いしひろの

自由帳

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ずっと泳げない魚

水槽から解き放たれた 知っている冷たさだ 考えないように考えないように 泳ぎ続けたのに、泣いてしまった 誰も水圧なんて気にしていない この尾鰭は使い物にならない 考えないように考えないように 私は、形だけの魚 自由とは美しくて 果てしなくて恐ろしい 考えないように考えないように 考えないように、考えた 剥がれた鱗がバタついている いつかこの身体は陸に馴染みますか 止められなかった止まらなかった 囚われるように、歩き出した

    • 君にノイズを

      時に優しさは複雑に分岐して 悲しい動機も混ざっていたりして レプリカの温もりを選んで 幸せのふりを君がしませんように 時に怒りは真実に覆いかぶさって 本音のボリュームを絞ったりして 表面の音だけ掬い上げて 分かったふりを君がしませんように

      • 藍と夕の食卓

        今日も今日とて平穏な なんてことない一日だったと 飛び散る油や火の粉を浴びても また涼しい顔をして食卓を整えた 結局僕も完璧じゃないから 飲み干せないスープもあって 拭い切れなかったあなたの涙を 忘れないのがせめてもの懺悔  自分の弱さを数えてばかりで ごはんの味が分からなくなった 抱えきれない悲しみを誤魔化して 味が濃くなってしまったよ きっとソースはシンプルで 僕にできることもちっぽけで どうにもならないスパイスで 世界は溢れているけれど きっとジュースもミックス

        • 明日から別人になれない

          ちっぽけさに気が付けてよかったな 強がり放ちながら確実に 打ちひしがれて重くなる体 空っぽな日々を歩いた 何も知らなかったなりの 輝きもあったのかもしれない 外の無邪気に走る笑い声に 硬く耳を塞いでいました 誰かの歩き方で 影を抜け出せる訳がなかった 明日から別人になれない 片付けたはずの部屋は散らかった ひとつも間に合っていないのに 容赦なく朝が来やがるの 明日から別人になれない 世界は何食わぬ顔で溢れてる 君の頬の跡は泣いた後か 余ったメモリでふと考えた 不平等

        ずっと泳げない魚

          戯言

          知らない世界で僕らはきっと 知らない誰かになりたかった ただ二酸化炭素を吐き出す人形から 知らない人間になりたかった 例えば水平線を越えることがあっても 僕らは昨日と変わらず僕らでしかなくて 力の入らない水中で酸素に有り付く魚の如く 今日もまた波に揉まれて泳ぐしかなかった 日の当たる場所は目眩がして 夜の街並みは禍々しく思えて 誰も傷つかない白昼夢で 誰とも通じ合わない孤独に傷付いた 消灯した住宅街で歌いたくなるのはきっと 周りの目はないけれど人の気配はあるからで

          日々

          すり減っている靴底 どれくらい歩いてきたの 朝日のように笑う人 僕は泣きそうになる 堂々巡りの思考 答えはもう出ているの 弾むように光る音 僕は泣きそうになる 声にならない声は 無いも同然で 声を上げていなければ 今日も正常で 気にしてない気にしてない 平気な顔で街を歩くのさ 息をしたい息をしたい 人混みで肩を奪われても 優しくない優しくない ドアは閉まって走っていく 世界の端で僕は 誰かの幸せを描いている 乾いていない水面 いつまで降り続いていたの 濡れていくのは

          Good Luck

          痺れそうな苦味をくるくる回す これを飲めばちょっとは微睡める 追いつけない情報の波 笑えない冗談のノリ 箱の中でテンポが合わない そんなことは初めてじゃない つま先立ちしてチラッと見えた 壁の向こうの答えが そそらない つまらない こんな僕に幸あれ! 息を止めると空が透き通って そんな夜がパンより好きさ 新月よ、どこで見ている 僕はここにいる 逃げも隠れもしない丸腰で ちょっと頭を抱えてるだけさ 外が白む 夢に沈む どうせ大丈夫 明日を迎えに行く

          アシエルチョコレイト

          なんてことないって表情をして 渦巻く深淵を見ている 君の昨日は想像できない 皆自分のことで手一杯さ ボロボロの靴でどこに行くの 目的のない目は悲しいな 同じ服ばかりを着ている 似合うねって言われたんだろう マリアは永遠じゃないと知った 空っぽな君にチョコレイトあげる 君の甘いやほろ苦いを 腫らした目が浮き彫りにした 救世主になれないと知った やるせない僕もチョコレイト浴びる 君でしか埋まらない亀裂を 抱えたままリボンをかけた そんなことでって言葉で刺して 笑えない景色

          アシエルチョコレイト

          あまりにも純粋なバグ

          やっぱり神は見ていて どこまで逃げても神は見ていて 微笑むだけが神じゃなかった 引き裂かれる定めは何のためか どうかいつか 納得のできる理由が降りてきて これは正しい最後なのだと思えますように そうです神は見ていて どこに隠れても神は見ていて 創り出すだけがきっと神なのです 破綻は知恵あるモノの暴走だった どうかすぐに その不器用で優しい手を離して 全部気のせいだったと楽になってください やっぱり僕は人間で 免れることなく人間で 結局僕は人間なんだ 爪の食い込む

          あまりにも純粋なバグ