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“洒落者の美学” ~ALDEN コードバンタッセルローファー ~

〝洒落者の美学〟

〜ポール・ルーカスとタッセルローファー〜


こんにちは。

シリーズでお伝えしています〝一生モノの靴〟紹介も、この記事で早くも第4弾となりました。

今回は、ALDEN(オールデン)のタッセルローファー(Tassel Loafer)を紹介しながら、タッセルローファーの起源やその歴史などについて少し触れて行こうと思っています。

ばぜひ、最後までお付き合いくださいね。

今回の〝一生モノの靴〟はこちらです。

この靴の大きな特徴は2つ。

●「タッセル」と呼ばれる房飾り(写真2枚目)
●ALDEN製 Brooks Brothersの靴

まず1つ目の、「タッセル」という房飾りですが、前面にこの意匠がなされている靴が、世間一般で「タッセルローファー」とか、「タッセルスリップオン」と呼ばれる靴です。

日本では、長らく「おっさんが履いているダサい靴」=〝ギョーザ靴〟という汚名を着せられてきましたが、最近ではだいぶ解消されてきたようですね(笑)

ちなみに、このタッセルローファーの生みの親はALDEN(オールデン)です。

その起源は第2次世界大戦後に、ハリウッド俳優のポール・ルーカス氏(下の写真)が、ニューヨークの2つのブーツメーカーにビスポークシューズをオーダーしたことから始まります。

ルーカス氏の要望を叶えようと、その2つのブーツメーカーが偶然にも制作を依頼したのが、ALDEN社だったのです。

そこでALDENは、既存の概念にとらわれない発想で、この〝タッセル付きスリップオンシューズ〟をデザインし、ルーカス氏を大いに喜ばせたと言います。

このルーカス氏のオーダー靴こそが世界初のタッセルローファーだったというワケなんです。

つまり、

「タッセルローファー」は本来、ポール・ルーカス氏のような、〝粋を知る洒落者のための靴〟なんですね〜

ちなみに現在のコレクションでも、当時のモノとほぼデザインは変わらず、『タッセルモカシン』と言う名で、堂々とラインアップされているこのシューズですが、

本国アメリカでは、この『タッセルモカシン』こそがALDENの〝顔〟である、として広く認知されているのだとか…

さて、それでは2つ目の特徴、

Brooks BrothersとALDENの『タッセルモカシン』との関係性についてです。

ポール・ルーカス氏の靴を制作した後、1948年にALDENは『タッセルモカシン』を既製品として世に発表します。(全米で大変好評だったそうです)

そして1957年には、Brooks Brothersのコレクションにもこの『タッセルモカシン』が加わります。

その際、Brooks Brothers仕様として、ヒールカップに特別な意匠を施しました。

それがこちらです。

これは、〝フォクシング ステッチ〟と呼ばる非常に手の込んだ仕様であり、現在でも、Brooks Brothers向けの特別仕様として存在し続けています。

こういったところからも、Brooks BrothersとALDENとの親密な関係性が見て取れますね。

このALDENの『タッセルモカシン』は、その他のローファーと比べ、非常に佇まいがスマートで、ラグジュアリーな印象を持っています。

ALDENコレクションの中でも、この『タッセルモカシン』には、〝アバディーンラスト〟と呼ばれるドレス用ラスト(木型)が使われています。

それだけに、ビジネスシーンでの『ブレザー&トラウザーズ』スタイルや、『シンプルなスーツスタイル』の足下に合わせると、これが本当に格好良いんです。

皆さんにもぜひ、積極的に取り入れて欲しいスタイルのひとつですね。

ALDENのタッセルモカシンシューズ。

それは今も昔も変わらぬ、『タッセルローファーのマスターピース』なのです。


参考文献

靴を読む (本格靴をめぐる36のトリビア) 山田 純貴 世界文化社

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