家事は分担するな。育休を取れ。

夫婦共働き世帯が増えていくにつれ、家事や育児をどうこなしていくかは多くの夫婦を悩ませているようです。

かつて10ヶ月間の育休を取った私が家事分担について思うところを書きます。妻よりは夫の気持ちを、夫よりは妻の気持ちをわかっているつもりになっています。

家事分担はオススメしない

結婚したばかりの夫婦や子どもが生まれたばかりの夫婦にアドバイスすることが許されるなら「家事分担はしないほうがいい」と伝えます。

家事分担しないといっても妻(または夫)がひとりでやるべきという意味では全くありません。ここでは「家事分担」を「家事・育児について夫婦それぞれの守備範囲を事前にダブりなく決めること」だと定義します。

家事分担が厄介なのは、家事育児がその夫婦にとって「押し付け合うもの」と認識されてしまうことです。

家事分担の話し合いとは、構造的には負担の押し付け合い交渉なので、妻と夫は自分の負担最小化をつい目指してしまいます。つまり、夫婦や家庭の全体最適よりも、それぞれの個人最適が優先されてしまうわけです。

「今日は大変だった」と漏らすパートナーに対し、共感するよりも、負担割合を増やされまいと「こっちも大変だった」としんどい合戦で応戦してしまったりします。「こっちのほうが大変」と張り合う夫婦は悲劇的です。

中には「年収比率の裏返し」をそのまま家事分担割合とすることを勧める記事もありますが、なおさらダメです。「あなたは500万で私は400万だから4:5の割合で家事をしましょう」といったところですが、これは理論武装に他なりません。戦う気マンマンです。

収入による家庭貢献と家事育児による家庭貢献との掛け算をトントンにしようという一見もっともらしいアイディアですが、ちょっと待ってください。
年収とは、学歴や雇用身分、年齢、会社の業績などから会社や社会が勝手に決めた金額でしかありません。家事育児に割くリソースとしての体力・気力・時間にどれほどの余裕があるかとはあまり関係がありません。

パートで100万稼ぎながら家事育児をほとんどこなす妻と、正社員として500万稼いで家事育児を少し手伝う夫。妻のほうが遥かに大変だろうなと想像してしまいます。

年収のほかには勤務時間で割合を決めるってのも思いつきますが、これもよくないです。家事、特に育児をしながらの家事の大変さは時間では測れません。

夫婦のチームビルディングが全て

家事分担の話し合いをせずにどうやって夫婦協力して家事育児をしていけばよいのか。具体的な方法の前に、目指すべき姿のイメージはこんな感じです。

・夫婦が互いにリスペクトし合い、余裕がある限りそれぞれが率先して家事育児に取り組む意識の共有

・家事育児がめちゃくちゃ大変であるという認識の共有

・定例的な家事育児業務の具体的な量と最低限の質の共有

ひとことで言えば、夫婦を家事育児に挑む一つのチームとしてチームビルディングが成功すれば、夫婦としての全体最適解がおのずと達成されます。チームビルディングが全てです。

「うちはきっちり話し合って、なんなら年収比率持ち込んで家事分担したけどめっちゃいい感じだよ」って夫婦もあるでしょう。きっとその夫婦はチームビルディングがちゃんとできているはずです。

チームビルディングを成功させるために一番いいのは妻の産休育休に合わせて夫も育休をとることです。1日ずっと家事と育児をし続ける日々を経験すれば、大変さと具体的な業務は共有できますし、それらが共有できれば自然と助け合おうと思えるはずです。

育休期間は6ヶ月間は取りたいところですが、無理ならばせめて1ヶ月でも効果はあるでしょう。幸い(?)新生児期の大変さはわかりやすいです。
こだわりがある方も多いと想うのですが、できれば母乳だけでなくミルクも飲めるようにしておきたいですね。母乳のみだと一番大変な夜間授乳は全て妻の役目になり、どうしても負担に偏りが出てしまいます。ミルクも飲めるならば夫も夜間授乳が出来るので、「今回は俺がやる!寝てていいぞ!」とチームワークも高まっていくことでしょう。新生児期という戦場を共に駆け抜けられればまさに戦友。彼氏彼女や新婚期の関係性とはまた違った絆が生まれて、生涯のパートナーとして過ごすうえでもきっと良い財産になります。

「育休なんて無理~。」あるいは「そんな時期は過ぎてしまった~。」という場合は、ありがちですが1日ワンオペ育児を体験してもらうのが効果的かもしれません。ただ、子どもがパパとふたりきりの状況に緊張して案外良い子に過ごしてしまったり、普段ならママが頑張って控えめにしていた昼寝やテレビ・タブレット(Youtubeほど子どもを長い時間おとなしくさせられるものはありません)をパパが子どものやりたい放題やらせてしまったりして、思惑どおりにいかず、むしろイライラを増してしまうような場合もあるでしょう。

あとは話し合うしかないでしょうか。このときキレたり責めたりするのはやめたほうが賢明だと思います。責められるとヒトは自分の立場を守ることをまず考えてしまいます。キレたり責めたりすると、家事分担の話し合いをするまでもなく妻と夫が対立関係になってしまう危険性が大きいです。これではチームビルディングどころではありません。冷静に、相手をリスペクトしながら、「困っているよ」「助けてほしいよ」と伝えてください。

いまは社会情勢とともに家庭のあり方も大きく変わる過渡期です。だいたいの男子は、家事育児は母親が当然にやるものと悪気なく思ってしまっています。専業主婦の家庭で育った子どもはなおさらです。
常識は育った環境で形作られます。パートナーが家事育児に無頓着なのはパートナーの人間性に問題があるからではなく、そういう環境で育ったから、ただそれだけなのです。現在は状況が変わっていて、あなたはあなたの父親以上に家庭への貢献が求められていることを伝えてあげてください。

ここまで自分を犠牲にして頑張ってきたのはこっちなのに、なぜこの期に及んで下手に出なければならないのかと思う方もいるでしょう。でも現状を変えたいのが自分なのであれば、まずは自分が変わらなければなりません。自分が変わらずに相手を変えることは到底できないのです。

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