2.

視界がショッキングピンクに染まっている。
これはパーティではない。ただの1人遊び。
私はどうにかチカチカする視界を元に戻そうと、目をぱちくりさせたり眼球を360°回してみたり、途轍もなく目を細めてから見開いたりした。
しかしそれが始まってしばらく、視界は文字通りショッキングな激しいピンクに全て支配されていた。
輪郭が見えてきたのは10分ほど経ってからであろうか。
今まで部屋のカーテンの柄だと思っていたペイズリーが巨大な獣となり襲いかかってくるのが、視界の端で見えた。刹那、それは大きなショッキングピンクの花に食べられてしまった。
あの、切れ味の鋭い支払いの催促状に書いてある通りであった。

「心から同情する。
しかしわたしにもこれを止める手立てはない。
それではこれから開始するー」

花はさらに飢え、ショッキングピンクの棘だらけの触手をこちらに伸ばし始めている。
毒がある……そう直感した。
おそらく、植物によくあるような毒とは違う、もっと海洋性の……。
河豚の内臓にあるテトロドトキシンを棘に持っている!
豹紋蛸の嘴と同じで、それを直接神経や血液の流れに注入し、弱らせて食べてしまう気だ!
そんなことを考えている間に、このままでは確実にやられるという間合いになっていた。もうどうしようもない。
こんな狭い空間では、どう考えても私にできることはほとんどない。扉は触手に完全に阻まれているし、窓は花の向こう側に見えている。
後退りしたが、やはりすぐにベッドのようなものの角に足をぶつけて激しく転倒してしまった。
ベッドの下についている引き出しを開けっぱなしにしていたのだ。
全て私が悪い。
全て私が悪いのだ。
どうして……

そのまま開けっぱなしの引き出しの中へ頭から落っこちてゆく。沢山のショッキングピンクの布達。どれも着慣れた洋服達だったが、こんな色、着たことはない。ベージュ、ベビーピンク、茶、みんなとても懐かしくなった。爪の先も染まっている。そのまま真っ逆さまに引き出しのそこに落ちていく。いつまでも。
いつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでも

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