伊澄アキ

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LiveRevolt Re:venge 第一話『魂の唄』

暗闇に深々と積もる雪── 灯籠の光が怪しく揺らめき純白に彩られた神の社の境内は、自らを絶った女性の真紅に染まっていた。 それは輝きとても美しく、それは── それを見た幼い少女の目にはとても残酷だった。 21XX年1月8日、北海道、平取町。 あらゆる物を氷漬けにしてしまいそうな、刺すような気温の朝。 しかし、私、燈色(ひいろ)まいかには、生まれてから15年と繰り返されてきた朝なのだ。 慣れた手つきで布団から飛び起き朝支度の態勢に入る。 とはいっても冬休み。 私は中学3年生だが

    • LiveRevolt Coda/EP:NAGANO

      六月末、梅雨も佳境に入り 横浜の海は夏のきらめきを日に日に見せ始めていた。 それと対照的に横浜に聳える大きな音楽学校 奏ヶ丘女学院の生徒会長でありトップディーヴァ 時音ひなたはその暑さに、日に日にきらめきを失っていった。 「あぢーーーー……」 その会長は会長席の上でただただ伸びていた 「あのね、ひなさん、暑いって言ったらもっと暑くなっちゃいますよ」 会長席の目の前 会議机の上でアイスを加えながらそう言ったのは宮代りな。 「あ゛ーもう!かな!エアコンどうにかならないの!」 「

      • LiveRevolt Coda/EP:Z

        春、新しい風を運んでくる季節── それは物語の主人公だけではない。 皆平等に新たな環境、新たなステージ、新たな出会いにめぐり合っている。 そう私にもそういうタイミングってのはあるのだ── 「マリンちゃん、またこんなに部屋散らかして…… 来週にはヨコハマにお引越しなのよ?」 この声の主は私じゃない。 私の同居人、紫咲クリス── かれこれ5年の付き合いで幼馴染だ。 この春、私、瀬戸マリンもクリスも高校生というわけで、ヨコハマの音楽学校へ進学することとなったのだ。 今はその荷

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