通貨1

仮想通貨の真逆を行く、地域通貨に未来はあるか?〜Part1〜

みなさんお金って持ってますか?

多くの方はその所持数に関わらず、いくらかのお金を持っていると思います。

かくいう僕もお金を持っています。いまなんか762円も持っているのだから、大金持ちもいいところです。

今回のブログではそんなお金の未来にまつわる記事を書いていきます。

お金の未来というと、ユーロのような世界共通通貨であったり、新しい仮想通貨について書くように聞こえますが今回はその逆。地域通貨について書いていきます。

なんで?と思われるかもしれませんが、その理由は今回の記事のパート0に書いておくのでキチンんと予習してきてくださいね。

なぜ未来を見据えた上で地域通貨なのか、今回は地域通貨の基礎的な部分を語り合えたらと思います。


地域通貨の歴史


そもそも地域通貨とはなんでしょうか?

なんとなく、地域限定で使えるお金やフリーマーケットとかで交換するお金といったイメージがありますよね?

基本的には全て正しくて、「特定の地域で消費の促進や相互扶助を目的として流通する、コミュニテイ内で決済手段として利用される通貨」と言われています。

わかりやすく言えば、国が管轄しない通貨であり、カイジでいうペリカのようなものです。

ただ、地域通貨って呼ぶのにはそんなに厳格な決まりがあるわけでなく、地域の商店街の商品券やクーポンも地域通貨だし、発行元も行政であったりNPOだったりします。

地域通貨の発祥はドイツの経済学者シルビオ・ゲセルが提唱した「自由貨幣論」が元と言われてます。めちゃめちゃ簡単にいうと、

「お金の価値って全然変わらないよね?だったらみんなお金を使わず貯金しちゃって経済が停滞しちゃうじゃないか!だったらお金を持ち続けてると、お金の価値が下がってしまうようにしよう!」

といった主張で、日本でもマイナス金利がおんなじような考え方です。

「貯金してたら勝手にお金が減ってくなんてふざけんな!」
「そんなのうまく行くわけないだろ!」

そんな風に考えがちですが、実際に1930年代に世界恐慌に覆われた欧米の中で、オーストリアはこの自由貨幣の考えを試行錯誤しながら取り入れました。
発行したスタンプ札を地域内だけで循環させたことにより、経済の立ち直しに成功しました。

このような事例が欧米中に広まり、いろんなところで地域通貨が誕生していきます。

経済の復興によって政府から禁止される通貨も出てきましたが、スイスの地域通貨である「WIR」は政府からも合法と判断されており中小企業に優しい通貨として現在も運営されています。
※世界中の地域通貨の使用例や運営方法は次回くわしく書きます!

そんな歴史背景で生まれた地域通貨ですが、日本で流行り始めたのは1990年代後半から2000年代前半に最盛期を迎えます。

ブームの火付け役として、NHKで放送された「エンデの遺言」という番組が当時放送されたことがあり、この番組のおかげか、最盛期には3000もの地域通貨が日本全国に流通していたと言われています。

この地域通貨の効果で、地域内の助け合いや経済発展が見込まれましたが、現在も流通している地域通貨の数は300~800まで縮小したと言われています。

なぜ、日本中の願いが一身に込められた地域通貨が衰退していったのか。

地域通貨の性質を見ながら考えてみましょう。


地域通貨の性質


そもそも地域通貨といっても運営方法は多岐にわたります。

エデンの警鐘という本を参照すると、以下の通りです。

要点をまとめると

・お金の移動は紙幣だけでなく、電子カードや商品券などで行なう

・お金の価値はお互いで話し合うか、すでに決まっている(1時間1点など)

・流通範囲は地域だけでなく、メンバー内という括りもある

この3つを押さえてれば大丈夫でしょう。
くわしく知りたかったら、僕のツイッターに質問を送ってください。


さて、こんだけの違いあある地域通貨ですが、それ以外の点は共通しています。

① 限られたコミュニティの中で運用される

② 労働や日本円の対価として支給される

③ 運用するのにコストがかかる


特に①に関しては、これさえクリアしてれば地域通貨をなのっても良いんじゃないかと言えるレベルですね。

みなさんは3つの特徴をみてどう感じましたか?
おそらくこの段階で「なんて素晴らしいんだ!」「うちの自治体でも取り入れよう!」とはならなかったはずです。

不便!」この一言にすべての感情が込められているでしょう。

でもね。この不便極まりない、前時代的で暑苦しい地域通貨こそがあなたの生活を救う大切な存在になりうるからしばらく我慢してお付き合いください。


それでは一緒に考えてみましょう。
①限られたコミュニティの中で運用される。

地域通貨と聞くと、限られたコミュニティ=地域となりがちですが、必ずしもそうではありません。

地域通貨におけるコミュニティとは主に地域仲間。この2つに分けることができます。

特に仲間とはどういったことか。最近でいうと、7pay(諸事情により休止中)などを代表とする企業独自の支払い方法も地域通貨の一環と言えます。


これは日本円の使い道をひとつの企業へと絞って、その代わりに幾らかの恩恵を受けるといったものです。
古くはマルシェやフリーマーケットで使われていた手法ですね。
(例)1,000円支払ったら1,100円分の商品券と交換できるが、商品券を日本円に戻すことはできない

