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どの子も日記 第6段階 うまくいく段落指導と全体構成「始め-中-終わり」指導

私の実践してきた日記の指導方法の紹介が、以下のように第5段階まで進んだ。

第1段階 読むことと言葉で言うこと
第2段階 「したこと」を書けば十分!
第3段階 「したこと」を5W1Hで書く 【くわしく書く1】 
第4段階 五感を使って 【くわしく書く2】
第5段階 「思ったこと・考えたこと」を書く 【くわしく書く3】

(ここまでの説明にご興味のある方は、ぜひコチラ↓↓ ↓↓からどうぞ!)

今回は、

第6段階 段落指導と全体構成を「始め-中-終わり」で

の指導について説明する。

第6段階 段落指導と全体構成を「始め-中-終わり」で

第6段階では、子供たちの意識を文章全体に向けさせる。
その時に、文章全体の構成を「始め-中-終わり」で捉えさせることと、段落指導を合わせて行うと、子供にとって分かりやすいようだった。
実はどちらも、子供にとっては理解しづらい概念であり、書き方であるのだが、それを一緒に指導することで、逆に理解が進む。
ただし、「一緒に」といっても、次のような順序を踏むと私の場合はうまくいった。

(1)学級全員で、一緒に「したこと日記」を書く

例えば、子供たちと話をしながら、次のように、3文ほどの日記を全員一緒に書く。
「きのうは、プール開きでした。みんなで水をかけあったり、石ひろいをしたりしました。水がちょっぴりつめたかったけれど、とてもいい気もちでした。」

(2)三つの「かたまり」に分ける

これが、三つの「かたまり」に分けられることに気付かせる。
①「プール開きをしたという説明」
②「プール開きでしたこと」
③「思ったこと」
の三つである。
それぞれ、「おはなし」が違うので、分けることができるということを理解させる。
ちなみに、この「おはなし」という言い方が、私の経験では低学年には一番伝わりやすかった。

(3)「段落」を教える

この「おはなし」の一つ一つの「かたまり」を、「段落」と言うことと、原稿用紙における書き方を教える。
そして、実際に書かせてみる。

(4)「始め-中-終わり」を教える

この三つの「かたまり」を文章全体で見ると、「サンドイッチ」の形になっていること、そして、その形を「始め-中-終わり」と言うことを教える。

以上の指導で完成した日記は、一文が一段落の三段落構成である。
だから、この時点では、「一つの段落は一つの文で、できている」とか、「始めや中や終わりは、それぞれ、一つの段落で一つの文だ」と、捉えている子が多くいるはずである。
初めは、それでいいと、私は考えてきた。
この後の指導で、徐々に「正しい」理解に導けばいい。

そもそも、日本語の「段落」概念は曖昧である。英語のパラグラフとは全く異なる。「気分」で段落を変えるという日本人も少なくないのではないか。

また、「始め-中-終わり」の文章構成は、この先、何度となく登場する。
特に私の場合は、「始め-中-終わり」という文章構成を重視してきた。
高学年であっても、日記・作文指導の主な指導事項であった。もちろん、説明的文章の読み方指導においても。

(5)「中」「終わり」を複数の文に

では、具体的にどんな指導によって、「一つの段落は一つの文とは限らない」、「始め終わりが、複数の文や段落の場合がある」という「正しい」理解へと修正させるのか。
実は、それは、すぐにできる。

例えば、上記の「プール開き日記」指導を続けたならば、このようになる。
先程までは、三つの文による、三つの段落構成の文章であった。
そのうちの「中」をふくらませる。
「中」は、「サンドイッチ」の具の部分だから、「おいしい物」をいっぱい入れて「始め」「終わり」で挟もうと呼び掛け、「みんなで水をかけあったり、石ひろいをしたり」した以外に、「プール開きでしたこと」を思い出させる。
カードなどに書かせてもいい。
「かおを水につけて数を数えました。」、「プールサイドにつかまって、バタ足をしました。」、「シャワーをあびました。」などが、付け加えられる。
これらをとりあえず、一文一段落で書き足していく。

そうすることで、「中」が、複数の文の合わさったものになった。

さらに、「終わり」の「思ったこと・考えたこと」をふくらめるともっと良い。
今度は、「終わり」が複数の文になるだけではなく、「思ったこと・考えたこと」という一つの「かたまり」=「段落」が、複数の文でできていることも理解させられる。
この(5)を、(4)のすぐ後に実施してもいいし、翌日などに行ってもいい。

もちろん、これで直ちに全員の子供が「段落」「始め-中-終わり」という構成を理解したわけではない。だから、繰り返し指導を行い、「徐々に」理解を進めさせればいい。

ところで、今、(5)で「中」をふくらめたことで、

「みんなで水をかけあったり、石ひろいをしたりしました。」
「かおを水につけて数を数えました。」
「プールサイドにつかまって、バタ足をしました。」
「シャワーをあびました。」

という「中」ができ上がった。

だが、いささかわかりにくい。
そこで、「順序を表す言葉」を使わせると良い。

それを、次回、第7段階 順序を表す言葉を使うで、お伝えしたい。

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