いそじばあの読書記録

いそじばあです。

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最近の記事

『おそろし』三島屋変調百物語事始

宮部みゆき 2012年 角川文庫 宮部みゆきさんは、私的【気持ちが重い作家さん】の一人。 自分の気持ちが重くなるというより、いやそれも含むんだけど、記述の仕方がものすごく情が溢れていてその情が深くて多くて重く感じる、ということ。あとは、乙川優三郎さんとか。 何年も前、私が読書好きの親に乙川さんの本を勧めた際に「そういう重いのは年をとるとしんどい」と話していてそんなものかと思っていたけど、それが分かるようになってきたということは私も年をとってきたということだな。今の世の中だ

    • 『教誨』

      柚月裕子 2022年 小学館 単行本を選ぶときには、本の帯を参考にする。どんな内容か、参考にしたいので。今回の帯には書店員さんの言葉がいくつか載っていて『ラストに驚愕・慟哭』みたいな感じが多く、著者の言葉からもかなり重い内容なんだなと思い、用心しながら読み進めた。なんせ、重いのはもうしんどい年齢なので、、、でも読みたい気はまだするので。 結果的に、用心していたせいかそこまでズシンとはこなかった。似たタイプの話でズシンという意味では、東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』や、角田

      • 『イスタンブールで青に溺れる』発達障害者の世界周航記

        横道誠 文藝春秋 2022年 この本の存在を知ったのは、確か新聞のどこかに書いてあったからだ。興味を持ってすぐにメモして、図書館に行った時に調べたが、すでに借りている人がいて「また今度」と思っているうちにそのままになっていた。 そうしたら、ある時図書館に行ったらたまたま配架してあって、「おお!」と思って早速借りた。 そもそもの知識としては【著者が発達障害の方で、海外を旅行した時の記録】という認識だけだったので、読んでみて予想外で面白かった。 著者は京都大学卒。知的レベル

        • 『ツリーハウス』

          角田光代 文春文庫 2013年 この著書の本はエッセイを含め何冊か読んでいるはず。どの本も読み心地がよくいい印象を持っているが、内容をしっかりと覚えているのは『八日目の蝉』。でも『八日目の蝉』は、子どもを持つ身としては切なすぎて、しばらくは読めないなあと思っていた。 そんな中で、文庫本の裏に書いてあるあらすじから選んだのがこの本。 そのあらすじと、出だしの内容から、こんなことでこの先どんな話が展開するんだろうと不思議だった。章ごとでもなく、気分的にはいきなり変わる話し手、

        『おそろし』三島屋変調百物語事始

          『小さいときから考えてきたこと』

          黒柳徹子 新潮文庫 平成17年3刷 『窓際のトットちゃん』の第2弾が出たという話を聞いて、気になっていた。何十年も昔に読んだ第1弾の内容は詳しく覚えていないのだけど、もちろん粗筋は覚えていて、周囲と同じようにできない今でいうADHDやLDだったらしい著者がいい教育者に出会ってまっすぐに成長していく話。 気になっていたらこの本が目について、著者が小さい頃にどのように考えていたのか、どのように育ってきたのか興味があったので読んでみた。 著者は、結構いいご家庭に生まれたのだなあ

          『小さいときから考えてきたこと』

          『魔王』

          伊坂幸太郎 講談社文庫 2023 (新装版) だいぶ前に読んだことがあったが、内容を忘れてしまっていた(私はこれがよくあるので、この読書記録をつけることにしたのだ)のと、新装版の表紙が良かったので、また読んでみることにした。 この著者の本は、『死神の精度』の印象が良かった覚えがある。他の本も面白いのだけど、軽妙な語りが私には軽妙すぎる感じがしてある程度読んでからその後は読んでいなかった。 『魔王』はどうだったかな、、、と思いながら読んだところ、軽妙さがそれほど気になること

          『どう生きるかつらかったときの話をしよう』

          野口聡一 アスコム 2023年 TVでにこやかに話されているのを見ていたし、「宇宙飛行士なんて超選ばれた人しかできないことをしていた人でも、こんな心境になるんだなあ」と思って、読んでみた。 だってねえ、しばらく前に一般から募集されて話題になった宇宙飛行士も、選ばれたのは学歴も職歴もとびぬけた人で、「やっぱりこう人が選ばれるものなんだな」と再認識したところだもの。 才能もあって、ほとんどの人ができない素晴らしい経験をして、それでも生き方に迷うってどういうことよ?でしょ。

          『どう生きるかつらかったときの話をしよう』

          『キリンの保育園』新・動物記1

          齋藤美保 京都大学学術出版会 2021年 人類学とかフィールドワークとか興味があって、でも残念ながら自分で関わるにはもう遅いしそこまでの情熱もたぶん私は持てないので、たまに本で読むくらいにしている。 この本については、新聞の記事で知った。どうやらシリーズものらしいのだけど、読めたのはとりあえずこの1冊のみ。 読んでみると、著者はまだまだ若いドクターらしく、最後のほうには「今後どうするか、どうしたいか」ということも書いてあってほほえましかった。 著者がキリンの研究を始めた

