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松浦大悟氏は同じLGBT当事者に糾弾されたのか、それとも松浦氏が嘘をついているのか?

2019年5月17日に、松浦大悟氏が明治大学鈴木賢教授に反論したツイートが大きな話題を呼んでいる。

当該のツイートはこちら。

松浦氏の主張によると、正月に鈴木賢教授のマンションで開かれたLGBT活動家による新年会に呼び出されて糾弾された、とのこと。

あまりにもセンセーショナルな内容のために、このツイートはあっという間に拡散された。

しかし、鈴木賢明大教授を始め、この新年会に参加した現在のLGBT人権活動をリードするトップランナーのみなさんは当日撮影された「笑顔の集合写真」を次々と公開して「あれは糾弾会ではなく和やかな新年会であり、松浦さんが嘘をついている」と口々に反論し始めました。

全く異なる見解がツイッター上に投じられている状態では、ツイッターを見ているだけでは困惑するしかありません。

そこで、問題の中心である松浦大悟さんに、どのような状況だったのか、そして疑問に感じたことをズバリ伺いました。


Q)最初に当日の経緯を教えてください。

松浦)今年の1月5日、AbemaTV『みのもんたのよるバズ』に出演させていただいた時のことです。打ち合わせが終わり自分の出番まで控室で待機していたところ、突然グッド・エイジング・エールズ代表の松中権氏から電話がかかってきて「今日、AbemaTVに出るんだって?」と聞かれました。たまたまどこかで情報を知って確認のためにかけてきたのだろうと思っていたら、出番の直前に2度目の電話がかかってきました。さすがにこの時は出ることができないまま、本番を終えました。用意されたホテルにチェックインすると、松中氏から3回目の着信。「いま明治大学の鈴木賢教授のマンションにみんなが集まっているのだけど来ない?」という誘いでした。「それって糾弾会じゃないの?」と私が何回も問うと、松中氏は「違います」の一点張りでした。

鈴木賢教授はこれまで「頭大丈夫?」など激しい言葉で私のツイッターに何回も絡んできていたので訝しく思いましたが、番組出演後の高揚感もあり、飲み会に参加することにしました。

案内された都内のタワーマンションにつくと、そこには、鈴木賢教授とそのパートナー、松中権氏(グッド・エージングエールズ代表)、杉山文野氏(東京レインボープライド共同代表)、山縣真矢氏(東京レインボープライド共同代表)、生島嗣氏(NPO法人ぷれいす東京代表)、現役小学校教師のシゲ先生こと鈴木茂義氏の7人がいました。

リビングルームの大型テレビには、さきほどのAbemaTVの静止画が映っていましたが、皆さん口々に「私たち番組を見てないのよ。何かね、途中で切れちゃったのよね。おかしいわよね」とニヤニヤしながらおっしゃっていました。

そして
「あれ? あなた着替えてきたの? あれは衣装だったの?」
と、番組で私が着ていたピンクと黒のボーダーのセーターについて興味津々に聞くのです。つい先ほどまでこの話題で盛り上がっていたのだろうなと想像がつきました。

私は「ザ・政治家」という格好は極力しないよう努めています。金に汚く、利権にまみれていると世間から思われている政治家は、小学生が成りたい将来の職業ランキングの常に下位です。これでは優秀な人材は政治に集まらず、ひいては国力を落とすことにもなる。出来るだけ身近に感じてもらえる
服装をすることは、従来の悪しき政治家イメージを払拭するための私なりのポリシーなのです。最近では若い政治家にそうした考え方が増えているのですが、元国会議員がセーターを着てテレビに登場する姿は、彼らにとってカルチャーショックだったのかもしれません。

最初は自己紹介をしながら談笑していたものの、やはり目的は私への糾弾だったようで、途中からは激しい言葉の飛び交う議論の応酬となりました。鈴木教授からは次のような趣旨の発言がありました。

1)あなたの「保守」の定義は間違っている。平沢勝栄は保守ではない。バカだ。保守という言葉を使うのをやめろ。
2)あなたは立憲主義の立場から解釈改憲での同性婚に反対というが、「立憲主義」の定義が間違っている。立憲主義という言葉を使うのをやめろ。
3)地方が都市よりもLGBTへの理解がないというのも間違っている。新宿区は一番頭が固い。札幌のほうが条例を作りやすかった。
4)「保守」や「国家」など、大文字で語るのをやめろ。「私はこう思う」と言え。

