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これがあや跳びと交差跳びの指導のポイント!

この「リフレク帳」で、三回に分けて、子供が縄跳びができるようになる指導の工夫について紹介してきました。
「155」では1回旋1跳躍の前回し跳び、「156」では二重跳び、「157」では後ろ回し(1回旋1跳躍)についてでした。
それらに続いて、今回の「リフレク帳159」では、あや跳びと交差跳びの指導で私が行ってきた方法を紹介します。

指導のポイントは「段階的」であること

これまでと同様に、指導は段階的に行います。
 その段階的指導の基本形は、次のものであり、今回も同じです。

①一定のリズムで跳躍を続ける練習
②体の前で手を打ちながら同じリズムで跳躍をする練習:「手叩きジャンプ」
③縄を思い通りに回せるように、手首をほぐすこと
 この時に、片手で二本の柄を持つのは扱いにくいため、切れてしまった(あえて切った)跳び縄があれば、大変役に立つ!
④縄を回すリズムに合わせて、ジャンプをする練習
この時も、片手で二本の柄を持つのは扱いにくいため、切れた(切った)跳び縄があればこの上なく便利!
⑤目標としている跳び方にチャレンジ!教師が「鏡」になって!

では、具体的な指導のポイントの説明に入ります。

交差跳び→あや跳びの順序で指導を 

一般的に、交差跳びはあや跳びよりも難易度が高いと考えられています。
確かに、ずっと腕を交差させて跳び続ける「交差跳び」に比較して、順跳び(ただの前回し跳び)がその動作の間に入る「あや跳び」の方が順跳びに近いわけですから、容易であると言えます。
 
ところが、まだあや跳びも交差跳びもどちらもできない子供にとっては、むしろあや跳びの方が、難しく感じるようです。
腕を交差させた時の手首の使い方が順跳び時のそれと異なるため、二種類の手首の動きを交互に繰り返すことを「頭で理解して跳ぼう」として、混乱してしまうようなのです。
 
実際、自分であや跳びを跳んでみると、「頭で考えながら跳ぶ」のではなく、何も考えずにただ一定のリズムでジャンプしながら、腕を交差したり開いたりと繰り返しているだけなのがわかります。
以前聞いた、「ムカデが歩き方を尋ねられたら、歩けなくなった」という寓話が思い出されます。
 
そこで私は、腕を交差した時の手首の使い方に慣れることを優先させ、あや跳びの前に交差跳びを教えてしまうという指導の順序にしていました。

交差跳びは、手首の高さがポイント

では、その交差跳びの指導について説明します。
 
交差跳びの指導に入るということは、子供がある程度は前回し跳びができるようになっているでしょうから、上記の段階的指導における①②の練習は省いていいはずです。
 
そこで、③から入ります。
腕を交差させて手首を回す練習をします。
片方の手で二本の柄を持ち、持っていない方の手も一緒にぐるぐると回させます。
上記の通り、切れてしまった(あえて切った)跳び縄があれば、子供は手首を動かしやすくなります。
 
④腕を交差して縄を回すことに慣れてきたら、回すリズムに合わせてジャンプをする練習をします。
この時も、切れた(切った)跳び縄があればこの上なく便利です!
 
⑤腕を回すリズムとジャンプのリズムが合わせられる子供は、④を省いて⑤に入り、実際に跳ばせてもいいと思います。
この時のポイントが、手首の位置です。
後ろ跳びと同様に、子供は手首を回すことに夢中になると、手首の高さが上がってきてしまいます。
それで縄が足に引っ掛かりやすくなるのです。
ですから、手首を低い位置、腰の横にして縄を回させます。
③や④の段階で、このことを意識させておくと良いと思います。
 
慣れてきたら、膝や腰を曲げないで跳ぶこともアドバイスします。
 
さあ、教師が「鏡」になって一緒に交差跳びを楽しみましょう!

あや跳びは教師が横に並んで

続けて、あや跳びの指導方法です。

上に述べたように、「頭で理解してできる」ことをねらうと子供は混乱します。
そこで、③段階で、「体で覚えさせる」ようにします。
順回し→交差回し→順回し→交差回し→…という腕と手首の動きを繰り返し行ってその動かし方に慣れさせます。

ポイントは、この時だけは、「教師が鏡にならない」ということだと考えてきました。
これまでは、どの跳び方でも教師が子供の前で「鏡」になって一緒に跳ぶことが習熟指導のコツであると述べてきましたが、あや跳びの初歩段階に限っては、それを行うと子供がかえって腕・手首の動かし方を混乱させるようです。
二種類の手首の動かし方が、さらに「逆」の見え方をするからでしょう。
 
そこで、子供の横に並び、腕と手首の動かし方を同じ方向から見せて真似をさせます。
 
本当は、子供の背面から両手首を掴んで腕と手を動かして教えると良いのですが、抱くような姿勢になるため、注意が必要になるでしょう。
 
いずれにせよ、ポイントは同じ向きから「体で覚えさせる」ことです。

うまく手首が使えないという子供の場合は、二本の柄を両手で持って、体の前で縄で横に「8」の字を描く動かし方をさせると効果的です。

④の「縄を回すリズムに合わせて、ジャンプをする練習」も大切です。
順回し時にも一回ジャンプし、腕を交差した時にもジャンプする協応動作をリズムで掴ませます。
 
この時も、交差時に手首の位置が上がらないようにアドバイスをするとよいでしょう。
 
ちなみに、あや跳びの場合は、一回おきに順跳びになるからでしょうか、腰や膝を曲げて跳ぶ子供が圧倒的に少ないように思います。そのことの指導は必要ないでしょう。あや跳びの方が交差跳びよりも容易に捉えられる所以です。
 
以上が、私の行ってきた交差跳びとあや跳びの指導方法についてでした。
次回は、三重跳びの指導方法についてお伝えします。