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ゲーマー歴37年のダンジョン紀行#33『ダンジョンの最初の部屋には何がある?』


▼始めが肝心。

 2024年も早いもので、もう2ヶ月が経ちます。
 そんな折、ついに私コロナに罹りました。

 コロナ禍と呼ばれてから約四年が経った今、ついにです。幸いにも、症状は二日寝込む程度で、通常の風邪のように熱が引いて治まりました。しかし、我が家は奥様が呼吸器に不安があり、感染には細心の注意を払ったところでした。発症から10日間は家での隔離生活。そのせいか、書斎には入れず、何もせず2月が過ぎたような感覚です。恐ろしい。
 前回、「2024年は”形にする年”にします。『ダンジョンにまつわるボードゲームを作ります』」と公言したにも関わらず、全く進んでいないと言って過言ではありません。焦っています。ああ悔しい。最初の踏みだしの大切さが骨身に沁みる!

 と言うことで、スタートダッシュを失敗したダンジョン紀行の一塚です。本は最初の一ページ目が肝心ですし、映画も最初のワンシーンが重要。動画も最初の3秒で視聴が決められると言われますので、ダンジョンも最初の部屋が肝心かと思います。
 今回はこれまで様々なダンジョンを紹介して来たところで「ダンジョンの最初の部屋には何があるか?」を考えていきたいと思います。

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▼B99F: ダンジョンの最初の部屋を並べていく。

 前回と同様、これまでに紹介したダンジョン作品を中心に、各ジャンルに分けて見ていきたいと思います。

①TRPG編:はじめに

 ダンジョンと言えばD&D。もちろん、D&DだけでTRPGのダンジョンを語る訳にはいきませんが、D&Dを抜いて語る訳にもいかないですよね。
 そこで、今回はD&Dの基本となるスターターセットに収録された閉鎖的なダンジョンの3つを取りあげ、その最初の部屋を見て行こうと思います。
 ※ダンジョン内の説明の記述は、ダンジョンを確認した上で一塚が記述し直したものとなります。


 【盗賊の隠れ家】

1.地下室
 地上にある家は廃屋だが、台所の脇に下へ降りる階段がある。突き当りの扉を潜ると、地下室がさらに広がっていた。扉の左右には階段があり、踊り場を経て折り返して下る。つまり部屋の大部分は一段下にあり、9×12メートルはあろう縦長の部屋が広がっている。その中央にはなぜか人口の四角い泉があり、左右には樽がある。
 扉は三つ。入り口から右手の階段を降りると、途中の踊り場に一つ目の扉がある。もう一つは、泉の右側だ。最後の一つは泉の左側だが、隠し扉となっている。

画像右の扉が入って来た扉だ。©Wizards of the Coast



要素」
・三つの扉
・泉(貯水槽)
・樽

 扉があり、空間が仕切られている。扉なので知能のある生き物が潜んでいることが分かるし、鍵や罠などを仕込むことができる。上述のように隠し扉を仕込むこともできる。扉の先に何者かいるか探ったり、反対に突然向こうから何者かが表れる可能性もあるだろう。自然洞窟のようなただの別れ道とはこの辺りが違うと言えるだろう。
 また泉はよく見ると貯水槽である。人工物であり、水の状態によって、ここを利用している者の有無が確認できる。実は、この貯水槽の底には防水袋で宝物が隠されていたり、探索する為の要素が盛り込まれている。
 壁際に並べられた樽には食料が入っている。食料によって、同じ種族か、あるいは生活感から、ここに潜む者の想像を掻き立てることもできているだろう。


 【ゴブリンが占拠した廃城】

1.城の玄関
 大門は腐食し崩れている。大門の前は地上から一段上がっていて、一度左右に伸びた階段を登って門に辿り着く。

画像左側から侵入。②へ続く。©Wizards of the Coast



「要素」
・腐食した大門
・見張りがいない


 入る為に労力は必要がないことがわかる大門。しかし、ゴブリン達がいるはずなのに静かだと言う疑問が沸くかどうかが試される。そう、注意をして進まなかった場合、門を挟む尖塔の窓から矢を射かけて来るのだ。
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2.罠の仕掛けられた広間
 注意して進んだ場合、正面にも左にも右にも通路が伸びている。それぞれの通路には行き当たりと途中に扉があり、合計6つの扉があった。

「要素」
・六つもの扉
・罠


 左右にはゴブリンが見張っている監視部屋がそれぞれある。注意して進まなかった場合、この狭い通路はゴブリンが押し寄せる大変な戦場へと変わるだろう。また、正面の通路には罠が仕掛けられている。足元から天井に伸びた見えない線があり、引っかかると天井が崩落してくる。ゴブリンの手先で作られているため、”注意さえしていれば”見つけることも解除することも容易な罠だ。


 【波音の洞窟】

1.洞窟の入り口
 情報を集める事で辿り着く、山脈の麓に隠された洞窟。
 入り口は、まず中央に一本の天然柱があり、三本の石筍がある。左手には三組の寝具とたくさんの日用品、保存食の類から、ランタンやつるはしまでがある。そして、それらの合間に一体のドワーフの鉱夫の死体もある。
 東側は床が崩落し、3メートルほどの幅で、6メートルほどの深さの穴になっている。近くの石筍にロープが結び付けられ、穴の下に続いている。その先には、北西と東に通路が掘られている。

画像左下から入ってくる。部屋の左のどん詰まりにドワーフの死体があるのだろう。©Wizards of the Coast



「要素」
・日用品とドワーフの死体
・柱と石筍
・穴とロープ
・穴の底の掘られた通路


 真っ先に目を引かれるのはドワーフの死体だろう。彼について調べることで、ここに何を求めて来たのか、あるいはそれ以外の危険があるのか、気を引き締めて進まなければならないことを心に誓うだろう。また、この死体が身に着けている装備品は特殊なもので、拝借してしまうかどうかモラルが問われることとなる。
 天然洞窟のダンジョンではあるものの、人の手が加わった様子が見て取れる穴とロープは、この先が天然の要塞であることを伺わせるだろう。
 そして、二股に分かれている通路は、どちらに進んで良いか分からないし、暗がりを抜けて行くことで、脳裏にドワーフの死体がチラつく。無残な姿になってしまったその元凶といつ鉢合わせるのか、そう思わせる巧みな要素になっているだろう。


 TRPG編:総括

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