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コミュニケーション・プロトコールとは

会って話すしか方法がなかった原始時代から、道具や文字の発明、通信手段の発展に伴い、現代の私たちのコミュニケーションの仕方には実にたくさんの選択肢があります。
手紙、電話、eMail、チャット…などなど
これを読んでいるあなたは、それらをどのように使い分けているでしょうか?

自分ではなんとなく使い分けてるつもりでも、誰かとやり取りをしてる中で、
「そんな急ぎでもないことで、わざわざ電話してこないで、メールで頂戴よ」
とか
「チャットでそう言うこと言ってこないで、メールでちゃんと依頼してよ」
とか
言われたり、思ったりすることってありませんか?

プロトコール(Protcol)と言う言葉があります。
外交における儀礼とか礼儀作法という意味があります。
相手とのコミュニケーションを取る上で、このプロトコール(言わばコミュニケーション・プロトコール)が合意がなされていないと、中身を伝える以前に相手の気分を害して受け付けてもらえなかったり、後回しにされたりということが起こります。
とてももったいないことです。

手段ごとに、どんな使い方、使い分けがあり得て、望ましいのでしょうか?

電話

私が社会人になって最初の仕事は営業でした。
営業所にいると、自分の目の前には当時はまだ固定電話が置いてあって、それがなれば取るのが当たり前で取らないと仕事してないと顰蹙を買いました。

今は、固定電話を置いているオフィスの方が珍しいかもしれませんね。携帯電話やスマートフォンに直接かかってくるようになってるのが殆どだと思います。

そして、電話って鳴ったら無視せずにその場で取るのが基本。出られない時はその旨ショートメッセージしたり、留守番電話の設定をして折り返し電話をしているのではないでしょうか。
でも、電話を鳴らす側はこちらの状況は見えません。受け取る側は何か集中していたり、手を離せなかったりするかもしれません。そんな時には電話に出た相手が不機嫌だったりします。

最近は、電話をかけてくる前に、チャットやショートメッセージで、「話したいのだけれど、今電話しても大丈夫?」と聞くようになってくる人が増えてきていることもあり、何の予告もなしにいきなり電話が鳴るとテロのように感じてしまいます。
それが、何かの勧誘の電話だったりすると尚更、ですよね。

現代においては、電話は相手が話せる状態にあることがわかっている時(電話を待ってくれている時)か、そもなければ緊急で絶対に連絡を取らないといけない時に限ってかけてくるようにするのがコミュニケーションで相手との摩擦を作らないコツになってきていると思います。

メール

ビジネスパーソンは一日にどのくらいの量のメールをやり取りするかは調査によっていろいろな数字があるようです。
ポジションによっても量は違うと思いますが、平均ですと、受信が50〜70通、送信は15通〜20通なのだそうです。
私の場合だと、受信は毎日100通以上はあり、送信もその半分はありますね。これでも減ってきた方で、一時は受信は一日200〜300ありました。

手書きの社内文書を社内便の封筒に入れて送っていた昭和の頃と比べると便利にはなりましたけれど、その分だけ情報の行き来の量はものすごいことになっていますよね。
そんな中、メールのやり取りの中身を見ると…
・タイトルを見ても内容がよくわからない(re; re; re; ○○の件 みたいな)
・その状態で中身を見ると「ありがとうございました」だけだった
・意図がわからないcc、bccがある
みたいなことがよくあります。

メール読んでるだけでも時間取られるのに、次から次へと上記のようなメールがきてしまい、読むことに忙殺され、結局一日メールのやり取りしてたなんて日も出てきたりします。
挙げ句の果てには、重要なメールがどこに行ったのかわからない…(自分側でそうなることも相手側で見つからない…みたくなることもありますね)

現代ではメールは公式な記録と見做されることもありますので、みだりにたくさんやり取りするのが良いと私は思いません。
それよりも明瞭かつ簡潔なコミュニケーションを行った方が良いと考えます。
具体的には、ちゃんと内容を反映したタイトルにし、受信者はその情報を受け取るべき人に限定し、ccをつける場合には、その前後にccやbccに入れる意図をちゃんと共有しておくことが大事だと思います。

チャット

ビジネスチャットも21世紀に入ってからは徐々に定着してきましたね。
リモートワークの浸透で離れていても気軽に声をかけられる手段が必要だったところに、slackやteamsのようなグループウェアが出てきたことで、LINEやFacebook Messengerのような個人用のツールを使うことに慣れていた世代が広めていった感があります。
PCではなく、スマートフォンでやり取りできる気軽さ便利さも利用に拍車をかけてきていて、私などはメールよりもチャットでのやり取りが多くなっているかもしれません。

