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夏休み明け授業プランを5つのポイントで診断!

そろそろ子供たちの夏休みが終わるという学校が多いのではないでしょうか。

休み明けの各教科の最初の授業や単元のプランを立案している教師が多いことと思います。

もしかしたら、「最初の国語の授業は『漢字テスト』!」と計画している教師もいるかもしれません。
それとも、「ドッジボール?」

私は、そうしたプランは「NG」だと考えます。

ところで、夏休み明けの授業は、4月の授業開きのそれとは、根本的に異なります。
4か月近くに及ぶそれぞれの学級の教師と子供たちの学びの歩みがあるからです。

そこで、立案した夏休み明けの各教科最初の授業・単元のプランを次の五つのポイントで「診断」してみることをオススメします。

効果的な夏休み明けのプランになっているかどうかをチェックする方法の一つとしてお試しください。

そうすることで、なぜ「最初から漢字テストはNG!」なのかも、お伝えできると思います。

5つの診断ポイント
1 「さあ、夏休みが終わった。やるぞ!」といった一人一人の子供の学校生活や学習への意欲を少しでも高めるものになっていますか。
2 夏休みまでの成果を活かしたプランになっていますか。
3 夏休みまでの課題を意識したプランになっていますか。
4 育みたい力は根拠が確かで明確なプランになっていますか。
5 子供たちが共有感を感じ取れるプランになっていますか。

ポイント1 「さあ、夏休みが終わった。やるぞ!」といった一人一人の子供の学校生活や学習への意欲を少しでも高めるものになっていますか。

「これが簡単にできれば苦労はしない」と思われている方が多いかもしれません。

そうです。でも、学校生活や学習への意欲を高めるプランを立案することは、必須です。

だからといって、「ゲーム的な面白さ」に頼るのは、一時しのぎでしかないので、避けたいものです。

教材の力、その教材の切り口の面白さ、学習方法の面白さで勝負したいところです。

でも、それが思い付かない。

そこで、<ポイント2・3>です。

ポイント2 夏休みまでの成果を活かしたプランになっていますか。

約4か月間の教師と子供たちの学びの履歴を活かしてこその夏休み明けの授業です。

例えば低学年の国語で、「音読劇」や「動作の伴う劇」が好きだった学級なら、まずそこから導入してみてはどうでしょうか。

活動や体験から問題などを発見することを好む学級なら、知的な発見を導く体験や活動を組みましょう。

一枚の「絵」から、夏休み前には30個の事柄を読み取れた学級なら、40個に挑戦さてみてはどうでしょうか。

つまり、夏休み前までのよさを発揮し、それを超える課題を設定することで、「安心感」を与え、「挑戦意欲」を掻き立てることで、学習意欲を高めるのです。

ポイント3 夏休みまでの課題を意識したプランになっていますか。

また、夏休み前に課題だったことへの<挑戦>を、授業・単元計画に組み込むことが、この時期だからこそ必要であるし、可能だと考えます。

目標、指導過程・単元展開、手立ての中に「課題への取組み」が計画されていることによって、「夏休み前の焼き直し」で終わらずに済みます。

子供と一緒に単元計画を立てる段階で「自分たちの課題」を意識させることは、見通しだけでなく、学習意欲の喚起にも繋がるはずです。

また、ポイント2で見た夏休みまでの成果を活かす活動や体験だけでなく、課題に取り組む活動や体験を計画することで、子供たちの学習の幅が広がり、楽しさも増すでしょう。

例えば、国語で、「音読劇」や「動作の伴う劇」だけでなく、「人形劇」「紙芝居」「影絵」「絵本」「群読」など、表現様式はいくらでもあります。
それを変えることで、新たな文学活動の楽しさを感じながら、学級・子供たちの課題に取り組ませることができることと思います。

さらにそれらの活動をデジタル機器と組み合せることで一層面白さと技能が向上しそうです。

ポイント4 育みたい力は根拠が確かで明確なプランになっていますか。

さて、その時、そのプランは、「活動あれども学びなし」になっていませんか。

授業者として、育みたい力が考えられていますか。

「夏休みまでに育った力と、これからの課題を意識しているから大丈夫!」のはずですが、では、その「育みたい力」の<根拠>はどこにありますか。

つまり、ただ「力を付ければいい」というのであれば、「漢字テスト」だって、「必要な知識だからまず第1時にやらせていいはずだ」という考え方が成立してしまいます。

確かに、学力調査でも受験でも、漢字の読み書きの力は問われます。

では、その力が、今、子供に付けたいと願う力ですか。
もしそうなら、その<根拠>となる子供観、教育観、学力観はどういったものですか。

自分が拠って立とうとしている考え方を自覚してみることは、極めて重要だと考えます。

ポイント5 子供たちが共有感を感じ取れるプランになっていますか。

そして、夏休み明けだからこそ、私は、この「共有観」を何よりも大切にしたいと考えます。

様々な家庭環境で様々な日々を過ごしてきた子供たちが再び集いました。

この学級でこの仲間と過ごす・学ぶよさをどの子にも感じ取らせたい。
どの子にも、自分の居場所のあることを思い出させたい。

そのために、夏休みで<バラバラ>になった子供たちを一度フラットな状態にしたいのです。

だから私は、以前の「リフレク帳=ヒント帳105」で、夏季休業中に新聞記事を収集しておき、休み明けにそれらを黒板に掲示しておくことをオススメしました。

かつての私の実践ですが、黒板に隙間なく掲示した夏休みの出来事を伝える記事を読み合うことから始めて、互いに自分の夏休みの暮らし・自慢・出来事を伝え合う「話す・聞く」国語の授業へと展開していったことがあります。

ただでさえ、今の子供達は(大人ももちろん)、共有感を感じる機会が減少しています。
多様化は小集団化や孤独化につながる場合もあるのです。

みんな違うからこそ、その基盤となる共有感覚を大切にしたいと私は考えます。

以上、夏休み明けの各教科最初の授業・単元のプランを「診断」する四つのポイントを示してみました。