          『キリンの保育園』新・動物記1

          『火定』

          澤田瞳子 PHP 2017年 著者が何かの賞をとられた時にニュースを見て、面白い読み方の名前だなと印象に残っていた。今回は珍しくジャケ借り、というか、表紙がと題名が目について帯を読んで「面白そうだな」と思って著者を見たらこの方だったので、「読んでみよう」と思った次第。 全体の感想としては、とにかく読みやすい。 帯に【天平】【藤原四兄弟】とあったものの、平安くらいかなと思って読み始めたら平安よりも前の奈良時代だった。これくらいの時代は人の名前も馴染みが無さすぎる&長いので頭

          『FACTFULNESS』

          著者:ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド 訳者:上杉周作、関美和 日経BP 2020年33刷 話題になった時から気になっていたけれどもだいぶ経ってから途中まで読んで、図書館の返却期日が来てしまったので返して、そしてまたしばらく経ってから借りて読んだ。 なんで、1回目読むのにそんなに時間かかったかな?と不思議なくらい、分厚いけれども読みやすい内容。メイン著者のハンスが剣飲み芸人になろうとした話とか、今だから言えるようになった間違った判断の

          『アキラとあきら』

          池井戸潤 徳間文庫 2017年 映画館で予告編を見て、面白そうと思った。映画で見ようかなと思っていたら図書館で原作を見つけたので、映画ではなく本にしました。 面白かった。変わらず銀行関連だったけれども、今まで読んだものは銀行に始まり銀行に終わる感じだったのが、本作は銀行に勤めるに至るまでの生い立ちや銀行に入った理由にも半分くらい割いていて、【銀行もの】というよりは【青春もの】という感じがした。その分、他の作品よりもほのぼのと読めた気がする。 感想としては短いけれども、上

          『アキラとあきら』

          『私たちはどう働くべきか』

          池上彰 徳間書店 2020年 働き方が気になる昨今。私は就職氷河期世代だし女性なのでまあいろいろと考える機会は多かったわけだけど、今はポストコロナだったりAI出現だったり少子高齢化だったり、考える要素はたくさんあるわけで。今に詳しい池上さんがどのように解説されるかを知りたくて、読んでみました。 そして、この本は子ども達にもぜひ読んでもらいたいと思った。内容やルビ無しということを考えると、中学生以降の学生がいいかな。内容的にも、中学校で池上さんが授業してそれをベースにしてい

          『私たちはどう働くべきか』

          『証し 日本のキリスト者』

          最相葉月 角川書店 2022年 「祈り」には、そして祈る場には、人にとってどんな意味・効果があるのだろうか。そんなことが気になって本を探し、読んでみたのがこの本。多くのキリスト教信者(信者とは言い切れない、という証言もあって、それもまたよし)の話が載っている。別にキリスト教の話を探していたわけではないが、やはり祈りと宗教は切り離しにくく、祈りの強い宗教と言ったらキリスト教か仏教なのだろうなと思う。 ちなみに私は小さい頃に近所の教会に遊びに行っていた時期があり、聖書も新約・旧

          『証し 日本のキリスト者』

          『果つる底なき』

          池井戸潤 講談社文庫 2001年 この物語も、他の池井戸さんの作品と同じく「この先どうなるのか」を気になり通しで読み通した。 池井戸さんの著作は、私は銀行が舞台の小説しか読んだことがない。全てそうなのだろうか。それにしても、同じ業界を元にこれだけのパターンの物語を作り出せることに感心する。それだけ、ネタが多い業界ということなのだろうか…事件ものの。 私は銀行業界に全く縁が無いので、銀行内部ってこういう感じなのかと思いながら読んでいる。派閥が、学閥が、というのは、私のような

          『マスカレード・ゲーム』

          東野圭吾 集英社 2022年 マスカレード・ホテル、マスカレード・イブ、マスカレード・ナイトと、マスカレードシリーズは見つけたら読んでいた。『ゲーム』を見た時に、「今まで見逃していた、ホテルよりも前の物語かな」と思っていたら、さにあらず。 一番の最新作でした!嬉しい♪ 今までのこのシリーズを読んだ経験から、いろいろな登場人物がどう繋がってくるのか、誰が事件に関係あって誰が関係ないのか、を推測しながら読んでいた。結果として、「そうくるか!」という感じだった。事件も「そうくる

          『マスカレード・ゲーム』

          『絶対音感』

          最相葉月 新潮文庫 2006年 『セラピスト』を読もうと思ったら同じ著書で見つけたので、こちらも面白そうだったので読んでみた。 私自身、多少の音感がある。幼稚園の頃からピアノを習い、先生が弾いた和音を聞き取って真似するのは苦も無くできたし、流れている曲もドレミで歌えた。関係ないけど、ピアノを弾きながら話もできた。 今は、なぜか1音くらい下がって聞き取っているようで、「ドレミ~♪」と聞こえた音楽がピアノで鳴らしてみると実際は「レミファ~♪」だったりする。残念。 この本を読