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「食事」をファシリテートする

親しい人やじっくり話してみたい人と一緒に食事に行くのが私は大好きです。
そういう状況になると自分から進んで店を選んで予約をしたりする傾向があるので、親しい友人の何人かは私のことを「隊長」と呼んでくれます。
食の場を探検する隊長、という意味みたいです。(笑)

私自身、美味しいものを食べに行くことは何よりの楽しみですが、それ以上に一緒に食事をとってくれる人が本当に美味しそうに食べているのをみたり、笑顔になったり、場合によっては感動したりするのをみる方が、より好きだったりします。
その意味で、私は「食事」にはこだわっていると思いますし、食事の場においては積極的にファシリテートをしにゆきます。

私の考える「食事」については、以下の別noteにも書かせていただきました。

端的に言えば、食事とはお腹を満たすだけのものではなく、その体験自体を味わう豊かな時間だと私は思っています。
だからこそ料理だけではなく、それを食するための全てについて、きめ細かく考えて最高に楽しめるものにするためにファシリテートが必要になります。

では、どんなことを考えながら、食事をファシリテートしているのか。
書き出してみますね。

行く前に決めること

食事をファシリテートすると行っても、お店に行く前から決めないといけないことは色々ありますね。

当たり前ですけれど、何をどこで食べるのか?
アレルギーがないか、食べられないものがないかを確認するのは当たり前として、何を食べたいのかも聞くだけは聞きます。
大抵の場合、「お任せしたい」って返事がくるんですけれど、その人が普段食べているものや味付けの好みがある程度わかる場合は、そこからお料理のジャンルを決めます。

何を食べるのかが決まると、次はどこで食べるか
仕事をした後のディナーの場合であれば、相手の職場と帰る方向の間の何処か、できれば中間地点あたりのロケーションを選び、最寄駅から300m〜500mのところ。それ以上距離がある場合は、最寄駅で待ち合わせして一緒にお店まで行くことにしています。

ここから先は知ってるお店を使うこともあれば、行ったことがないお店を食べログや一休.comなどで検索して探すこともあります。
評価よりも、店構えとか内装を写真で確認して、店を決めています。
雰囲気優先、ってことです。

そして、予約。
予約する時には、コースにするか、アラカルトにするかを決めます。

ここが一番迷うところかもしれません。
相手とどのように話したいのか、によって私の場合は変えていますね。

例えば、相手との会話をできるだけ沢山したい時には料理を選ぶために会話を止める必要がないコースを選びますし、まだよく知らない人であったりで間がもたないなと感じる時には敢えてアラカルトにして、相手と一緒に料理を選ぶことを会話に取り込むことで話のネタにしたり…なんてことをしています。

お互いにとって新ジャンルのお店に行く時も、アラカルトにして色々と試してみるみたいなことをしてるかもしれません。
その方が楽しめますし、会話も弾んだりもするので。

店に入ってから

できるだけ、相手よりも先にお店に入るようにしています。
特に初めての店の場合は、店の雰囲気の確認、場合によっては席を変えてもらったりして、会話を楽しむのに良い場所、静かな場所の確保に努めます。

そして、相手が到着するまでの間はメニューを眺めます。
アルコールの種類、アラカルトで行く時にはその店のおすすめが何かをザッとチェックしておきます。

相手が到着したら、基本は入り口から遠い側に座ってもらうようにしつつ、お店の雰囲気や景色の綺麗さなどを鑑み、他の顧客からの影響(声が聞こえたり、ぶつかったり)がないように自分は盾になれる位置に座ります。

相手が到着し着席したら、すぐ場所が分かったかとかを聞きながら、相手の呼吸が整って行くのを待ち、落ちついてきたかなと思ったあたりで、お店のことについてちょっとだけ話をします。
どうやって見つけたのか。
どうして、ここにしようと思ったのか。
…そんな話がアイスブレイクになりつつ、相手が食事の場に馴染んでゆく状態を作ってゆきます。

