見出し画像

クィア概念で学校を早急に見直す

本年(2023年)の10月12日、生殖機能をなくす性別適合手術をせずに、戸籍上の性別変更を申し立てていた鈴木げんさんに対して、静岡家裁浜松支部は性別を女性から男性に変更することを認めた。
生殖腺の除去手術を必要とする「性同一性障害特例法」の要件を「憲法違反で無効」とする判断を示したのである。

多様な性を認める社会にまた一歩近づいたことを感じる。

そしてそれとともに、学校も急いで変わる準備を始めなくてはならないと考える。
学校制度は性別分化を前提としており、その概念や文化が社会においてより強固なものになるための装置としての機能も有しているからである。

『現代思想vol.51-4, 2023,青土社』において、杉田真衣氏が女性同性愛者とトランスジェンダー男性の二人の性的マイノリティに対して聞き取りを行っている(「性的マイノリティの若者の学校体験とその後」)。
杉田氏によると、二人は「幼少期から悩みはあったものの、中学・高校での性別分化を強調する制度文化や生徒文化のあり方に悩まされた」という。その状況を一人は、「男子と女子がパカッと分かれた」と表現していたそうである(前掲書p.41)。

「男子」と「女子」を峻別することは、小学校においても同様であると言える。
例えば、各種名簿の作成や体育、行事等での並び方等の形式的な方法はもちろん、学級内・学校内において一定の求められる「女の子像」「男の子像」が存在している場合が少なくない。
また、男女別の制服が指定されている小学校もある。

こうした性別分化の指導方法や学校内の文化をどう変えていくのかを早急に考える時がやってきたと言える。

さらに、トイレや体操着・水着の更衣のための場所の区別をどうするのかといった検討事項もあるが、これらについては学校の枠を超えて社会全体でその制度について議論をする必要があろう。

そこで、まずは先に見た学校内の改革や地域・教育委員会レベルでの検討が可能なものについて、早急に着手すべきである。
「該当する児童生徒が登校するようになってから考えればよい」という姿勢では、遅すぎだろう。
一歩間違えれば、その変化を敏感に察知した児童生徒による、結果としてのアウティングに繋がる恐れがあるからだ。
何よりも、クィアに対する理解を子供に育むことに「早すぎる」ということはない。
学校全体の性別分化についての文化をつくりかえる必要がある。

学校によっては、既に十年以上前から「男女混合名簿」や「男女混合の身長順の整列の仕方」が実施されている。
「タブレットや生成AIの導入」は遅くてもいいが、どの子にとっても過ごしやすい学校への変革は遅れてはいけない。