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イベントレポート:採用に携わるエンジニア向け勉強会vol.2『エントリーされる求人票の書き方』

こんにちは!ワミィ株式会社 伊藤 和歌子です。エンジニア採用を強化したい企業に対して採用コンサルティングサービスを提供したり、Wamii Mentorsというエンジニア専門のキャリアメンタリングサービスをしています。

採用に携わるエンジニア向け勉強会、大好評頂いた第一回目に引き続き、第二弾を開催しました。人事が意外と見落としがちで、しかしエントリーの有無を大きく左右してしまう求人票のポイントについて、株式会社キャスターCOO石倉さんと一緒に、お話しました。                            そのイベントレポートを公開します!

【イベント概要:本イベントは5月19日(水)にオンラインで実施】

まずは、求人票の役割を正しく理解することが大切

求人票は採用活動において、絶対に書かなければならないものであり、求職者への最初のアプローチとなります。この会社で働きたい、という意欲を呼び起こし、そして応募するという行動を促すためには、求職者の知りたい情報が確実に載せられていること、応募できるかどうかの基準が明確に示されていることが大切です。これらの情報が不十分だったり不明確だったりすると、求職者は不安を感じ、当然エントリーは少なくなります。

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求人票に載せるべき「求職者が本当に知りたい情報」とは何なのか?

求職者が、応募を決める前に知りたいのは、自分がどんな環境で働くことになるのか、その職場で何が求められるのか、そこで働くことは今後の自分の市場価値にどのような影響を与えるのか、といった情報です。        ここで忘れてはいけないのが、チーム構成に関する情報です。自分がどのようなチームで働くことになるのかは、実は求職者がとても気になる点です。ところが、この点は見落とされがちで、チーム構成について書かれていない求人票が多く見られます。メンバーは何人いるのか、上司はどうなのか等の情報も求職者は求めています。
最近であれば、リモートワークの実施状況を知りたいという求職者が多いので、働き方の現状を明確に示すことも大切です。自分の会社はフルリモートを行っていないので書きたくない、という会社も時々ありますが、求職者の不安を取り除くという求人票の目的を考えるなら、ありのままの実態を書く方がエントリーされやすい求人票と言えるでしょう。

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「エンジニアの求職者が本当に知りたい情報」とは何なのか?

エンジニア向けの求人票は、上記の情報に加えて、エンジニアが仕事内容を明確にイメージするための情報が必要になります。どの言語を使い、開発手法は何なのか、エンジニア目線に立ち、必要な情報を漏れなく記す必要があります。

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エンジニア募集で表記ミスは致命的!

わかりやすい、ということが求人票で最も大切な事です。「当社の理念に共感して頂ける方」というような、会ってみないとわからない定性条件だけではなく、定量条件を記載することが求められます。また、特に気を付けなければいけないのは、専門用語の表記ミスをしないということです。エンジニアの求人においてIT用語の表記ミスは致命的です。エンジニアに関する理解のない職場とみなされ、エントリーは難しくなるでしょう。

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求人票に書くべきは応募要件であり、採用要件を書いてはいけない

応募要件をやたらと羅列している求人票は、求職者を尻込みさせてしまいます。まずは面接に漕ぎつける、という求人票本来の目的を逸してしまいます。
応募要件とは、「会う、会わない」の判断に必要な基準であり、「採用するかどうか」の基準ではありません。求人票に書くべきなのは、その応募要件です。
自分の会社の応募要件が、望ましい人物像を盛り込みすぎてスーパーマンを求ム!になっていないかどうか、確認してみましょう。

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必須要件と歓迎要件をきちんと分けているか?