それを聞いて私は「これらの言葉を使うことが、よほど都合が悪いのだな」と心の中で苦笑いしました。

彼らが激高するのはある意味において当然なのです。なぜなら私は、LGBTへの左翼的アプローチを脱構築するためにあえてこうした言葉を使っているのですから。

私は鈴木教授に「糾弾されたからといって、大の大人が考えを変えるとでも思っているのですか?」ということを伝えました。

松中権氏には「松浦さんは発信力があるから注意してもらわないと」という旨のお願いをされました。

こうした場に呼び出して集団で確認・糾弾する権利も、確認・糾弾を受ける義務も法的には認められていません。LGBT人権運動をリードするみなさんが確認・糾弾行ったということになると、マイナスのイメージにしかならないことを、法律を専門にしている鈴木教授は十分にご存じだったのでしょう。帰り際には私を交えた「仲良しグループ」を印象付けるアリバイ写真を撮り、山縣氏が後日フェイスブックに掲載していました。

Q)昨年秋からTwitter上で鈴木賢明大教授は松浦さんのことを悪し様に罵り続けていました。たとえ番組直後の高揚感があったとはいえ、「糾弾会なのでは?」と訝しく思った新年会に、どうしてのこのこと行かれたのだろう? と疑問を抱えている人は少なくないと思います。参加しようと決められた理由をもっと詳しく教えてください。

松浦)みなさん誤解されているようですが、私はそのときまで鈴木さんとは面識がなかったんですよ。松中さんから何回も電話でお誘いを受けた時点で、たとえ彼が否定しようとも「糾弾するつもりだろうな」ということくらいは想像がつきました。でも、それが分かった上でも、「全く面識がないのに私をあそこまで激しく批判する鈴木さんはどんな人なのだろう。一度会ってみても悪くないな」と思ってしまったのです。そこで参加することを決めました。


Q)なるほど、鈴木賢明大教授に対する純粋な興味という部分が大きかったのですね。とはいえ、最後に撮影されたという笑顔の集合写真はあまりにインパクトが強すぎました。あの松浦さんの笑顔を見たら、とても糺弾された後だとは正直思えないです。普通に考えて、1対多数の状態で糾弾された直後にカメラに笑顔を見せられるとはとても考えられないのです。だから、あの写真を見て松浦さんは嘘をついている、と感じている人も少なくありません。松浦さんは一体何を考えて、あの時に満面の笑顔を見せたのでしょうか?

松浦)元アナウンサーで元政治家魂ゆえにカメラを向けられるとつい笑顔になってしまって(笑)。

というのは冗談ですが、私は一期とはいえ国政に関わらせていただきました。皆さんは想像されたこともないと思いますが、国政の現場ではこの日の糾弾などよりもっと大変な状況に身を置かざるをえない局面は無数にあります。そんな時に、たとえどんなに動揺していようとも、それがいちいち顔に出てしまうようでは政治家は務まりません。私も、政治家としての訓練を受けてきたので、あの時も気持ちを表に出さないで写真に収まりました。

もし私が、「糺弾されたことを後に告発してやろう」という気持ちがあったならば、カメラを向けられても決して笑顔は見せず、憮然とした表情を作ったと思います。

しかし、あの時の私は「この程度のコトで騒ぎ立てる必要もないか」と考えていたので、逆に「君たちが私にやったことは全く意味がないことだよ、と分からせてやろう」くらいの思いから、満面の笑顔で写ろうと考えました。

実際、この日のことを私から話題にしたことはありません。そんなつもりもなかったのです。

ところが、鈴木氏が私の発言を捻じ曲げて語っているので、それはさすがに許せないと思い公にすることにしました。問題のツイートは、鈴木氏への反論であって、私が一方的に「糾弾された」と主張したものではありません。

もし私が「糾弾された、酷い目にあった」と主張したかったのならば、もっと早い時期にツイートしていますよ。だって、今年の年明けに起きたことですから。(笑)

以上、松浦大悟さんに伺いました。

ちょっとやそっとで動じない腹の据わり方は、さすが与党(当時は民主党)での国政経験のある方だなあと感じました。
みなさんは、どのように感じられましたか?


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