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大河ドラマ「どうする家康」第14回雑感 ~戦国時代越前ガニを食べることが出来たか~

織田信長、明智光秀、柴田勝家、木下藤吉郎、徳川家康など豪華メンバーが勢ぞろいした、越前金ヶ崎のかにパーティーは、大盛り上がり。

大量に積み上げられた越前ガニ。
エビカニすくいの余興で、強面社長信長、重役たちもご満悦。
まるでどこかのブラック企業の忘年会のノリ。

まあ、越前蟹は、言わずと知れた福井県の一大高級グルメ食材。
大いに宣伝になったことでしょう。

そもそも論だが、戦国時代あれだけ大量の越前ガニは存在したのか?

カニとは言っても浅瀬で取れるワタリガニとは違う。
越前ガニ、ベニズワイガニは深さ100~200m以上の深海に生息している。

この時代の漁業技術でそのような深海生物を果たして捕獲できるものなのか?

また、運良く水揚げしたとしても、当時は冷蔵、冷凍の技術はないので、保存しておくことが出来ない。
保存がきかないので、水揚げ地から離れた地域に輸送することも出来ない。
魚や貝であれば干物にでき、鯖なら酢でしめることもできるが、カニではこれは出来ない。

若狭から京までは「鯖街道」が古くから知られ(本格的に流通路として整備されるのは近世になってから)、京へ鯖以外にも様々な貴重な海の食材が送られた。
越前ガニは運ばれていたかどうかは言うまでもないだろう。

若狭、越前の地元の漁師たちは、比較的容易に取れて高値で売れる魚を捕っていたであろう。

では、どんな魚が高値で売れるのかと言えば、当然美味くて、珍しく希少価値がある、保存がきく、即ち京などの魚が捕れない遠方地域へ運べて売ることができる魚が商品価値が高いと言えるだろう。

高値で売れる魚が比較的容易に捕れるのに、高度な漁業技術を要するカニ漁をわざわざする物好きな漁師はいないだろう。
従って、当時は、ご当地越前でも越前ガニはほとんど見かけなかった、食することも稀だったのではないかと思う。
かにを食べたという記録にはいくつかあるようだが、果たしてそれがベニズワイガニを指すのか、越前にいるただの蟹を指すのか不明だし、いずれにしても日常的な話ではないだろう。

越前ガニ漁が本格化し、広くカニが流通するのは、漁業技術、冷蔵冷凍の保存技術、そして運搬の技術か発達した近代になってからである。

今回ドラマでは、越前ガニではなく、若狭の鯖を取りあげた方が良かった。

若狭を攻略し若狭湾の鯖をも平らげた信長は、浅井長政の裏切りに遭い、鯖街道(若狭街道)を通って退却するのを即断即決するという方が面白いと。

鯖は足が早い(鮮度が落ちるのが早い、腐りやすいの意)
阿月のかけ足は速いが、信長の逃げ足には及ばない。
しめ鯖好きな私個人の感想である。

大河ドラマ「どうする家康」第14回から
巨大な蟹を使った宴会芸もお手の物。


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