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ゲーマー歴37年のダンジョン紀行#27 『ダンジョン体験と感情』

▼B84F:”ダンジョン探索は面白い!”……本当か?

 「ダンジョン探索は面白い!」
 ……と、一緒に声を挙げてくださる皆様こんにちは。ダンジョン紀行です。

 しかし、ダンジョンを振り返ると「危険な地帯を進み」「鞄の中や体力に不安を感じながら」「難問を迫られ」「苦しみを超える」など……
『あれ? 何が楽しいのだろう』
 ツッコミを入れざるを得ない内容だったりします。

 もちろん、ゲーマーほど「難問」に心躍るのは言うまでもないかもしれません。それが楽しいと思うからこそ、今、この記事を読んでくださっているのだと思います。
 しかし、皆そうであるとは限りません。
 また、困難全てが楽しいと言う訳ではありません。

 そこで今回は、いままでの人生の中で記憶に強いダンジョン体験を振り返りながら「ダンジョン体験と付随した感情」を言語化していきたいと思います。

 「個人の感想に寄らない公平なコラム」を心掛けていますが、当ダンジョン紀行も三年目に入った今、「ダンジョンにまつわる精神性」や「潜るプレイヤーの感情」に向き合う必要がわかってきたところです。
 なぜならば、ダンジョンの要素として”報酬”があり、その”報酬”として、喜びや達成感、あるいは人の助けになることや、人からの感謝をもらうことなど、”感情の報酬”があるためです。
 そして、個人の感情を嘘偽りなくハッキリと調査できるのは――そう、私自身の感情しかありません。当記事は恐れ多くも私個人の感情に寄り添いながら、ダンジョン体験における感情について書かせて頂きました。これから綴るのはあくまでも私個人の感想です。共感して頂ける部分があるのであれば幸いですが、異なる感想を抱く方も多いでしょう。
 だからこそ、一人一人違う感情を抱くものとして、皆様もご自身の感想と照らし合わせながら、ダンジョンを通して様々な感情が抱かれることに思い馳せて頂ければ幸いです。

 ※本文では”感情に由来する単語”を太字でピックアップしてまいります。

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▼B85F:初めてのダンジョン、ドラゴンクエストⅢ「ナジミの塔」

 父親の影響で0歳よりゲームに触れておりました。しかしながら、RPGは「文字」や「数字」が分からないとプレイができないため、ドラゴンクエストの初体験までに3年の月日が必要でした。

 そうして3歳にして挑んだ人生初のダンジョンが、ドラゴンクエストⅢ「ナジミの塔」でした。
 ここは最初の町から見える離れ小島に立っており、入り口は少し離れた森の中にひっそりとあります。それに気付くことすら大変なことでしたが、その先へ進むことはさらに困難でした。

 3歳では、ひらがなや足し算引き算を理解したかどうかと言った程度。まさしくゲームを通して「文字」や「数字」を覚えたと言って過言ではありません。地上のスライムやおおがらすと戦うのがやっとのこと。武器や防具の装備は父に教えてもらいながら、覚えたての計算に苦戦しながら、スライムやおおがらすを一匹、また一匹と倒していくのがとっても嬉しかったことを覚えています。しかし、街から離れるほど減るHPに、言葉にすることができないほどの強い不安を感じたのを覚えています。
 そんな状態で入った地下洞窟では、おおがらすを凌駕する力のおおありくい。僧侶を的確に殴ってくるフロッガー。見るからに異形のいっかくうさぎ。『来る所を間違えてしまったのではないか』と思いながら、何度もやられ、投げ出したのは一度ならずありました。

 しかし、それでも戦闘を繰り返すことでレベルがあがり、技を覚え、「やくそうで回復する」「ホイミで回復する」などを理解していき、初めて地下を抜けた際はどれだけホッとしたものか。
 そこまで来れば頂上へ行くのも一息です。始めの薄暗い地下道と比べれば同じことの延長線上にあり、比較すれば容易いものでした。慣れた大変さに対して期待感が上回っていたのでしょう。そうして到達した頂上で、老人から盗賊の鍵を受け取った時、いかに高揚したでしょうか。果てに到達した喜びは、3歳の私に今後の人生に代えがたい経験を与えたのでした。
 帰り道、同じ道のりを戻らねばならないと気づき、一瞬眩暈がしましたが、無事に街へ帰りついた時の安心感は言いようもない達成感です。

 戻ってきて気付くのは、一回り成長した自分でしょう。
 ダンジョンでは、ゲーム内の要素がいくつも織り込まれており、「やって欲しいこと」が詰め込まれています。アトラクションとも呼べる場所でした。何かができるようになる、と言うのは、自身の成長として嬉しいのは言うまでもありません。

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