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野口悠紀雄『CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃』【基礎教養部】

この記事は下記の書評とnote記事をもとに作成したものである。


少し前に友人に仮想通貨で稼ごうと勧められた。私は仮想通貨について何も知らなかったがオススメされたものを少し買ってみた。するとレートは上がったり下がったりして一番いいときには購入時より30%くらい高くなっていた。毎日上がってるかなとレートをチェックするのはちょっと楽しい。いつか上がることを希望に現在でも売らずに温存している状態だ。仮想通貨を買ってみたはいいもののその実態については知らないことが多かったのでこの本は私にとってタイムリーな本だと思った。

仮想通貨というのはPayPayなどの電子マネーと違って既存の銀行システムの外側にあり独自の通貨圏を形成する。そのためネット上で少額の支払いが容易になったり、国際的な送金が手数料がほぼなしに素早く行うことができるようになる。また、そんな仮想通貨はブロックチェーンという仕組みで運営され、記録改竄を防止できるようになっている。ブロックチェーンにはパブリックブロックチェーンというプライバシーを完全に確保するものとプライベートブロックチェーンという匿名ではないがその代わりにマネーロンダリングなどの不正を排除できるものがある。

序盤にはリブラについて触れられている。2019年にフェイスブックはリブラという仮想通貨サービスの開始を発表する。それに対し世界中でリブラを阻止しようとする動きがみられた。ここでは20億人が利用するする通貨圏が誕生することが如何に重要視されるかについて述べられている。小さい国ではハイパーインフレーションから逃れることができより便利なリブラがその国の通貨にとって代わることができる。利用者が拡大するとフェイスブック側は莫大な情報を手に入れることができる。どこの誰がどのようにお金を使っているのかを知ることができるのだ。

私は通貨というものが世の中でどれだけ大きな影響を与えるものかを知らなかった。通貨というのはモノやサービスを買うときに交換するために作られたものだ。しかしその通貨のためにいまでは多くの機関や仕組みが存在する。まず中央銀行だ。ここでは紙幣の発券、銀行の銀行、政府の銀行の役割を担っている。また、国内に流通する通貨の量をコントロールする役割もある。他に、送金するときには全銀システムというものを使う。ある銀行から他の銀行に送金するときは全銀システムのコンピューターで情報が処理され送られる。国際送金ではSWIFTという機関でなされる。各国にコルレス銀行という大銀行をもうけてコルレス銀行間で取引が行われる。このように通貨はただモノを買うときの使うくらいのものだとイメージだがその裏側は大規模なものであった。

最近見始めておもしろかったDr.STONEというアニメがある。このアニメは人類全員石化して3700年が経ち文明が完全に消え去る。偶然石化から復活した主人公が一から文明を作り上げるというストーリーだ。科学の力で色んな材料、もの、電気の製品までも作り上げていく。物語の途中でお金が誕生する。ただの紙切れだったがその紙切れの価値が上がったり下がったりすることによって人々が翻弄されるシーンがある。

各国ではCBDCの取り組みが行われている。中国のデジタル人民元、イングランドのRSコイン、オランダのDNBコイン、カナダのCADコイン、フランスのデジタルユーロ、スウェーデンのe-クローナ。では日本のデジタル円はどうなっているのか。デジタル円を発行するかどうかは日銀ではなく政府が決める。そして政府はデジタル円を発行する計画はないという姿勢だ。そもそも日本はキャッシュレスが遅れている。韓国は94.7%に対し日本は約30%である。理由としてまず手数料が高いことだ。他には電子マネーの種類が多すぎることが挙げられる。2020年にはキャッシュレスの促進としてマイナポイント事業が行われた。

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