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魅力的な作品にはいつも怖さがある 岩井俊二監督 「スワロウテイル」

お久しぶりです
今回は映画回です

カルチャーの奥深く、新文芸坐オールナイト上映に人生初めて行きました。
(池袋の大学出身で映画研究会に所属していたのですが、全く新文芸坐入ってなかったんですよね。。。)

行った理由は行かねばと前から思っていたのですが、たまたま池袋で用事があって終わったのが東口でした

久しぶりにせっかく来たし何か暇つぶしないかなと思いフラフラしてたら池袋の新文芸坐に辿り着きオールナイトの上映を知りました

しかし色々あってオールナイトの3作品中、1本目の作品は逃してしまい、2本目、3本目からの上映を観てその1本目が「スワロウテイル」という作品でした

1本目の上映時間を過ぎてしまってスタッフに
「まだチケット間に合いますか?」と聞いたところ、

「行けますよ〜、でも1本目は始まってるので途中入場は出来ません、2本目からでも同じ値段になっちゃいますね」とのこと

値段を見ると一般 2,800円。

2本で2,800円か〜。う〜ん悩む。。。
1本目観てないとなんか損した気にもなるし。。。

店員に一旦1本目の上映終わるまで外でご飯食べてきます
と言ってオールナイトで上映する作品のポスターの写真撮って博多ラーメンを食べに出かけました
 
そしてエレベーターで写真のフォルダを開いてポスターを見た瞬間、
これは観なくちゃダメだと思いました

スワロウテイル ポスター

カッコ良すぎる!

世界観もめちゃくちゃいい
ポスター一目で観るべき作品だとわかりました。
魅力的な作品にはいつも怪しさと怖さがあります。

そしてラーメンを食べた後、いそいそと映画を観に新文芸坐に戻り眠気覚ましのアイスコーヒーを買っていると1本目の上映を終えた映画マニアたちがぞろぞろと映画館からの階段を降りてきました

お前ら揃いも揃って映画マニアのようなボロボロの服を着て。。。
まぁ自分もだけども
と思いながら、次の映画の上映を待ちます。


そして映画が始まり、冒頭で流れるプロローグは以下

むかしむかし

円が世界で一番強かった頃

その町は移民たちであふれ
まるでいつかのゴールドラッシュのようだった

円を目当てに円を掘りに来る街
そんなこの街を移民たちは こう呼んだ

“円都〈イェンタウン〉”

でも日本人はこの名前を忌み嫌い
自分たちの街をそう呼ぶ移民たちを
“円盗〈イェンタウン〉”と呼んで蔑んだ

ちょっとややこしいけどイェンタウンというのは
この街と この街に群がる異邦人のこと
がんばって円を稼いで祖国に帰れば大金持ち
夢みたいな話だけど
何しろ ここは円の楽園 …イェンタウン

そしてこれは
イェンタウンに潜むイェンタウンたちの物語

映画冒頭のプロローグから

このプロローグが主人公のアゲハが読んでいるのがめちゃいいです

コンセプトは違法移民の増えた日本を高解像度で描いた作品で、作中ではスラム街の中で英語、日本語、中国語がミックスして飛び交います。
また映画冒頭も葬式から始まるのも良かったです。
線香のごとくご飯にタバコを刺す描写があるのですが、文化人類学的に葬式はこうなっちゃうよなぁ確かになぁという妙な納得感が面白いです

あとサイバーパンク映画なのに禿げた日本のサラリーマンとか警察官とか普通に出てきて世界観がめちゃめちゃいいです

それでも紙幣偽造があったりバンドがあったり、円都2世という言葉があったり、拷問があったり、スナイパーがいたり、阿片窟があったり、顔にペンキ塗った男がいたり、刺青があったりもうなんでもありです

YEN TOWN BANDというネーミングも最高です

また、最初の客の車をパンクさせて、修理代をもらったり、ガソリンを引き抜いてガソリンを売ったり、傘を修理して傘を売ったりゴキブリのように逞しく仕事を作っていく様がすごいです

自分の執着していた悩みがすごく小さく見えてきます。

全員が"こんな世界に誰がした?"という絶望と金への執着を持っていて、円都出身という抗えない制約の中で理想を追っていく彼らが最高です

日本のサイバーパンク映画No1ではないでしょうか。
こんな世界規模、壮大なスケールで描いた日本映画はなかなかないです。
戦後のバブルがそのまま継続していった2010年くらいな感じ

少なくとも個人的2023ベスト映画です
ぜひ観てみてください。

p.s.
あと出演陣も豪華です
あ、なんか知ってるぞっていう人の若い頃が結構出てきて面白いです

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