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「シブトク つよく 」(ACLラウンド16・2ndレグ山東泰山戦:2-4)

割引あり

 等々力陸上競技場でのACLラウンド16・2ndレグ山東泰山戦は2-4。1stレグとのトータルスコア5-6となり、ラウンド16での敗退が決まりました。

 ジャジソンがねじ込んだ山東の決勝弾は、延長戦突入かと思われた後半アディショナルタイム6分の、ほぼラストプレーに近い時間帯で生まれたものでした。
 
 残された時間はほとんどなく、あるとしてもワンプレー。鬼木監督は残っていた2枚の交代枠にジェジエウと高井幸大を入れて、キックオフと同時にパワープレーを仕掛けますが、それも実らずにタイムアップ。

 あまりに劇的な幕切れ。ACLの戦いが終わってしまいました。

 試合後のミックスゾーン。
なんとも言えない重い空気が流れ続けている中、山本悠樹に声をかけて話を聞くことにしました。ガンバ大阪からの新加入選手ですが、この重要な試合でハイパフォーマンスを見せ続けた選手のひとりです。

 呼び止めると立ち止まって応じてくれたので、ゲームの率直な振り返りと、2点を失う展開になってからのゲームの進め方に対する見解から聞いてみました。

「アウェイよりは展開が良かったですが、勝てなかったことが全てです。先に点を取られたことは仕方ないと思っていたし、ホームなので1点ずつ返せばいけると思っていました。僕個人は焦ることはなく、ヤスくん(脇坂泰斗)中心にも声がかかっていたので、そこまで焦ることなくゲームを進められていたと思います」

 この試合の前半、圧巻だったのが左サイドの崩しです。
サイドに張っているマルシーニョと三浦颯太は巧な突破を見せて、再三に渡って山東守備陣に破綻を起こしていました。

 この二人を絶妙にサポートしていたのが山本悠樹でした。山東の守備ブロックは、中盤をかなりコンパクトにしてきていましたが、山本は立ち位置を工夫しながらボールを引き出して、そこからの配球も的確に使い分けていました。

 なぜ左サイドであんなに面白いように崩せたのか。
それを尋ねると、相手の基準点を見出してくれた、左サイドに流れてくる家長昭博の存在が大きかったと言います。

「途中からアキくん(家長昭博)がいい中継地点に入ってくれたので、3人目で上手く前を向くシーンが多かったと思います。ケントとの関係性にアキくんが入ってくることで、よりスムーズに順滑にボールが動いた感じがしたので、あとはヤスくんやアキくんのポジショニングを見ながら最後に自分が一番良いところでボールを触れるようにしていました。関係性を築きながらやれていたと思います」

 ゴールバー直撃のシュートもありましたし、三浦颯太のゴールをお膳立てしたスルーパスも山本悠樹が繰り出したものです。後半にはVARにより惜しくもオフサイドになってしまいましたが、エリソンに絶妙なパスも届けています。

※2月22日に、脇坂泰斗について約2000文字のコラムを追記しました。前半に山本悠樹との関係性で見せた印象的なチャンスシーンについて聞くと、興味深い話が聞けました。

→■「あのシーンは自分の中で発見です。あそこが空いたと思って入った時に本当にボールが来たので」(脇坂泰斗)。中盤で共鳴しあう両者の関係性。脇坂泰斗を「使われる側」としても生かせる山本悠樹の凄みとは?


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