宮崎産マンゴー

宮崎産マンゴーがトップブランドになった理由【連載2】

2.完熟マンゴーをキャッチするネット収穫方式開発

樹上で8~9割熟したものを剪定収穫する沖縄産マンゴーとは違う宮崎産マンゴーの独自性が「樹上で完熟するマンゴー」というアイデアだった。


ただ「樹上で完熟するマンゴー」の最大の欠点は自然落果しマンゴーの果皮に傷がつくこと。落果し果皮に傷が付けば贈答用果物としての商品価値が下がる。


JA西都の技術員・楯彰一氏は樹上から自然落果する完熟マンゴーをキャッチする方法としてクリなどを入れる果物用ネットの活用を思いつく。アイデアは良かったものの実際に試してみるとネットの網目が日焼け跡のように果皮に残ってしまった。

網目跡が果皮に残らずしっかりマンゴーをキャッチできるようなネット開発はかなり時間がかった。楯彰一氏は3、4年かけて完熟マンゴー専用ネットを完成させる。完熟マンゴー専用ネットにより宮崎県産マンゴー最大の魅力、こだわりの完熟マンゴーの収穫が可能となった。


樹上のネットでマンゴーをキャッチする収穫は宮崎産マンゴーの最大の特徴である「完熟マンゴー」をブランド化するためには必要不可欠な秘策だった。楯さんが完熟マンゴー専用ネットを完成させなければ今の宮崎産完熟マンゴーはアイデアで終わっていた。


完熟マンゴー専用ネットが完成しても生産農家が使わなければ「樹上で完熟するマンゴー」は幻に終わっていた。美味しい完熟マンゴーを消費者に食べてほしいという思いが楯氏、生産農家にあったから完熟マンゴー専用ネットが考案され普及したのだ。


想像だが沖縄のマンゴー生産農家、関係者も自然落果した完熟マンゴーの美味しさに気が付いた人がいたのかもしれない。宮崎の楯彰一氏のように数年かけて完熟マンゴー専用ネットを完成さ普及させるこだわりはなかった。それが大きなブランドの差になった。

「完熟マンゴー専用収穫ネット」
出所:宮崎日日新聞HP『みやざきマンゴー物語』


樹上で完熟するマンゴーをキャッチし収穫する方法は、かつて宮崎の生産農家がマンゴー栽培を学んだ沖縄にも伝播した。沖縄では宮崎の収穫ネットではなく収穫袋でキャッチする方法を採用している。沖縄の場合は日差しが強いのでマンゴーが日焼けするため収穫袋を使用している。


完熟マンゴー専用ネットや専用収穫袋の普及は、樹上で完熟させることがマンゴーの品質の大きな決め手となっている証左ともいえるだろう。

→連載3につづく



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