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算数の力の育て方 爆笑しつつ「ともなって変わる量」を具体的に

算数は、難しい。
数字のは抽象度が高いからであろう。

「1」の意味ですら子供には捉えにくい。
りんごが「1個」やひもの長さが「1m」という表し方ならまだ理解できても、「1が3個ある」と言うと顔を曇らせ、「1当たり量」などと言ったなら、途端に頭を抱えてしまう子が多い。

だから、「わり算」の意味も理解できていない子が少なくないし、「割合」になると、機械的に問題を解くという子がどっと増える。

「ともなって変わる2つの量」の学習も理解が困難な内容の一つだ。
2量の関係を表す表を、縦に見たり横に見たりすることで、変化の規則性を発見することに苦労する子供たちがしばしば見られる。
だが、それ以前の理解として、「ともなって変わる量」という概念を掴めない子が少なくない。
兄弟の年齢の年ごとの変化を並べた表を見て、「ともなって変わっている!」と考えてしまう子供がよくいる。

そこで私は、「表」、すなわち「数字」に入る前の段階として、「ともなって変わる2つの量」を<体験に根ざした言葉>で表現させてみた
つまり、身の回りから「ともなって変わる2つの量」を探させたのである。
これが、大変楽しい学習になった。

教科書の例である、「時間が経つのに伴ってやかんの中の水の温度が高くなる」、「時間が経つのに伴ってろうそくの長さが短くなる」などを押さえた後、考えさせた。

子供たちは、
「使えば使うほど、鉛筆の長さが短くなる」
「書いた量だけ、日記のページの量が増えていく」
など、あれこれ頭をひねって発表していった。

爆笑編は次のものだった。
「年が経つほど、しわが増える」
子供たちは笑い転げていた。

「それは違う!」と皆から否定されたのは、
「日記を書くにつれ、作文がうまくなる」
であった。
「ただいい加減に書いてもうまくならない!」
と反対されたのだった。

「ほーっ」というため息が漏れたのは、次のものだった。
「時間が経つにつれ、人生が短くなる」

「教科書について言えることだけど…」と前置きして、
「学べば学ぶほど、勉強するものが減っていく」
と言った子もいた。

「教科書でないとしたら、学べば学ぶほど、逆に勉強することは増えていくものだ」
と、私は話したりした。

人生と学問の本質に少しばかり迫ることもできた算数の学習の思い出である。

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