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一日のピークを寝る前ということにして、一日の最後は、最後らしいラストソングを選んで、それを聴きながら静かに眠りにつくことにしようかなと思った

 NHK「おげんさんのサブスク堂」を観た。星野源さんと松重豊さんが好きな音楽を語る番組である。
 星野さんが音楽に詳しいのはミュージシャンなので、当然として、役者の松重豊さんがすごく詳しいのに驚いた。サブスクのおすすめに出てくるのを聴いているらしい。
 この記事は、音楽の話ではなく、ゲストの所ジョージさんの話。所さんは夕食までには必ず仕事を終わらせて帰るのだという。
 夕食がその日のピーク、いちばん好きな時間だから。
 夕食というのは、夕食を食べているときだけを指すのではない。奥さんが夕食を作るすがたを見る、その音を聞くことから始まっている。何だったら、家に向かって家路を急ぐ。そのとき、よその家の夕食の匂いが漂ってくる。そこから始まっている。
 素敵な考え方だ。昔の子供はそうだったような気がする(いまの子供は知らない)。
 所さんは、あの年までおそらく子供の感受性を忘れずに生きてきたのだろう。
 夕食までに仕事を終わらせて帰る。
 それすらままならぬ家庭がたくさんあるのだ。
 私は、夕食はほぼ毎日、妻くんといっしょに食べているが、そんなことを考えたことはなかった。
 帰宅を急いでいるとき、そもそも近所から夕食の匂いなんてしてこない。コンビニしか目に入らない(コンビニに寄るという意味ではない)
 夕食が、一日のピークなんて考えたこともない。いや、というか、夕食後からが自分の仕事の始まりなのだ。
 ものを書いているとき、たいてい音楽をかけている。かけてはいるが、聴いてはいない。
 寝るまでジェフ・ミルズやベン・シムズなどのハードテクノのミックスCDを聴いて、きりきりとテンションを上げていることさえあるのだ。
 私も一日のピークを寝る前ということにして、一日の最後は、最後らしいラストソングを選んで、それを聴きながら静かに眠りにつくことにしようかなと思った。

 ちなみにこれを書いた日のラストソングはこれだ。

 細野晴臣「悲しみのラッキースター〜Vu Ja De ver.〜」


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