食事を楽しむ

私はそれほど沢山お酒を飲む人ではないのですが、相手がお酒が好きな場合は付き合って飲みようにしています。
お互いそれほど飲まない場合でも、一杯だけ最初に飲んでいるかなと思います。
なんというか、それがスイッチになったりするんですよね。普段とは異なる場になったんですよ、的な。で、一杯だけ飲んだら、あとはお水でも良いのです。

お酒を飲む場合は、お店の人に遠慮なく聞いちゃいます。お料理に合うお酒だったり、おすすめだったり。そこからも会話が起こります。
ウェイターさんが知識のある人だったり、ソムリエがいるお店だと、そこで出てきた話から相手との話に展開することがしばしばあります。
例えばワインで産地の話になった時に、その土地に関わるエピソードから思わぬ方向に話が進んでいったり…
思いがけない話が出てくるところが食事の楽しみでもあります…

アラカルトの場合や居酒屋さんの場合は、最初にまとめるか、とりあえず何品か頼むか、か、一品ずつにするか…
これは…入ってからここまでの相手とのやり取りの中で直感的に決めているのと、相手のお腹の状態(お腹減ってるのか、そうでもないのか)によって調整してます。

アラカルトであっても、コースであっても、如何にして雰囲気を固くせずに、柔らかく楽しくするのかを常に考えているかもしれません。
お料理もお酒も、そしてお店の雰囲気も、私にとっては食事における会話を楽しくするための手段です。

コースの時には、次の料理が来るであろうタイミングで会話の長さを調節しますし、予めウェイターと次の料理を出して良いと言う合図を決めておくこともあります。
そうしておくと、ウェイターがお料理の説明してくれるのをちゃんと聞くことができ、会話も食事も中途半端になってしまうようなことがなくなります。
お料理も美味しく、お話も美味しく、ですね。

チェックアウト

デザートや、〆のご飯とかが出たら、チェックアウトはスマートにしたいものです。
できるだけ自分は席を立たず、相手が席を立った瞬間にチェックをし会計は済ませておくとともに、もうしばらく席にいても良いかの了承をお店から取ります。
普通、ダメとは言いませんが、一言言っておくとお店の人が気を遣ってくれるようになります。

「美味しかったですね。お腹落ち着きました?」
食事を終えて帰る前に、席を立つ支度ができているかを確認します。
話が尽きないで長くなっちゃいそうな状態だなと思ったら、
「時間、そろそろ大丈夫ですか?」
と言うと、相手が気づいて、そろそろ行きましょうか、となるでしょう。

お店を出る時には、必ずお店へのお礼。
「すごく美味しかったです!いいお店ですね、また来ます!」
そうすると、お店の人が笑顔になってくれます。
その笑顔に送られて、気持ちよくその場を後にする…
食事のファシリテーションのクロージング、ですね。


こんなに色々考えていて自分自身が食事を楽しめるのか、と思われた方もいるかもしれませんね。
こう言うことを自然にやるのは大変なことかもしれません。
私の場合は、レストランでアルバイトした経験がこのようなこだわりを作ることに強く影響をしているかもしれません。

以前、私が学生時代にレストランでアルバイトしていた時のことをnoteに書かせていただいています。

おもてなしのための、目配り、気配り、心配り。
相手にとって心地の良い場が、質の高い関係性を作る土壌となり、そこで生まれる会話はとても豊かなものになってゆくことを、私は体験から理解しているのだと思います。

アルバイト中は、お店の中でお客さんが楽しそうに会話をしているのをみること、それを邪魔しないようにさりげなくお酒や料理をサーブして、さらにその場を楽しくできるように関わることは私の喜びでもありました。

食事のファシリテーション、と書きましたけれど、実はここまで書いてきたことって会議や対話の場でも同じではないかと私は思います。

準備の段階での下調べ、始める時のアイスブレイク、ネタを出すタイミング、会話を切り替えるタイミング、そしてクロージングは笑顔になるように…

ね?
そんな風になったら素敵だと思いませんか?

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