必須要件とは、応募してもらうための最低要件のことで、応募要件になります。必須要件が多くなればエントリーできる層が小さくなるので注意が必要です。
歓迎要件は、その仕事を行う上で持っていると望ましいスキルや経験であり、有れば書く、特になければ書く必要はありません。

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給与レンジは分けて書きましょう

年収500万~1000万円。求人票にこのような表記を見た時、求職者は、この職場で自分がもらう給料はいくらになると推測するでしょうか?
年収条件を低く書きたくないという思いから、年収設定の幅を大きく設定している求人票が時々見られます。しかし、求職者が不安なく応募できるようにする、という求人票の目的から鑑みると、これは逆効果です。年収500万円と年収1000万円の人では、求められるスキルも立場も違います。求められているのは何なのかが不明確であれば、エントリーは難しいでしょう。年収条件は、給与レンジごとに分けて書きましょう。

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次は、このままお手本にできるような、良い求人票の例です!

実例で見る良い求人票【その1】

インフラエンジニア(AWS)の求人票です。                 【良い点】
①冒頭に、インフラエンジニアが知りたいと思う情報、気にするポイントが書かれている。                           →「ユーザー数90万人、法人導入数3,100社」等               →インフラエンジニアに対する理解のある会社だという印象
プロダクトの方向性がはっきり書かれている。            →「拡張性と柔軟性の高い開発を行うためにマイクロサービス化を進めている」など。
③ 利用技術が詳細に書かれている。                  →実際に使用しているツールやアーキテクチャに関する情報がかなり細かく書かれている。                           →人事と現場との協力関係が見える。                      
解決すべき課題が明確に書かれている。                 →「言語学習という言わばITの未開拓分野で、エンジニアリングを通じて、社会的インパクトの大きい課題解決にチャレンジ」など。               →エンジニアにとって、その会社に解決すべきどんな課題があるのかは、最も気になるところ。課題を具体的に書くことが最大の魅力アピールになる。
⑤ 必須要件が簡潔に書かれている。                     →Webシステムにおけるインフラの設計、AWSを用いたインフラ設計など。→定量的な条件が書かれており、わかりやすい。
⑥ 歓迎要件が具体的に書かれている。             →100pv/sec以上の高トラフィックサービスのインフラ運用経験、など。  →仕事内容が具体的にイメージでき、求職者が不安なく応募できる。
⑦ 年収条件の幅が広すぎず、現実的な数字で書かれている。       →「年収:4,203,840円〜6,501,720円」               →400万~1000万円などど幅の広い数字ではなく、自分の年収がいくらになるのか予想しやすい。                        →数字が端数まで書かれているので、信頼性がある。

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実例で見る良い求人票【その2】

開発エンジニアの求人票です。                   【良い点】                                 ①求人タイトルが具体的に書かれている。                       →【Rails/フルリモート】Forkwell を運営する grooves がWorkTechプラットフォーム「Crowd Agent」の開発エンジニアを募集!          →仕事内容がイメージしやすい。                                 ②仕事内容が具体的に書かれている。              →Crowd Agentの開発、運用において、「Rails wayに則った適切な方法」や「Pull Requestを通じて多くのリモートメンバーとベストな実装方法について議論する」などかなり詳細に書かれている。
ワークスタイルについて明確に書いてある。             →全員フルリモートである、タスクの見積もりは開発メンバーが行い、ビジネスサイドから降りてくるわけではないなど。                             ④チームの様子の記述が具体的である。                      →「息を吸うようにテストを書いている」などメンバーの人柄、チームの雰囲気が伝わってくる。                        →自分に似た要素がある、と思った人は応募しやすくなる一方で、雰囲気に合わないと思った人にとっても事前に判断する材料になる。
必須要件がシンプルに絞り込まれている。              →「必須要件は3つだけ」とかなり厳選している。「Ruby on Railsを用いたアプリケーションのチーム開発経験がある」など具体的。
⑥開発環境が明確に記載されている。                 →コード品質向上のための取り組み、アジャイル実践状況などが具体的。 →人事と現場の協力関係が見られる。                 ⑦面接でも聞きづらいような労働環境の詳細が書かれている。      →仕事中、イヤホンの装着が許容されている、希望者には定価 6 万円以上のオフィスチェアが支給される等。                    →応募を躊躇させる不安要素が払拭される。

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参加者からのQ&A

【質問1】 応募要件と採用要件のギャップが大きいと、面接で不合格になった場合に不合格理由を説明するのが難しくなり、会社の印象が悪くなる心配はないですか?

