『どう生きるかつらかったときの話をしよう』

野口聡一
アスコム 2023年

TVでにこやかに話されているのを見ていたし、「宇宙飛行士なんて超選ばれた人しかできないことをしていた人でも、こんな心境になるんだなあ」と思って、読んでみた。

だってねえ、しばらく前に一般から募集されて話題になった宇宙飛行士も、選ばれたのは学歴も職歴もとびぬけた人で、「やっぱりこう人が選ばれるものなんだな」と再認識したところだもの。
才能もあって、ほとんどの人ができない素晴らしい経験をして、それでも生き方に迷うってどういうことよ?でしょ。

小さめの本で、章は短めに、シンプルに書かれているのでとても読みやすい。あまり時間をかけずに読めたし、寝る前に少しずつ読むとかにもいいかもしれない。

読んでみると、才能あるからこその燃え尽き症候群という感じで、落差が激しいのも大変なんだなあと思った。確固とした目標があるときって、しかも宇宙飛行なんてものすごい【大義】だし、迷うことなく突き進んでいけたんだろう。それが終わってしまって「次どうしよう」となり、いわゆる【普通の人】になってしまったのと相まって、存在意義を見失ってしまったのだろう。

著者は、「人に振り回されず、自分の価値観を持つ」ことを勧めている。自分オリジナルの、生きる意味を持つ。実際に、死に対して持つ感情まで分析しているのは、さすがだと思った。
私も、年を取ってずいぶんと回りを気にしないようにはなったけど、基本はいろいろ気にしいでネガティブなので、自分の気持ちを大切に自分が楽しいと思えることをやっていきたい。

ただ、ここまで生きてきて感じるのは、やはり人と自分は違うということ。それはつまり、私は目的意識を持てたほうが楽だけど、特にこれといって意識しなくても楽しく生きられる人もいる、ということだ。もともと他人に振り回されず上昇志向も強くなくなんだかんだで生きていける人。
それはそれで、【自分オンリーの幸せのなり方】を知っているのだから、もう著者が書いていることは達成できているということかな。

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