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ゲーマー歴37年のダンジョン紀行#28 『ダンジョン小説小史考①』

▼B87F:ダンジョン小説はいまや定番?

 『ダンジョン小説』と聞いた時、皆様はどのような作品を思い出されるでしょうか? ”ダンジョン”と言う単語をゲーマーの皆様が聞くと、ゲームのダンジョンをモチーフとした作品を思い出されるのではないでしょうか?
 2023年のいまや様々な角度から描かれる作品がありますが、ある程度遡ってみれば、そこにはドラゴンクエストやファイナルファンタジーに端を発した、【戦闘】や【レベル】などの概念を共通認識とした作品を目にするかと思います。

 そこで、ダンジョン紀行では『ダンジョン小説』の『小史』を編んでみたいと思います。(※小史:『簡単な歴史。略史。』の意味。)

 もちろん、私一人で膨大な文章を精査することは難しく、全ての作品を全て読んで、一人で把握するような段階ではすでにないことを理解しております。ゆえに、条件を考えながら、少しずつ進めておりました。

 と言うことで、今回は”なろう系”の本場であり、WEB小説と言えばはずすことのできない存在となった『小説家になろう』を舞台とし、検索条件を設定した上での調査となります。それでも、十分に興味深い内容になったかと思います。
 ゲーム好きの皆様にも、小説好きの皆様にも楽しんで頂けたら幸いです。

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▼B88F:検索内容と集計内容。

【概略】

 まずWEBサイト「小説家になろう」は、2004.4/2に開始された小説投稿・閲覧に特化した総合サービスのWEBサイトです。
 当時は小説発表の総合サイトはほぼなく、個人がホームページを借りて各々が発表する、個人サイトが乱立する時代でした。(私自身、2000年~個人サイトを開設しています)
 「小説家になろう」はそんな世に、WEB小説を総合的に一覧・検索できるよう始まったサイトです。

 それでは、ダンジョン小説を検索していく条件を決めていきます。

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・設定1「キーワード」

 今回の調査では、サイトの検索機能にて、「ダンジョン」と言うキーワードを設定して検索していきます。
 先に所感を申し上げると、この検索で引っ掛からない作品にも、ダンジョンが見受けられる作品は多くありました。例えば、下記で登場する「とんでもスキルで異世界放浪飯」はダンジョン検索に引っ掛かっていません。しかし、ダンジョンが登場する話が存在しています。
 しかし、検索の内部構造が分からないため、機械的な検索漏れの可能性か、あるいは作者による設定漏れなのか判別はつきません。そのため今回は暫定として、キーワード検索で対象となった作品を「ダンジョン小説」とします。

・設定2「年代設定」

 2004.4/2にサービス開始されたことから、2004.4/1~検索することが可能です。日本の”年度”と言う区切りがぴったりなので、4/1~翌3/31毎に年度別に検索をしてみます。
 また、検索項目には「初回掲載日」と「最新部分掲載日」と別々に日付をして検索をすることができますが、初回掲載日のみを対象とします。
 上記の上で、一年度毎に検索し、掲載数や内容を確認しました。

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 それでは、以上で検索して何を記録したか。

・記録1「発表作品数」

 一つは「発表作品数」です。キーワード「ダンジョン」にて引っかかった作品の総数を年度毎に記録しました。
 また、年度毎の「総発表作品数」も記録し、「ダンジョン作品/総発表作品数」も比較参照することがdけいます。

・記録2「総合ポイント」

 また「小説家になろう」には機能として「総合ポイント」と言う数値があり、これは「評価ポイント+ブクマ数×2」と言う数字になっています。
 これが作品の良し悪しとは言いませんが、「小説家になろう」の一つの基準であることには変わりありません。年度毎に調べた際、その年度内で一位を獲得している作品を、「ダンジョン作品」「総発表作品」それぞれに記録しておきます。(調査日2023.9月5日の数値)
 これによって、2023年の視点からですが「小説家になろう」内でトレンドになった作品が見えると考えたからです。

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 以上を踏まえて記録したのがこちらの表になります。
 

「小説家になろう」集計結果一覧

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▼B89F:ダンジョン小説小史「小説家になろう編」

1、作品発表数におけるダンジョン小説の割合と推移。

 推移を振り返っていきますと、2004年度~2009年度までの初めの6年間はダンジョン作品数は一桁であり、総合ポイントを鑑みても主流には箸にも棒にも掛からぬ分野でした。
 一つ飛びぬけたのは、2011年度の作品「Re:Monster」でしょうか。前年2009年度からダンジョン小説発表数が二桁に乗り、また小説家になろう全体でも1万作品、2万作品、3万作品と右肩あがりで増えている時期に発表されています。年度別に見て、総合ポイント最高作品(ダンジョン)の中では書籍化・漫画化等されている作品として一番の古株と言えるでしょう。
 ちなみに「Re:Monster」をかいつまんで拝見したところ、ゴブリンに転生した主人公がモンスターの力を駆使して無双する物語です。ゴブリンがダンジョンにおける最弱種族とみなされるのは、ファイナルファンタジーが下地になっていそうですね。

「小説家になろう」発表数比較

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