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『信じ切る力』(栗山茂樹)ブックレビュー

普段スポーツやらエンターテイメントやらの中ではぶっちぎりでプロレスか格闘技のことばかり書いている僕ですが、今回会社の先輩に勧められたことをきっかけに、野球関連の本を読んでみました。WBCの監督を務めた、栗山監督の本ですな。実は石ころ、小学生時代は学校終わりに草野球に興じていた時期もちゃんとあるため、野球のルールとかは曲がりなりにも知っておりますのと、一時期は父と毎日プロ野球中継を見ていましたのと、プロ野球カードを集めていた時期もありましたことをここに告白いたします笑

この本はタイトルからはWBCの監督自体のことが満遍なく書かれていることを想像するかもですが、苦境の病気や現役時代、道が開けるきっかけとなったキャスター時代、恩師やあの大谷翔平との知られざるエピソードなどを通じ、栗山さんの“人生観”が語られる豪華な自伝となっております。曰く、

『目の前の結果だけでなく、日頃の生き方を含めて評価される。そう思えば、生活を律することができます。みんなが律することで、みんなで心地よく生きていくことができる。良い生き方をしようとする。助け合って、生きていこうとする。それによって、幸せになれる人が増える』(P225)

 気持ちいですなぁ!レビュー行きます。

第1章:信じ切るということ

・最終的に信じ切れるかどうかが大切(P15):WBC準決勝、「最後は誰でやられたら納得がいくか」→「よし、ムネと心中だ」(P18)
・信じ切る=信じているの一歩先にある、『どこまで本気で自分が信じられるか』(P20)
・大谷翔平の「大リーグに行きたい」の力になるためドラフト指名(キャスター時代の知見が生きた)(P26)
・「監督は気づかせ屋さん」:ヒントを与え、本人が自身で「やる」と決める環境を作る(P32)
・バットを振り続けた門田博光さん(元ホームランバッター)「栗山君は現役時代、ホームラン打つの諦めなかった?」(P39)
・いい勘違いは可能性を広げる。子供のころから大人になりすぎて、夢をあっさり諦めるのはもったいない(P42)。ただし、悪い勘違い(=「才能だけで生きていける」と天狗になる)はするな
・ヤクルト二軍監督の内藤博文さん「プロ野球は競争社会だが、お前が人間としてどれだけ大きくなれるかの方が、オレにはよっぽど大事なんだ」(P49)→昨日の自分と今日の自分を比べるようになった
・吉村浩さん(ファイターズ統括本部長)から監督の打診「勝ってほしいわけではない、野球を愛してくれたらいい」(P58)
『縁尋機妙 多逢聖因』=縁が繋がっていい結果に恵まれる(P60)
「人間は一生のうちに逢うべき人には必ず逢える。しかも、一瞬早すぎず。一瞬遅すぎないときに」by森信三(哲学者)(P60)

→染みるねぇ。
大谷翔平をドラフト指名する時の個人的なやり取りの描写が面白かった。『翔平はあのときも、何も言わず、じーっと僕の目を見て、しっかり話を聞いていました』だって。大事な決断の時、真実を見極めるための言動なんだろうね。
あとは上述した内藤博文さんの言葉とか、『縁尋機妙 多逢聖因』とか、マジでステキな言葉をありがとう!って感じ。

第2章:ダメな自分をどう信じるか

・ダメな時にも価値がある。自分が正しいと思っていないからこそ、人の話が聞ける(P67)
・評価されることを求めず、自分が決めたことを実践し、自分を褒める(P74)
・誰かのためになれるからこそ、人が生きるということ(P76)
・本当に頑張っていたら、誰かが見ていてチャンスをくれる(P79)
・悪いことは自分のせい、いいことは誰かのおかげ(P81)
・WBC優勝し高評価をもらい、「こうやって人はダメになっていくんだな」(P86)
・本気でやっているからこそ落ち込む。大切なのは落ち込まないことではなく落ち込む時間を短くすること(P93)
・侍ジャパンの監督就任時、ノートに「絶対に嘘をつくな。わからないことは選手に聞け」(P102)
┗『人が成熟する速度は、その人がどれだけ恥に耐えられるかに比例する』byダグラス・エンゲルバート(PCのマウスの開発者)