そのほかにも最近はオンライサロンなるものが大流行していますが、将来的にもオンラインサロン内でしか使えない通貨が誕生するでしょう。

なんでそんな不便なことをすると思いますか?
理解できないですよね。

しかし、実際に日本最大のオンラインサロン(約2万人)を運営するキングコング西野さんが体験されていた事例を見てみましょう。

(回想)
ある日、髪を切りたいと思った西野さん。美容院を探していた時にふと思ったそうです。『せっかくだからサロンのメンバーの美容院で髪を切りたいな』
(回想終わり)

なんでこんなことを考えたと思います?
僕が思うに商品自体の品質が他の商品と比べてもあまり変わらなくなってきたからだと思います。商品のクオリティが変わらないのであれば、商品にまつわるヒトやコトを重視したお買い物のスタイルに移行してきている一例だと感じました。

みなさんが、どうせ同じ商品なら少し遠いけど友達の店で買ってやるか!
と行動するのとおんなじです。

それを一定の人数を超えたら『俺たちだけの通貨を作ったらいいんじゃない?』となり新しい通貨が誕生します。

そうすると、その独自の通貨でやりとりできるお店が増えれば増えるほど通貨の意味は高まり、自由度は増えていきます。
しかし、独自の通貨の中で使用できる店舗が増えすぎるとどうなると思いますか?

『めちゃめちゃ便利になる!』

そう感じた人もいるでしょうが、正解は「崩壊する」です。

同じ地域内に同業他社がいくらかあっても地域通貨を使用する目的があれば積極的に使用できるお店を多くの人が使うでしょう。
品質が多少劣っていても応援する気持ちが強ければなおさらです。
しかし、使用できるお店が複数あればどうしましょう。


結局、品質で勝負する自由貨幣の世界に逆戻りしてしまい、地域通貨はただ使いづらいお金に成り下がってしまいます。

このように、同じ思いを持ったものどうしでお金を循環しあえるのが地域通貨の強みですが、その運用を間違えると一気に崩壊してしまう危うさと難しさが地域通貨にはあります。

ー追記ー
(仲間内での通貨には、個人や中小企業レベルだともはや大企業に対抗できないという事実も組み込まれています。
対抗できないならば、自分たちが生き残れる世界を自分たちで作ろう!という防衛の面もあり、より多くの人の生活を保障する大切な考え方です。)

② 労働や日本円の対価として支給される

地域通貨ってどうやったらもらえると思いますか?

さすがにタダというわけにはいきません。

基本的には、運営に対して日本円を支払い、値段に応じた地域通貨をもらう手法と、ボランティアをしてその対価を受け取る手法の2つが主流です。

日本円を支払う手法は、行政や商工会が取り扱っていることが多く、地域通貨の信頼を集めた日本円で担保するといった手法です。
これは使う側にとってはメリットが大きいですが、運営にとってはかなりしんどいです。

人員や管理コストもかかりますし、地域通貨に換金する際に少し上乗せして交換することが多いのですが、そうすると運営すればするほど赤字が出てくるので財務管理をしっかりしないと破綻する可能性があります。

何より地域通貨を使用する人どうしの交流も生みませんし、地域通貨の担保が地域の役場や商工会というのは少々不安ですよね。
(日本円の場合は日本銀行のお墨付きですから)

ではもう一つのボランティアをしてその対価を受け取るというのはどのようなことか、ストーリに合わせて解説していきますね。

とある町で町民が足を運びたくなるカフェを作ろうという意見が出ました。
しかし、カフェを作るのには2000万円ほどかかる上に運営費用もかさんでしまいます。
そこで、カフェを作るのに協力した人には働きに応じて地域で使えるお金を支払おう!ということになりました。
完成したカフェの運営もお金を支払うのでなく、地域で使える商品券を支払うことで、維持コストもかなり低いものになりました。
めでたしめでたし。