気軽に会話できるチャットですが、過去の発言ややり取りは流れていってしまって見つけるのが困難です。そんな中で、
「ほら、この間チャットで言ってたじゃない」
とか
「都合つかないからチャットでディスカションして決めようよ」
とか
何でもかんでもチャット、チャット万能、チャットは神、みたくなるのはちょっと危険かなと思います。

チャットは言ってみれば「立ち話」みたいなもので、フォーマルに何かを決めたり、コンセンサスを得るのはメールか、できればミーティングで行う方が納得感は高いでしょう。というのも、流れてゆく会話というのは、その状態をその時に見ている人ではないと話から置いて行かれてしまうものであり、理解にもタイムラグが出来てしまうからです。

もちろん、フォーマルな会議の前の意見集め(ウォームアップ)や、自分自身のアイディアをまとめるための壁打ちみたいな対話に使うのはアリだと思いますけれど。

対面

「ちゃんと会って話をしよう」
これはどうでしょう。内容と状況によりますよね。

なんでもかんでも「会って話さないと伝わった気がしない」とかいう人がときどき居ますけれど、それはその人のコミュニケーション能力の問題だよなぁ、と私は思います。
そのような人は、メールで伝えても読んでなくて(目を通すけれど読んでいない)、メールで書いたことをもう一回一から話すことになったりします。だったら、先に会ってその後に話した内容をメールで確認の意味で議事録で送った方が確実ですし、その人に合わせた有効な方法だと思います。

実際に会って話をするからには、それだけの理由が必要になってきているのが現代だと思います。会わないでもウェブ会議で顔を見ながら話はできるわけですし、わざわざお互いに時間をとって足労をとって会うわけですからそのコストに見合うものがコミュニケーションの成果としてあるべきと私は考えます。

それは、一緒に手を動かし何かを作り出す共同作業かもしれません。
拗れた関係性の修復のために、お互い会うためのコストを払うというのも立派な理由になるかと思います。
伝えたいと思う熱意、それはウェブ会議ではなかなか伝わりません。相手としっかりとアイコンタクトを取り、同じもの(問題やゴール)を見ることが必要な場面というのはどんなにテクノロジーが進んでも、人間同士のがコミュニケーションを取る上では無くならないと思います。

プロトコールについて話し合う

ここまで考えてきたように、せっかく便利なツールがあっても使い方によっては良好なコミュニケーションを破壊し混乱を招くことになってしまいます。
そうならないよう、コミュニケーションの作法、あるいはルールについて合意を作っておくことはとてもチームで仕事をする上において大きな意味があると私は思っています。

具体的には、部門会議などで一度話し合って、メールの使い方、チャットの使い方、電話の掛け方をルール化して試行(トライアル)し、その状態を1週間続けてから気づいたことや修正の必要なルールを直して部門におけるプロトコールとして設定するのです。
実際にこれができると、作業効率がかなり上がります。どうしてそうなるのかをヒアリングしてみて分かったのは、何に対して反応し何をすべきなのかが明確になると迷いがなくなるのですぐに作業ができること、そして集中力が上がるかららしいです。

また、プロトコールについて話し合うのは、新しく人を迎えた時や会った時にとても意味があるし重要だと思います。

初めて会ったとき、まだ相手の中にはこちらの印象ができていません。こういう時が肝心です。コミュニケーション・プロトコールのズレで印象を悪くされてしまったらマイナスのスタートになってしまいます。

メール、電話、チャットをどんな時にどのように使う人なのか。
どんな時にすぐ答えて、どんな時はすぐ答えないのか。
コンタクトをするときには、どのようにアプローチして欲しいのか。

相手のデフォルトをまず聞き、それに対して自分はこうなんだけれど、お互いの良好なコミュニケーションのためにはどのようなプロトコールにするのが良いのかを一緒に作ってゆくのです。
もちろん、部門に既にプロトコールがあるのであれば、それを紹介してそれに慣れてもらうようにすることもできるでしょう。
これは実は自己紹介なんかよりもよほど大事だったりします。

コミュニケーションは日々起きていますし、使う側も無意識になっていることの方が多いでしょう。その時の気分や利便性などであまり考えずに使っている人の方が多いのかもしれません。
でも、そこですれ違ってしまうのではなく、一緒のプロトコールを持とうという姿勢を示し、できるところから合わせてゆくことで、コミュニケーションの質はもっともっと上げることができるのではないかと私は思います。

お互い気持ちよく、仕事をしてゆくために、ですね。

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