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どの子も日記 第7段階「順序を表す言葉を使う」での工夫した指導

今回は、

第7段階 順序を表す言葉を使う

という指導方法の説明をする。

ここまで説明してきた、「どの子も日記が書けるようになる段階的指導方法」は、以下のとおりである。

第1段階 読むことと言葉で言うこと
第2段階 「したこと」を書けば十分!
第3段階 「したこと」を5W1Hで書く 【くわしく書く1】 
第4段階 五感を使って 【くわしく書く2】
第5段階 「思ったこと・考えたこと」を書く 【くわしく書く3】
第6段階 段落指導と全体構成を「始め-中-終わり」で
(ここまでの説明にご興味のある方は、コチラ↓↓ ↓↓ ↓↓からどうぞ!)

第6段階の「始め-中-終わり」の指導で、「プール開き日記」を例に、「中」を複数の文で書かせる指導方法をお伝えした。

その結果、次のようなちょっと分かりにくい「中」になってしまった。

「みんなで水をかけあったり、石ひろいをしたりしました。」
「かおを水につけて数を数えました。」
「プールサイドにつかまって、バタ足をしました。」
「シャワーをあびました。」

そこで、この分かりにくさを利用することで、「順序を表す言葉」を使うことのよさに気付かせることができる。
また、一つの段落が複数の文でできていることに、ここでも気付かせることができる。さらに、「中」が複数の段落でできていて、それを、「中1」「中2」「中3」…と呼ぶことまで教えることができる。

以下に、説明する。

第7段階 順序を表す言葉を使う

(1)「順序を表す言葉」で分かりやすくなると分かる

上の「中」の文章が分かりにくいのはなぜか。
「したこと」の羅列だからである。
しかも、「順序」が何だかおかしい気がする。
例えば「シャワーをあび」たのは、いつなのか。プールの中に入る前か、それとも後か判然としない。
 
ここで、「順序」の指導について、確認しておく。
私のここまでの指導の段階では、子供たちは、「したこと」や「見たことなど」、「思ったこと・考えたこと」を順序よく書いてきているはずである。それは、「時間の順序」に沿った書き方のはずだ。

では、国語の学習指導要領では、「時間の順序」については、どのように明記されているだろうか。
まず、<読むこと>を見てみよう。
低学年の<読むこと>の中心的な指導事項は、「時間の順序」と「事柄の順序」などを考えながら読むこととなっている。つまり、<読むこと>での指導すべき「順序」には、「時間の順序」と「事柄の順序」があるのである。

では、<書くこと>も同じか。それが違う。<構成>の指導事項を見ると、「事柄の順序」しか書かれていない。
「時間の順序」に沿って日記などを書くことを指導しないで果たしてよいのかと考えてしまいそうになる。
だが、そうではない。慌ててはいけない。
「解説」には、ちゃんと「時間の順序」と書かれている。

つまり、書くときも「時間の順序」に沿って書いていく力を育みたいのである。

まとめると、<読むこと>でも<書くこと>でも、指導すべき「順序」には二種類あり、それは、「時間の順序」と「事柄の順序」である。

「事柄の順序」というと分かりにくいかもしれないが、「自己紹介の文章」を例にすると、もしも、「①自分の得意なこと」「②苦手なこと」「③これから頑張りたいこと」という順序で自分のことについて書くのならば、この順序が「事柄の順序」である。
従って、日記、特に低学年の場合は、「事柄の順序」よりも、「時間の順序」に沿って書くことの方が多いだろうし、書くときにも分かりやすいはずだ。
「見たこと日記(観察日記)」であったとしても、「①花の様子」「②葉の様子」「③根の様子」というように、観察した<順序>で書く方が分かりやすいだろう。
 
話を上の「プール開き日記」の「中」に戻す。

この分かりにくさを解決するために、子供たちに「順序」を決めさせる。

そして、文頭に「順序を表す言葉」を付けさせる。子供から出て来なければ、明示すれば良い。
その結果、例えば次のようになる。

「まず、みんなでシャワーをあびました。
 次に、水をかけあったり、石ひろいをしたりしました。
 その次に、かおを水につけて数を数えました。
 さいごに、プールサイドにつかまって、バタ足をしました。」

随分、分かりやすくなったと、子供も気が付く。
 

(2)一つの段落が複数の文でできているとまた気付く

さらに、子供たちにこう問う。

「この『中』が二つに分かれませんか。」

子供たちは気付くだろう。
始めの一文は「プールの中に入る前」で、二文以降は「プールの中に入ってからのこと」だと。

「だから、二つの段落に分けて書くともっと分かりやすくなるんだ」
と、子供は学ぶ。
例えば、次のように書き換えられることになるのである。

「まず、みんなでシャワーをあびました。
 次に、プールの中に入りました。水をかけあったり、石ひろいをしたりしました。かおを水につけて数を数えることもしました。プールサイドにつかまって、バタ足もしました。」

この二つ目の段落は、三つの文でできている。前回の「第6段階」では、「終わり」の段落が複数の文でできていることを教える方法をお伝えしたが、もし、上記のように行えば、ここでも、「一つの文で一つの段落」という子供の誤った理解を正すことが可能になる。

(3)「中」をいくつかの「かたまり」に分ける

最後に、こう教える。
「今分けた『中』の二つのかたまりを『中1』『中2』という」と。

これで、子供の日記の構成理解も一歩深まった。

さて、ここまで来れば、もう日記はかなりのレベルである。
後は、ここまでの七つの段階を行ったり来たりしながら、繰り返して指導を行い、子供の書くことの経験量を増やせば良い。

次回からは、指導段階がレベルアップする。

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