復刊に到るまで/中村葉月 19 一錢亭文庫 / 菊池 與志夫 2024年1月20日 08:50 ◎終戰後間もなく越後タイムス復刊の事を考へる樣になりました。之れは昭和十四年七月三十日の終刊號紙上で、小生が讀者各位に御約束して置いたからであります。今日再び越後タイムスの標題の下に讀者の皆さんと紙上で相見える事が出來ますのは、小生の非常に悦びとし滿足とするところであります。◎今回は舊同人始め周圍の友人諸君から非常な後聲援を頂きました。特に身近にある天瑞堂主人小竹久爾氏、遠く盛岡市にある東北精器の野島壽平氏等の犠牲的協力が復刊實現の機を早めてくれたのは事實であります。斯くて十二月八日、第一回の會合を以て協議一決準備に入り、社員とし山田龍雄君を迎へ、私としては七年前の昔の生活を再び玆に繰り返す事になりました。◎復刊に當り回顧される事は終刊當時越後タイムス存續の爲めに非常に御盡力下すつた東京讀者會幹部の方達の事です。越後タイムス丈けは飽く迄存續せしめ度いといふ熱心な御希望の爲めに私は一度ならず二度三度上京しました。そして或る時は青山高志會舘に宿泊してゐた、當時の新潟縣警察部長村川重太郎氏と會見する爲め、猪俣浩三、野島壽平、金子清吉氏等と共に、部長の寢込を襲ふた事もあり又在京讀者側代表としての金子氏と共に百餘名の連署請願書を携へて新潟縣廳へ押しかけた事もあります。◎廢刊後は野島氏の經營してゐた「家の友」や藤田美代氏經營の「柏崎」を借りて、皆さんとの連絡に務めたのでありますが、夫れも皆廢刊を餘儀なくされて、本土上空に全くB29の姿を見なくなる迄孤獨になつた私の生活は、空白の頁のみに埋まり無爲の連續でした。◎今日復刊號を世に出すに當り當時タイムス存續の爲めに御盡力下すつた關係諸兄姉の御厚意を想起し、改めて感謝の意を表する次第であります(葉 月)(越後タイムス 昭和二十一年一月十三日 第一四三二號 六面より) #越後タイムス #終戦 #復刊 #柏崎 #小竹天瑞堂 ※上記記事にあった藤田美代氏の雑誌「柏崎」に関して、ソフィアセンター柏崎市立図書館に問合せたところ、昭和16年6月の創刊号から昭和18年9月のNo.26号まで所蔵されているとのことで、司書のO.S.さんに調べてもらった所、一錢亭の寄稿や消息がいくつか見つかりました。次回より掲載していきます。 ソフィアセンター 柏崎市立図書館 所蔵 かしわざきのひと sophia.city.kashiwazaki.niigata.jp かしわざきのひと 中村葉月 ダウンロード copy #終戦 #越後タイムス #柏崎 #復刊 #小竹天瑞堂 19 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート