箱根友達の住職さんの朝食レストラン
Vol.123
タイトルの通りなのだが、私の箱根のお友達に住職さんがいる。
実際は彼のお父様が住職さんなので、彼は副住職となる。
そのお友達の副住職さんが朝食だけのレストランを開いたということでお邪魔した。
毎月1日の朝粥の会で知った住職ごはんの美味しさ
箱根は宮ノ下という場所がある。
箱根湯本駅から登山電車にゆられれば20分弱ほどで到着する。
特に有名なのは、1878年に創業し、天皇陛下もご宿泊され、各国要人を迎えるとした富士屋ホテルというシンボリックなホテルがあることでも有名だ。
その富士屋ホテルからほぼ近くに常泉寺という禅宗のお寺があり、そこでは毎月1日に朝粥の会と称した精進料理を振舞ってくれる。
できるだけ1日を狙って箱根滞在したいところだが、なかなか暦の都合とうまく合わない。しかし合った時はできるだけ箱根の予定を優先的に入れたいと思う程に住職が作るごはんが美味しいのである。
私が参加したのは8月1日に行われる朝粥の会で、この日だけはカレーが振る舞われるという。いただいたカレーが本当に精進料理なのか? と思う程の美味。
圧倒的な旨味と深いコクがあったのだ。
これが精進料理? これがお寺でいただけるご飯???
私はその美味しさの衝撃から、すっかり住職ご飯のファンになってしまった。
お坊さんが作る精進料理のお店をオープン
というわけで副住職は折橋さんという。
やはり彼の作る精進料理の評判は瞬く間に広がり、そのリクエストに応えてくれたのか常泉寺のすぐそばに朝食のみのレストランを設立した。
その作り込みもすべて手作りで行われている。
早速予約して伺ってみた。
やっぱり折橋副住職のごはんは美味しいのだ。
これが精進料理なのかと思うと、精進料理とはかなりグルメだなと。
というのも野菜の特性をとことんまで生かして、最大限の美味しさを引き出し重ねるというもの。その野菜類もすべて箱根近くの小田原で採れたものだそうだ。
小田原野菜の美味しさはここ数年の箱根暮らしで知ったことなのだが、実に滋養味が高くて美味しい。
住職さんとの印象的な会話
私よりもかなり若いヤングな副住職さんであるが、やっぱり住職さんだなと思うことがある。
時々箱根で一緒にコーヒーをいただくのだが、私がある相談をした。その時の副住職さんの応えが素晴らしかったので記載しておきたい。
私「とても大事なもので壊れたものがあって、それがどこかで無くなってしまった場合、その代用も効かない場合は、新しくてそれよりもいいものを手に入れるか、それとも手頃なもので我慢するか」 という取り留めのない質問だった。
副住職「それがどこにあるかはわかってるんですか?」 と反問。
確かに。この場合はとても大事なものは壊れてしまったけど、「探そうと思えばあるような、そんな感じ。ただ修復は困難」という条件を私は追加した。
副住職「それが本当に大事であれば代替えは簡単ではない。だから壊れたものを破片でも探して金継ぎすればいい。そしたらもっと尊いものとなるでしょう」 とお答えくださった。
そう、お答えくださったのです!
目から鱗というか、金継ぎというワードが出てくる発想とお言葉。
私の相談事が解決したのと、新しい解決方法というような選択の幅までくださったような気持ちになったのだった。開眼。
繰り返すようですが、副住職さんは私よりも圧倒的に若い。
それでも彼との話が楽しいのは、こういう会話があるからだ。
時に住職さんと渋谷でランデブー
時々副住職さんは東京にいらっしゃる。
今回は渋谷に来るというので、ちょっと渋谷の街で会うことになった。
たいてい私が通うお店にお連れしたのだが、今までにない会話を楽しむことができるので、私にとってはとても素晴らしい時間を過ごせた。
さりとて説教というわけではなく、禅宗のお坊さんと、本願寺のお坊さんと、教会の牧師さんと一緒にお好み焼きを食べたとかそういう話だ。
でもかなりこの登場人物だけでも面白い。
そしてやはり副住職さんは「聖☆お兄さん」を全巻持っているという。
ウイスキーが好きな副住職さんなので、今度は箱根でじっくり飲みましょうと約束をして、渋谷出発で小田原行きの東海道線に乗せて解散。
世代を越え、職業を越えた付き合いは楽しいが、結びつけたのは美味しい食からであった。
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