員志望か、もしくは自分のように中途の形で教員を目指す方がいらっしゃれば、この内容が参考になると幸いです。



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