見出し画像

Brooks BrothersとALDENの蜜月…

〝旧いから偉いんじゃない…
そこにある背景に、人は酔わされる…〟


こんにちは。

今回は久しぶりの〝一生モノの靴紹介〟第3弾です。

では、早速ご紹介しましょうね。

実はこの靴、僕が今所有している靴の中で、1番好きな靴なんです。

その特徴として3つ、

●ALDEN社製Brooks Brothersの靴(以下、Brooks オールデン)
●コードバン素材
●セミスクエア型のラスト

コードバン素材については、以前「革のダイヤモンド〝コードバン〟 ALDEN コードバン プレーントゥ」で詳しく触れたので、

今回は、〝Brooks Brothers とALDENの関係〟に触れたいと思います。

Brooks Brothers(ブルックスブラザーズ)といえば、日本でも言わずと知れた、アメリカントラディッショナルの総本山です。

創業はアメリカ建国から半世紀も経たない1818年、(日本は江戸時代後期、11台将軍、徳川家斉の治世にあたります。)

そのころから現在に至るまで、およそ2世紀に渡り、アメリカの男性のライフスタイルを〝創って〟きた世界的にみても非常に稀有な、そして歴史的貢献度の高いブランドのひとつです。

一方、ALDENは、1884年にマサチューセッツ州に創業しました。

当初はビスポーク(ハンドメイド)シューズをメインに生産していましたが、戦中は軍の依頼により、将校に向けたミリタリースペックのシューズを量産しました。(その名残が〝ミリタリーラスト〟という木型に見られます。) 

戦後に入り、足に障害を持つ人向けにオーソペディックシューズの分野にも着手。(その試行錯誤の名残が、モディファイドラストという木型に見られます。これはあくまで健常者用ですが…)

そしてALDEN社は今尚、MADE IN U.S.A.を堅持する、本当に数少ない名門シューメーカーなのです。

Brooks Brothers が世に生み出した世界的に有名なものとしては、ポロカラー(ボタンダウン)シャツやNO.1サックスーツ(3つ釦段返り)が有名ですが、 

MADE IN U.S.A.をはじめとするドレスシューズもそれらに引けを取らないほど、歴史的価値の高いアイテムのひとつです。(靴好きの若者の間ではもはや伝説化されつつあります。)

そして、そのBrooks Brothers のU.S.A.製シューズを昔から一手に担ってきたのが、ALDENなんです。(現在は、Allen Edomons と ALDENの2社が納入しています。)

ちなみに過去の歴史を紐解くと、実に名だたるシューメーカーがBrooks Brothersのシューズを手掛けています。

Edward Green, Church, Cheany, Crocket & Jones…と、このように列挙していくと…いかにBrooks Brothersのシューズ1足一足が、歴史上価値のあるモノであるかがわかります。

本当に豪華ですね〜

さて、話は変わりますが、

昨今、〝ダブルネーム〟の商品が乱発されているのは皆さん周知の事実だと思います。

(何年か前よりは多少マシになりましたが…【ALDEN for ○○】という表記も依然としてよく目にしますよね)

まあ、それに関してはここでは多くを語りません… 

Brooks Brothersのシューズにも同様に、〝ダブルネーム〟表記のものがいくつか存在しています。

しかし、基本的にBrooks Brothersのシューズには、ファクトリー名が入らないモノが圧倒的に多いです。(当たり前といえば、当たり前です…)

一説によると、Brooks Brothers の商品で〝ダブルネーム〟になっている場合、併記されている会社は、Brooks Brothers の創業年である1818年より以前の会社に限られていたようです。(例えば、Peal & Co.のシューズやLock & Co.の帽子がそうです。)

ちなみに今回紹介している〝Brooks オールデン〟もインソールの刻印はこんな感じです。

ですから、

「Brooks BrothersのU.S.A.製シューズをALDENが手がけているらしい…」ということは、本当につい最近まで、知る人ぞ知る、都市伝説みたいな情報だったのです。 

では、日本にオールデンが最初に紹介されたのはいつ頃なのでしょうか?

現在定説になっているのは、1980年にセレクトショップのBEAMSがALDENネームの靴を紹介したのが最初というものです。

一方で、その1年前の1979年にBrooks Brothersが最初の海外店舗として東京の青山に上陸しています。

そう、実は〝ALDEN製のシューズ〟が実質的に日本で最初に紹介されたのは、1979年のBrooks Brothers 青山本店だったんです。

しかしそれがALDENの靴だとは、当時まだ一般の人は知る由もなかったわけなんです…

そして2017年現在、〝Brooks オールデン〟は数が激減しています。

特にコードバン素材のものは日本には納品されておらず、今回紹介した靴や前回紹介した靴も日本では手に入りません。

アメリカのコードバン(Hoween cordvan)は絶滅寸前、という話もにわかに聞こえてくるようになりました…

このようにして、これまでにも〝何世代にも渡って継承されてきた名品や素材〟がひっそりとこの世から姿を消しているという事実を思うと、とても悲しい気持ちになります…

いったい〝何〟がそうさせているのか。

そろそろ真剣に考えなくてはいけない時期なんじゃないでしょうか。

ひょっとすると、僕の世代が〝Brooks オールデン〟のコードバンシューズについて語れる、最後の世代になってしまうかもしれません。

…って、大袈裟ですかね(笑)

参考文献

靴を読む (本格靴をめぐる36のトリビア) 山田 純貴 世界文化社

メインブログもよろしくお願いします

洋服屋の一生モノブログ
https://isshomono.com/


100円からお気軽にご利用いただけます。記事が気に入りましたら、ぜひサポートをお願いいたします。より良い記事をお届けするために、取材や資料の費用にあてさせていただきます:D