→ダメな時にも価値があるってほんとそうだよね。ダメだからこそ、なんとかしようって頑張る原動力になるというか、現状を見つめなおすきっかけになるというかさ。
あと、『悪いことは自分のせい、いいことは誰かのおかげ』は名著『ビジョナリーカンパニー2』の『窓と鏡』の話とめちゃめちゃ共通する考え方だし、WBC優勝時に考えた「こうやって人はダメになっていくんだな」なんて、どんだけ人格が優れてるんだろうって感じだわ・・・。

第3章:すべてのことに、意味がある

・「求められるのは生き様」:すぐには結果は出ない、しかし思わぬ形で活きてくる(P122)
・「メジャーリーガーは子供たちに尊敬されるような行動を心掛けなければいけない」byノーラン・ライアン(7回ノーヒットノーランを達成したメジャーリーガー)
┗人としての生き方・生き様こそが大事(P134)
・栗の樹ファームで自然と向き合っていると、何も考えない時間を過ごせる(P148) 

→ノーラン・ライアン選手の言葉、響くわ。ビジネスに置き換えても同じことが言えるよね。仕事自体ができるだけでなく、常日頃から人格がしっかりしていないといけない、みたいな。

 第4章:「信じ切る力」を育てる日常のルーティン

・本を読む:常に持ち歩く、本に書きこむ、ノートにまとめる(P153)
・ノートに書く:元日に自分との10の約束を書く 「自分への約束を破るものが最もくだらぬ」by吉田松陰(P165)

・椅子を入れる:習慣が変われば人生が変わる(嘘をつかない、人のために尽くす)(P170)
・服装を整える:スーツにネクタイが基本(P172)
・掃除をする:心を耕す(P175)

→うん、好き。上記はあくまで抜粋だけど、この章、びっくりするぐらい私石ころと共通しているところがあってめちゃめちゃ光栄でした(笑)
本の読み方とかめちゃめちゃそっくり。私の場合、1回目書き込んで、2回目ノートに書いて、そのノートをワードにまとめたうえでnoteに貼ってるんです、実は。 

第5章:相手を、信じ切る

・本気で相手を信じる→信じてもらえた人はパワー全開になる。ただし信じることは自分のためではない(P188)
・家族については信じようとする必要はない、ただ愛すればいい(P191)
・WBCで村上の打順を悩み抜いた末「ムネ、最後はお前で勝つ」(P194)
┗日本の野球界を背負う男だと信じた(P198)
・1番ピッチャーとしてソフトバンク戦に挑んだ大谷翔平。「ホームラン打ってきまーす」で本当に打つ→11.5ゲーム差をひっくり返すきっかけに(P204)
自分よりほかの人のことを考えないと絶対に前に進まない→「絶対に人のせいにしない」(P215)
・目的を果たすためには、自分にとってプラス・マイナスという発想を捨て、やるべきことだけに集中すること(P219)

→WBCの決勝を見ていなかった僕にとっては“ほうほう”程度だったんだけど、生で見た人にとってはたまらない章だったんじゃないかな。家族については『ただ愛すればいい』。いいなぁ。青木真也がMMAについたときに語った、『結局のところ愛なんだよ』だね。

第6章:神様に生き様を認めてもらう

・生きている時間のすべて(≒生き様)が世の中をつくる。全員がよい生き方をし律していくことで幸せになれる人が増える(P225)
・『慎独』(儒教の言葉)=誰も見ていないときでも身を慎む(P227)
・「成功や失敗は頑張った後の残りカスのようなものだから気にするな」by渋沢栄一(P236)

・こうしたい、こうなるんだというイメージを持つ。できる、できない、ではない(P253)
┗苦しい時こそ実はものすごく充実している

→最後は“生き様”の話です。生き様が世の中を作る、よき生き様が世の中をよくし、幸せを作る。たまらん・・・。

というわけで栗山さんの『信じ切る力』、良かったですねぇ~。
陽明学の『縁尋機妙 多逢聖因』とか、ダグラス・エンゲルバートさんやノーラン・ライアン選手の言葉とかは、もう少し自分の中でちゃんと染み込ませて、他の人も話していきたい!ではでは!

 

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