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KOGEI Next展 2021

2021年11月5日〜6日、六本木ヒルズ・カフェ/スペースにて開催。「100年後に古美術品として残る工芸作品」をテーマに、未来に残るべき超絶技巧で制作され、今この時代の環境問題意識を反映した作品が集まりました。そもそもKOGEI Nextとは単発のイベントではなく現代工芸のプロジェクトで、その一つの成果として今回の展覧会が開かれたようです。

プロジェクトのアドバイザーの一人である山下裕二さんと、作家さん一人ひとりとの対談形式で行われたギャラリートークでは、制作の背景や作家さんの個性がうかがえて、より興味深く作品を楽しむことができました。山下先生は、三井記念美術館で2017年に開催された「驚異の超絶技巧! −明治工芸から現代アートへ−」や、書籍『超絶技巧美術館』の監修者で、いわば超絶技巧の仕掛人です。2年後にまた超絶技巧展をやるとおっしゃっていたので、期待したいと思います。

作品の撮影もOKで、立席でのギャラリートークといい、今時のサロンイベントみたいでした。

今回僕がお目当てで行った、織田隼生としきさんの作品、「幾何学花紋偽花」(タイトル画像)と「装飾花壺状花序」。素材はステンレス。工業用素材なので、鍛金には向いていないそうです。しかし現代の生活でもっとも身近にある金属素材なので、現代の工芸作家としてぜひ取り組みたいのだとのこと。植物の成長における幾何学的秩序にも、とても興味を持っているとのお話でした。

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前原冬樹さんの一木彫の作品、「一刻 −スルメに茶碗−」。知れば誰もが驚く、これが木彫であり、しかもパーツの組み合わせではなく一つの木材からまるっと彫り出されているということ。そして前原さんの作品はモチーフがいつもユニークです。

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鈴木祥太さん。金や銅などの金属を使って精密に植物を造形。もともとの金属から加工によって出せる色を生かしているそうです。大正時代の琳派風の屏風と取り合わせた「蒲公英 環 〈都市の養分〉」や、パソコンに使われているのと同じ0.3グラムの「カタバミの花一輪分の金〈都市の養分〉」。見る人に新しさを感じさせ、またご本人もこうした新しい取り組みに手応えを感じているのかなと思わせる作品でした。

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情熱大陸でも取り上げられた自在作家・満田晴穂さんの「自在黄揚羽 −円環−」。羽根も脚も腹の体節も、本物と同じように動かせます。

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最後に、大竹亮峯さんの「月光」。葉は異なる種類の木、花はエゾシカの角でできているそうです。今回初めて知った方でしたが、木彫で自在を作ってしまうというすごい作家さんです。この作品にも、水を与えると花が開く仕掛けが組み込まれていて、動く形態に関心があるのかなと思いました。

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