大まかに言えばこんな感じです。
共通したシンボルを作る際や日常的なお仕事を手伝いすると対価として地域通貨がもらえる。

その地域通貨も地域の中で使用されるので地域の経済が常に循環するのがこの手法のメリットです。

世界中でこの手法が使われていますが、もちろん問題点もあります。

シンボルができたらみんなやる気を失うのです。

外国で起こった事例で、みんなでコミュニティカフェを作り、そのマスターと楽器団のギャラを地域通貨で支払う予定でしたが、完成した途端みんな日常に戻ってしまったそうです。

地域全体で何かをするときにこの手法は大きな威力を生みますが、どのようにしてコミュニティ運営をするか、みんなが通貨を使いたいと思わせるかの設計をしないと早々に崩壊してしまう問題点があります。

最後に
③ 運用するのにコストがかかるです。

先ほど行政や商工会が運営するにはコストがかかると言いましたが、そのほかに初期費用のコストが存在します。

通貨というのは日本銀行が発行してくれるので何もしなければその費用を直接的に支払うことはありません。

しかし、どこかで地域通貨をやろう!となった時には使用するお金を作らないといけません。

限られた地域であっても何百人〜万人もの人が日常的に使用する貨幣を作る紙代やインク代はバカになりません。

中には通帳を作ってお互いのお金の移動を記帳しあうシステムもありますが、これも簡単に複製できるものであれば不正がまかり通るので最低限のクオリティが必要となるます。

この莫大な初期費用と運用コストを支払える見込みがあって初めて地域通貨の運用が始まります。

最近は電子カードやアプリによる地域通貨も台頭してきました。
持ち歩きやコストの低減が期待されていますが、高齢のかたへの周知や読み込み機の導入費が必要なためこちらもまだまだ課題がたくさんあります。


まとめ

以上のことから地域通貨についてまとめてみました!


地域通貨の良いところ

・経済圏に入ってしまえばある程度の顧客が見込める
・お金を通じてコミュニケーションが発生する
・地域や仲間内の特性によって独自の運営ができる

地域通貨の問題点

・使用できる範囲に限りがある
・通貨の価値を保障する機関が弱い
・運用するのにコストがかかる

現在の日本の経済からいうと、まだまだ問題点の方が強い気がしています。
しかし、仮想通貨のような新しい貨幣や、ユーロのような共通通貨が発生した時に独自の経済圏を作り自分の生活を保障してくれる機能も今後必要となってくるでしょう。

今回の記事では地域通貨の基本について学びましたが、次回からは実際に運用された成功例と失敗例を学んでいきます!
今後あなたにとって”日本円だけ”という選択が本当に正しいのか?地域を盛り上げるヒントがあるのではないのか?そんな疑問に答えるきっかけを見つけていきましょう!

【次回予告】
仮想通貨の真逆を行く、地域通貨に未来はあるか?〜Part2〜
・日本の地域通貨の実用例
 ー成功例
 ー失敗例
・世界の地域通貨の実用例
 ー成功例
 ー失敗例

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あとがき(おもろいんやで)

今回はお金にまつわるお話でしたね。冒頭に書いた通り、いまの僕はかなりの極貧状態にあります。

かといって生まれてこのかた貧乏だたわけではなく、大学2年生の初夏には70万円近くの貯金がありました。

それなりに良い時給をくれるアルバイト先だったので、当然ぼくの周りのバイト仲間もそれなりにお金を蓄えていたもんです。

そのせいか、毎回バイトが終わると最寄の居酒屋さんで飲みにいくのが恒例になってきました。

大学生の飲み会というのは楽しいもので、酒を飲んだ数だけ将来の人脈が増えるととある経営者がいっていました。(仲間内の飲み会でもそうなんかな?)

そうして着々と人脈を広げていったぼくでしたが、ある日、時間を気にするのを忘れており、終電を逃してしまいました。

当時のぼくならネットカフェやカラオケで過ごすお金くらいは持っていましたが、少しもったいないんですよね。寝るだけだから。

そんな折、一緒に飲んでいた当時の彼女である真那(仮名)が『いちごじウチん家泊まる?』といってくれたのです。

お!?これは、、そういうコトなのか???

まさかのお誘いに期待半分、冷静さ半分で真那ちゃんのお家に泊めてもらうことにしました。

周りに冷やかされながら彼女の家の方面の電車に乗り、今日のバイトの愚痴を言い合っていました。

コトン、コトン、、

(あぁ幸せだなぁ、、)キャk、サー…

コトン、コトン、、

(まるで夢のようだ、、)オキャクサーン

(あれ?)お客さーん!!

トンネルを抜けると初めましての駅、無慈悲な終電宣告。

スマホの画面には『起こすと悪いと思って笑』の文字。

その日、人生で初めて公園野宿を体験した蝉が鳴く夜。

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