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どの子も工夫しながら絵が描ける!三つの指導の原則のつづき

前回の「ヒント帳」では、子供たちが「本番」の紙に自ら描き進めていけるようにするための支援として、次の三つの原則を示し、その内の一つ目について説明した。

1 具体的に子供に問う=具体的に子供に工夫させる
2 表現方法(技能)を例示する
3 表現方法(技能)を試して確かめさせる

今回は、指導原理の2と3である。

2 表現方法(技能)を例示する

指導原理1では、以下の三つの問いによって、子供たちが表現技法を工夫したり構想を膨らめたりするとよいことを述べた。

「どこを、どの画材を使って、どのように表したらいいだろうか」
「中心になるものが周りのものより目立つようにするには、どんな色を使ったらいいだろうか」
「それは、いつの季節ですか。時間は?天気は?」

しかし、子供たちの中にこれまでの学習の積み上げによる知識や経験がないと、「技法」も「構想」も実現できない。

教師の役割は、「援助」である。
そこで、
「先生は、こんな技法を知っているよ」
「季節、時間、天気を設定すると、こんな絵が描けるよ」

という、「例」を示すとよい。
例えば、ごつごつとした鋭利な線を示し、受ける印象を感じ取らせたり、
丸みのある線を示し、ごつごつとした線との感じ方の違いに目を向けさせたりする。

こうした援助によって、子供たちは工夫の方法を具体的に掴むことができる。選択の幅が広がる。

「季節、時間、天気」の設定についての例として、これまでの教え子の作品を提示したこともあった。

ちなみに木版画の場合は、彫刻刀による彫り跡の違いを刷ったもので示した。

3 表現方法(技能)を試して確かめさせる

しかし、ここまでだと、子供たちが、まだ決められない、選べないという状態に留まっている場合が多い。特に高学年ほど、失敗を恐れる傾向があるようだ。

そこで、試させる
「お試し用紙」を渡して、描いて試させた。

木版画の場合は、シナベニヤ板の裏面に試し彫りをさせた。

型にはまらず三大原則を使わせよう

以上、前回と今回で、子供が自ら工夫しながら絵を描き進めていくことを支援するための三つの原則を紹介したが、次の「注意」を急いで付け加えておく。

この三つの原則は、「一方通行の順序」ではない
描き方を考えたり、例を参考にしたり、試したりという活動を、行ったり来たりさせながら、絵を描き進めていくのである。
「指導の型」にはめてはいけない。

そして何よりも、「表したいこと=主題」を、問い直しながら描き進めさせたい。

「この表現方法で、表したいことが表せているかな」
と、振り返りながら描き進めさせたい。
そして、「表したいこと=主題」そのものを問い直し、修正したり、深めたりしながら描き進めていけるようにしたいと考えてきた。
だから、製作途中に互いの絵を見合ったり感想を伝え合ったりする場を設けた。
こうした場を設定することで、上の三つの原則も生きてくるのではないかと考えて実践してきた。

ぜひ、お試しを。