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世の中を良くする「感謝」の要諦

先日、ヨーロッパ在住の日本人の方にお会いした時、「ヨーロッパには偉人がいない」という話を聞いて、少し不思議に思いました。

「うん?偉人?たくさんいません?例えば、ナポレオンとか・・・?

そしたら、「ナポレオンは英雄ではあるけど、偉人ではないです」という答えでした。続けて言われたのは、「日本には偉人と呼べる人がたくさんいるけど、そういう意味で、ヨーロッパにはほとんどいません」ということでした。

「そうなんですね?」

よく分かりませんが、たしかに日本には「エライなぁ」と思う人はたくさんいます

たくさんいるので、ただの一例にすぎませんが、例えば「カネを稼げばいい、今さえよければいい、自分だけよければいい」という社員を正していくため、社長自らがトイレ掃除をされるとか、素直に「エライなぁ」と思ってしまいます。

こうした社員の心を穏やかにするためには、まず職場環境をきれいにすることが大事だと思いました。汚い環境の中で、彼らに「ちゃんとしろ」と言ったってできるわけがない。まず私が環境をきれいにしてから、伝えるべきことを伝えていこう、と。その第1番がトイレ掃除であり、社屋の掃除でした。社屋といってもバラックでしたけども(笑)。

東洋経済オンライン
「81歳創業者は、なぜトイレを素手で磨くのか」
2014年12月9日より引用

金儲けがうまいから、ではありません

社員の心を穏やかにするという地道な活動を続けながら、結果として、金儲けに繋げている姿がすごいのです。もっと言えば、金儲けは結果論なので、そこにたどり着かなくてもいいくらいのものです。

社会に貢献する」という一点で言えば、良いものを安く提供できるのが一番です。それを「価値があるから」という理由で、高値にして儲けを得るのは、商売の醍醐味とも言えるでしょう。

しかし、そればかりを追い求めてしまっていたら、人を騙したりいじめたりするのと、大して変わらなくなります

経営者は、なぜ「ダークサイド」に落ちるのか?

悪辣な企業行動の多くは防げるものであるにもかかわらず、それが繰り返されているのは悲劇といえよう。暴走を止めるガードレールイノベーションを引き出す報酬(アメ)を適切なバランスで用意するには、まず起業家を英雄と見なす俗説を捨てなくてはならない。「創造的破壊の強風」は自動的に吹くものではないのだ。

東洋経済オンライン
「経営者はなぜ「ダークサイド」に落ちるのか」
2022年10月27日より引用

記事中、ゴチャゴチャ書いてありますが、答えは簡単です。金儲けに走るからでしょう。そして、これは今の世の中の仕組みの中で、避けることができないことが明白となってきました。

株主や社会から、金儲けの結果としての数字ばかりが求められるため、経営者のモラルが欠落していくのです。何も不思議なことは起きていません

数字が上がると、ニヤニヤが止まらなくなるらしいです。モラル?道義?この地位にいる人たちにとって、そんなものとのバランスを取るなんて、不可能に決まっています。

ただし、この問題については、私たちにだって責任があります

とにかく安いモノを求めたり、できる限りの高給を得ようと無茶してみたり・・・そうした私たちの行動が、今の世の中を形作っているわけですから、彼らばかりを批判することもできません

例えば、こういう不満がありますよね?

同じ40代前半で、同じ大学卒。それでも正社員と非正規社員で2倍もの給与差になっている……もちろん仕事内容も違うでしょうし、給与差が生じるのは当たり前のこと。ただこの世代の非正規社員はキャリアとしては十分なため、正社員と同じような仕事をしている非正規社員も珍しくありません。そうなると2倍もの給与差は大問題になります。

資産形成ゴールドオンライン
「40代・会社員の平均給与は月44万円だが…同年代・非正規「正社員と同じ仕事をしてるのに…」涙が止まらない、驚愕の手取り額」
2022年10月28日より引用

非正規社員だと、給与が低すぎて大変という話です。なので、「正社員になりたい!」という話も分かります。

正社員が既得権益化している」なんて話が出てくるのは、まさにそうした不満に応えているわけです。

さらに竹中氏は、同じ仕事をするのならば、非正規社員であっても正社員と同じ賃金や待遇を得られる「同一労働・同一賃金」の制度が必要だとして、そのためには正規の社員と非正規社員の垣根をなくす必要があり「(同一労働・同一賃金の実現を目指すなら)正社員をなくしましょうって、やっぱりね、言わなきゃいけない」と発言した。

HUFFPOST
「竹中平蔵氏の「正社員をなくせばいい」発言に賛否」
2015年1月4日より引用

そして、「既得権益化している正社員はけしからんから、正社員なんてなくせばいいんだ!」って話に繋がります。そうやって、正社員も非正規化して、みんながハッピーになる?!

