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〝日本の宝〟沖縄 八重山の森 (其の2)

なんにもない所から、なんにもない所へと、
なんにもなかったかのように巡る生命だから…

森山 直太朗 『生きてることが辛いなら』より抜粋

この記事は、〝日本の宝〟沖縄 八重山の森(其の1)からの続きです。

ひとつ前の記事で「ヤエヤマヒメボタル」達が織りなす期間限定の幻想的な世界をご紹介しました。

少しでも伝わっていると嬉しいです。

この〝其の2〟では、残念ながらその

「ヤエヤマヒメボタル」達の生存が脅かされている

という事実をお伝えしなくてはなりません…

ホタル達は、日没後30分というわずかな時間で、小さな体で、限られた体力で、一生懸命光を放ち、パートナーを探します。

そんな彼らにとっての1番の脅威は、人口の光なんです。

つまり、携帯のライトであり、車のライトであり、カメラのフラッシュなのです。

米粒程の大きさしかない彼らが、いきなり目の前で人間でも眩しいと感じるくらいの光線を浴びせられたら…

想像してみてください、わかりますよね?

生き物を驚かさないよう、森のガイドの方達は赤いライトを使用します。(赤い光は、比較的森の生き物にストレスを与えないようです。)

今回観察に行った西表島・石垣島の森の中でも、携帯のライトを最大にして足下を照らす人・絶対に映らないと分かっていながら、カメラのフラッシュを焚いて撮影する人を本当に多く見かけました…。

人間にとっては、ほんのちょっとしたコト、何気ないこと、悪気がないこと、ほとんど無意識に近いこと…

本当に些細なことで、彼らの生息地や子孫繁栄の営みは、いとも簡単に吹き飛んでしまいます。

また、石垣島でも市街地は急速に都市化が進んでいる印象です。

僕も毎年行くたびに、コンビニができていたり、新しいホテルができていたり、そのスピードに驚かされます。

しかしそのために、市街地に近い森では、蛍の活動時間帯にライトをつけて走る車の量が多くなったり、

都市化が進むことに伴う電力重要の増大で、電柱が森の中に設置されたり、ホタル達の生息地がじわじわと削られています。

しかし、そうは言っても島の主要産業である観光業の推進や、それに伴うインフラ整備も重要であることは疑いようのない事実です。

僕も多分にその恩恵を受けていますから、否定する気もありません。

ですから、「今すぐに、開発はやめにしなさい!」などと言いたいわけではないんです。

僕が言いたいのは、

「〝バランス〟をとりましょうよ。」と、言うことなんです。

多くの人々が観光に訪れる動機として大きいのは、

島の豊かな森であり、美しい海ではありませんか?

少なくとも僕の動機はそこですよ。 

つまり、何が言いたいのかと言うと、

コトは上部と下部の2部構造になっていて、人間が行なっている〝商い〟はその上部ですよね。

その下には土台となる自然が下部としてどっしりと存在していて、その上に乗っかっている。

その土台が崩れると、上部もおしまいなのではありませんか?

僕にはそんな気がしてなりません。

そう言う意味で、

都市化(開発)と環境保全の〝バランス〟をとりましょうよ。

と言いたいのです。

「もっとこうしたい!」「良くしたい!」という人間の欲望はいつの時代も限りなく続きますが、言うまでもなく、自然には限りがあります。

誰もが分かっているはずなんです。

しかし、何故かそういうことは、いつも置いてけぼりにされてしまう…

多くの人がほんの少し、この小さな小さな〝命のやりとり〟に関心を持ち、ほんの少し〝優しい心〟を添えることが出来たなら、

彼らの〝命〟は今後も脈々と繋がり、次世代の子供達、そしてそのまた子供達、そしてそのまた子供達にも、この素晴らしい〝宝〟を引き継出いでゆくことが出来ます。

この八重山の森がいつの時代の人にも〝一生モノ〟であり続けるようにしなければなりませんね。


謝辞

毎回お世話になっている石垣島の「りんぱな」さん、西表島の「Monsoon」さん、いつも素敵な体験をありがとうございます。

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