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縄跳びは誰でもできるようになる

まず用語の確認から

まず、用語から確認しておきます。

「縄跳び」は運動の名前です。

ですから、「縄跳び」運動で使うあの「縄」を「縄跳び」と呼ぶのはおかしいのです。

「縄」、もしくは「跳び縄」と呼ぶべきでしょう。

実際、短い縄、つまり一人で跳ぶ時に用いる長さの物は「短縄」と呼び、長い物は「長縄」と呼ぶのが一般的のはずです。

こういうことは、子供にもきちんと教えるべきですから、用具は、「縄」もしくは「跳び縄」と呼ばせます。

次に安全指導

次に、安全指導についても、確認しておきます。体育では、安全指導が何より大切だからです。

具体的には、縄を持って移動したり並んだりする時の、縄の持ち方です。

まず、縄を縛ることができるようにします。
縛れないままですと、移動中や廊下などに掛けて置いた時に分だり引っ掛かったりして危険です。
ほとんどの学級が、縄を4つに折ってから輪を作り、ループになっている端の方をその輪の中に入れて縛るという方法で指導していることと思います。

縛れたら、持ち方を子供に指導します。
私は以下のように持たせてきました。

まず、ループになっている方の端の、そのループの中に片手を入れます。
そうしたら、その手で、柄のある方の端、つまり二つの柄と折ってできた一つのループをぎゅっと握らせます。
 
これで縄を振ったり振り回したりしなくなります。
 
廊下や階段の移動時や運動場などでの整列時に、縄を振り回して近くの級友の目や体に当ててしまう事故が防げます。
 
ちなみに、縄の片方の柄を鉄棒に巻き付けてから反対の柄を強く引くと、巻き付いていた部分が外れて勢いよく手前に飛んでくるので、それを楽しむ遊びをする子が時々います。
その時、飛んできた柄が目に当たり大怪我をするという事故が全国で起きたこと報告されています。
 私は、危険な遊びとして行わないように指導をしてきました。

誰でも跳べる前回し跳びの段階的練習

では、「誰でも跳べる縄跳び」の指導方法についてです。
跳び方の基本となる1回旋1跳躍の前回し跳びの指導方法を説明します。
 
跳べない子供の原因は、主に次の三つです。
 
まず、一定のリズムで跳躍をし続けられない。
次に、一定のリズムで縄を回し続けられない。
そして、縄を回す手とジャンプする足の協応動作ができない。つまり、跳躍と縄を回すリズムを合わせることができない。
 
そこで、以下の順序で段階的に指導をします。
そうすれば、必ず跳べるようになります。
 
①まず、一定のリズムで跳躍をし続けられない子供には、跳躍練習をします。
初めは教師が向かい合って両手を繋ぎ、一緒に何十回も一定のリズムでジャンプをするといいと思います。
 
跳ねる時は、つま先でジャンプをするように教えます。
 
もちろん、縄跳び運動とは別に、多様な「跳」の運動を楽しく行っておくことや並行して授業を計画することは有効です。
 
②子供が一定のリズムで跳躍をし続けられるようになったら、体の前で手を打たせながら同じリズムで跳躍をさせます。
「パン、パン、パン…」「ピョン、ピョン、ピョン…」を同時に行います。
この時も、教師が子供と向かい合い、リズムを教えながら一緒にこの「手叩きジャンプ」をするとよいと思います。
教師が「鏡」になることが、子供の技能を高めるのに効果的なのです。
 
1回旋2跳躍ならできるが、1回旋1跳躍はできないという子も、この練習でリズムをつかむことができるようになります。
1回旋2跳躍の場合はリズムが遅いので、その倍の速さで手を叩きジャンプをさせるのがコツです。
 
また、この「手叩きジャンプ」は、二重跳び(や三重跳び)の習得でも、ポイントとなるので、ここでしっかりと手叩きと跳躍の協応動作を鍛えておくとよいと思います。

③縄を思い通りに回せるように、手首をほぐします。
おヘソの前辺りで、両手で二本の柄を一つにして持って、8の字を空中に描くように縄を回させます。手首をひねって回す使い方を教えるのです。
この手首の使い方は、あや跳びや交差跳びにも繋がります。
 
慣れてきたら、二本の柄を片手で持ち、体の横で前に回させます。
手を持ち替えて左右両方で回す練習をします。

この時、使い古して真ん中で切れてしまった跳び縄があれば、大変役に立ちます
なければ、使い古しを切ってしまい、練習用にするとよいと思います。
切っても惜しくないくらい、効果的な練習用具です。

④ここまでくれば1回旋1跳躍前回し跳びまで、あと一歩です。
体の横で回すリズムに合わせて、ジャンプをします。
ただ、片手で二本の柄を持つのは、ちょっと使いにくい子供が多いかもしれません。特に低学年では。
だから、切れた跳び縄があればこの上なく便利なのです。
 
この時も教師が向かい合って立ち、「手叩きジャンプ」をしてリズムを取りやすくしてあげると、子供のリズムが安定します。
 
⑤さて、もうほぼ「完成」です。
1回旋1跳躍前回し跳びにチャレンジさせてください。
 縄が真っ直ぐに回らなかったり、よじれて輪が小さくなったりすると、引っ掛かることもあると思いますが、跳躍と縄を回すリズムが合っていれば跳べるはずです。
繰り返し練習あるのみです。
 
教師と向かい合って、一緒のリズムで跳ぶと良いと思います。
 
縄がよじれたら、片方の柄を持って軽く揺すればねじれが直ります。

リズム縄跳びで楽しく練習

音楽に合わせて跳び方を変えながら繋いでいく「リズム縄跳び」を、この時期の準備運動として行っている学級や学校も多いのではないのでしょうか。
 
上で紹介した「8の字回し」や「片手回し」をその中の「技」の一つとして入れておくと、技能も高まりますし、子供にとって休憩時間にもなります。

また、「片手回し」を後ろ回しにすれば、後ろ跳びの練習にもなります。

「リズム縄跳び」も様々な工夫を詰め込むことができます。

さて、上記の段階的練習をすべて後ろ回しにして行えば、後ろ跳びもできるようになるということにもお気づきではないでしょうか。
苦手な子供がいたら、やらせてみてください。

次回は、二重跳びの指導方法をお伝えします。