もちろん、そんなわけはありません

みんなで豊かになる」という物語をだれも信じられなくなった。無理もない。いつか自分が豊かになると信じて待つには「失われた30年」はあまりにも長すぎたからだ。
「みんなで豊かになる」という美しい物語が死んだ。
その代わりにやってきたのが「平等に貧しくなろう」であった。

プレジデントオンライン
「「正社員を引きずり下ろしたい」"みんなで豊かになる"物語を失った日本の末路」
2022年1月19日より引用

みんなで豊かになる」なんてのは、ただの幻想です。上掲記事にもある通り、「平等に貧しくなろう」という方向にしか行っていないのです。

日本は、資本主義ルールで回っていますが、この「貧しさ」の解決策に関する議論に関しては、中国共産党が治める隣国と大した差はありません

共同富裕」というお題目で、富裕層を叩くことによって貧困層の憂さを晴らしておき、自らの支配体制を強化しているのが、中国共産党です。この構図は、正規社員を引きずり下ろすことで、社員の非正規化を進めつつ、資本主義下で、資本家による支配体制を強化していこうという日本と、ほとんど何も変わりません

真の意味で、既得権益化して暴利を貪っているのは、正社員なんかではありません。資本主義の仕組みの中で頂点に立つ資本家たちです。

昨今の企業は、2000年時の5倍も配当金を払っている。18兆円の増加だ。雇用者総数は約6000万人なので、一人当たり30万円の報酬に相当する。α君がぼやく。「僕が入社してからは、世のエクセレント・カンパニーは、うべかりし僕らの給料増加分を株主に回してきた。大学で学んだ市場原理主義と米国型ガバナンス理論がもたらした成果なんでしょうか」

フォーブスジャパン
「上がらない日本人の年収。なぜ給与は下がるのか?」
2022年3月10日より引用

で???

ここまでタラタラと書いてきて、じゃぁどうしたらいいの?って話です。

大前提として、世の中の仕組みは、私たちが勝手に変えられるようにはできていません。だから、仕方ないです。これはこれで、受け入れていきましょう

もちろん、かといって、彼らのルールに則って金儲けに走っていては、結局、この渦の中からは抜け出せません。受け入れるというのは、そういう意味ではありません。

私が大事にしたいことは、そこでお金を稼ぐ「入」ではありません。質の良い「出入」であり、そんな質の良い循環です。
そうやっていくうちに、いろいろなものが、回っていくようになるのでしょう。お金も、モノも、感謝の気持ちも・・・そうやってじゅんぐり回っていくことで、少なくとも私の周りでは、小さくとも幸せな社会が構築されていくのではないかと思っています。

「良い循環と良い社会」より引用

まずは、感謝の気持ちを持てる場所を探してみるのがよいと思います。感謝などというものは、「感謝しろー」などと言われて、なかなか感謝できるものではありません

では、どうするか?

少し、離れてみるのです。あまりに近すぎると、感謝したくても感謝できないことってあります。完全に抜ける必要はありません

今のゴチャゴチャした世の中の仕組みから、少し離れてみるだけで、見方が変わってくるはずです。

端的な話、仮にサラリーマンがサラリーマンを辞めたら、他人様からお金をいただくことの有難さは、骨身にしみて分かるようになると思います。例えば、そういうことです。

サラリーマン辞めたら、収入がなくなって大変?じゃ、まずはそのなかで感謝してみます?いや、同じ感謝をするのなら、もっと他に感謝することがありそう?

そう、そんな感じで、感謝の気持ちを持てる場所を探してみるといいのではないでしょうか。

そうすると、先ほど来、書いてきた今の「どうしようもない世の中の仕組み」でも、「おぉ、これはありがたいな」って、自然に思えることも出てくるでしょう。そうやって、感謝の気持ちを持つことができたら、自分の言動が変わってきて、それによって周囲も変わってくるはずです。

そうやっているいうちに、いつの間にか、自分の周りの世界は、いろいろと好転していくように思うのです。そして、みんながそうやって生きられるようになったら、きっと世の中全体、だいぶ良くなるのではないでしょうかね。

私は、そんな世の中がみてみたいです。


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