レアル・マドリー・カデーテBに見る「個の力」の定義

3/29(木)、「U15キリンレモンCUP2018」の決勝トーナメントを取材してきました。この大会にはレアル・マドリーの下部組織で、日本の中学生年代に当たるカデーテBチームが参加しており、準決勝で大宮アルディージャJrユース、決勝で湘南ベルマーレU-15と対戦し、見事連勝で優勝を果たしました。僕が観戦したのは準決勝の大宮vsマドリー、3位決定戦の大宮vsC大阪U-15、決勝の湘南vsマドリーの3試合でした。

数年前、本田圭佑選手が記者会見で「個」と発言したことをきっかけに、日本サッカーでも「個の力」というワードがメディアで飛び交うようになりました。でも、実は僕はあまりのこのワードを使ったことがありませんでした。自分の中で定義がはっきりしていなかったからです。

ですが今大会、特に大宮の2試合を見て、「個の力」とはなんたるかを自分なりに定義できそうな気がしてきたので、勢いに任せてこの記事を書いています。もし興味がある方がいれば先へどうぞ。


個の力=ピッチ内で1人が担当できるエリアの広さ


一言でいうとこれだなと感じました。図で表すと下記です。

白とオレンジが選手コマ、水色の円が選手一人の担当エリアを表しています。この円が大きいほど個の力が大きいという意味です。円が大きい選手が多ければ、その分ピッチ内の広いエリアを担当でき、一人ひとりがあまり動かずにピッチを支配できます。一方、円が小さい選手が多いと、誰の担当でもないエリアが大きくなり、その隙間を突かれてゴールまで迫られてしまいます。そのため、小さい円同士の選手が近い距離を保ち、連動した守備をしたりパスを短くしたりする必要があります。


この水色の円の大きさは、対戦相手やコンディション、チームメイト、天候、プレースタイルなどによって大きく変わります。例えば上記の図はレアル・マドリーと大宮で表したイメージ図ですが、3位決定戦を見る限り、大宮vsC大阪の場合はほぼイーブンになると思います。


また、このエリアは円だけとも限りません。ポジションや役割、試合中の位置どり、オフ・ザ・ボールかオン・ザ・ボールか、味方の誰がボールを持っているか、近くの仲間は誰か、相手は誰か、さまざまな要素が複雑に絡み合って形を変えます。

まぁこれは適当に変えただけですが。

「個の力を伸ばす」とは、どこの誰が相手でも、この水色の円の面積を広げることなんじゃないかと、そう思ったわけです。円を大きくするのは何を意味するか? それは、タックル、ドリブル、パスなど、なんでもいいんですけど、プレーの成功率が高い範囲を広げることです。


マドリーとC大阪のポジション比較

この考えに至った理由は、大宮と対戦したマドリーとC大阪の違いです。前者は6-0で大勝し、後者は0-1で敗れました。システムこそ多少違いますが、起きていた現象は以下の通りです。まずは大宮vsマドリーから。

特に両ウイング、サイドに大きく張って幅を保ち、CBから一気に展開、というパターンでなんども大宮を揺さぶっていました。それも、足元につけるときもあれば裏に抜け出すときもあり、その2種類のキックをまったく同じフォームで蹴り分けるのだから、凄まじい能力です。いったいどうやったら15歳であんな境地にたどり着けるのか。


対して、大宮vsC大阪で起きていた現象はこうです。

かなり極端に書きましたが、実際起こっていたことはほぼほぼこういうことです。味方間をすっ飛ばすようなロングパスはC大阪にはなく、各駅停車のパス回しになるため、大宮もだいぶ余裕を持ってついていけたのです。


これ、単純に「C大阪もサイドに張ればいいじゃん」とはならないんですよ。ボールのある局面にかける人数を少なくすることは、逆に言えば相手はそこに人数をかけてボールを奪いに来ることを意味するわけで、それをかいくぐるには、拮抗したレベル同士の対戦だと人数をかけるしかないんです。数的不利で局面を打開できるのは、大きい円を持つ個がある時か、よほどレベル差がある時だけです。日本の中学生年代のトップ同士では、拮抗した円同士がぶつかり合うため、少ない人数でサイドの局面を打開することができません。マドリーは大きい円を持っているからこそ、局面にかける人数が少なくて済むんです。今大会で見せつけられた大きな差がこれだと思います。




この大会で僕が得た「個の力」の定義は「一人ひとりが持つ円の大きさ」、今後の日本サッカーの課題は「この円をいかに大きくし、世界の強豪国や強豪チームと対戦しても小さくならない円にするか」であると感じました。

ですが、どうすればこの円が大きくなるのか。それは正直わかりません(汗)。きっとこれまで数多の優秀な指導者の方々がそれに取り組んできたはずですし、そもそも選手やチームによっても回答は違います。ですが、今後サッカーを追いかけていく上で、自分の中のひとつのテーマになりそうです。

今日はこんなところで。

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中村僚(Ryo Editor)

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