A. 書類の段階で判断できることと、会わなければ判断できないことは違うので、応募要件と採用要件は必ずギャップがあります。面接をしてみたものの採用要件と合わずに不採用にするというのは、当然あるケースです。そこを問題視されることはほとんどないでしょう。おそらく、問題になるとしたら、不採用の理由を応募者にフィードバックできていなかった、という点だと思われます。これは、面接官の技能、評価項目の設定が適正になされていない、面接方法が確立されていないなどの原因が考えられます。評価項目をきちんと設定せず、面接官の感覚に任せてしまっていると、エージェント及び応募者へのフィードバックは難しくなるでしょう。

【質問2】 正社員募集と業務委託募集は、求人票を分けたほうがよいのでしょうか?

A.絶対に分けた方がいいです。さらに、同じ正社員、業務委託の中でも募集条件に違いがあれば、それも分けたほうがいいです。
例えば、一つの求人票の中に「正社員、契約社員、業務委託募集」とあれば、「誰でもいいのか?」というマイナスイメージを与えることになってしまいますので、気を付けましょう。

【質問3】歓迎要件は無理に書かなくても良いということでしたが、逆に書くことによる効果は何があるのでしょうか?

A.歓迎要件は、会社側の意思表示の場ととらえましょう。「こういう条件の方がいれば、当社は喉から手が出るほど欲しいんです!」というようなアピールの場です。

【質問4】現在その業務に従事しているエンジニアがおらず、求人票の内容を詳しく書くのが難しい場合はどのように考えたら良いでしょうか?

A.単刀直入に言うならば、そのような場合は、外部の専門家に依頼するのが良策と言えます。何故なら、その業務を行うにあたってどんな技術や経験が必要なのかは、往々にしてその専門の人でなければ、判断は難しいものです。求人票の作成のみならず、採用計画、面接や評価といった採用に至るまでのプロセスを外部に頼むのが、会社の求めるエンジニアを採用する近道と言えるでしょう。

【質問5】経験年数の表記があったほうがよいのではないでしょうか?

A.経験年数の表記は、応募の最低ラインを示す場合に、必要であれば記載しするようにしましょう。
(例)チームでのWebアプリ開発経験が1年以上の方→初心者を省くことができる。

【質問6】初めてネットサービスの開発を始めるためにエンジニアを募集する場合、エンジニアに興味をもってもらうのに大事なことはどういった点でしょうか?

A. 初めてネットサービスの開発を始める、ということは「一緒に新規事業を立ち上げましょう!」というようなアプローチになります。
その事業に興味を持ってもらうこと、理念に共感してもらうことが必要です。知り合いに紹介してもらうなど、信頼関係を築きやすい方法で探すのもいいかもしれません。

【質問7】 採用サイトとしての写真などで何か注意することありますか?

A.採用サイトで重要なのは、宣伝ではなくコンバージョン率を上げることです。凝ったデザインよりも、応募に必要な正確な情報が載っているか、わかりやすいか、が大切です。また、正確な情報、とういう点で気を付けたいのが、各媒体に載せている求人票と採用サイトの情報が常に一致していなければなりません。Notion等を使用して、社内で運用しやすい環境をつくるもの大切です。

・・・                                 以上、採用に携わるエンジニア向け勉強会第二回目のイベントレポートです。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

次回は、6月23日に第三弾として「内定辞退率を下げる方法」をテーマに勉強会を実施します!

またレポートを公開しますのでお楽しみに!!                     


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