お菓子コーナーにて、とんでもない扉を開いてしまったかもしれない日
今日、オムツを買いに娘と一緒に薬局へ行った。
お目当てのオムツを手に取り、ついでに牛乳も取って、はいオッケーです、レジ行きましょ、とレジに行こうとすると、娘が小声で言った。
「おかしほしい……」
出た。
しかしモーマンタイ、無問題。
平日は保育園で過ごしているから土日くらいはね、ということで娘が食べたいと言うものは基本的に買うようにしている。
それで、「おかし」という時はたいてい大好きなじゃがりこを指しているので、
「じゃがりこ買う?」
と言うと、
「ちがうのがいい」と。
じゃあどれにする?ってことでお菓子コーナーへ行った私たち。
アンパンマングミやラムネ、コアラのマーチなど、陳列棚にずらーっと並ぶお菓子たちを前に、娘はじっとしたまま動かなかった。
試しに、上段にある、娘の視界には入っていないであろうポッキーを見せて「ポッキーもあるよ、ポッキーにする?」と聞いてみたけれど「ちがう」らしい。
少しして、「ケーキ屋さんでケーキ買ってママと半分こする?(私が食べたいんだけど)」と、絶対食いつくだろうと思った提案も却下。
どうしてもこの中から選びたいらしい。
ひとつのお菓子を手に取ろうとしてはやめ、手に取ったかと思うとまた戻す。
なかなか決められない。
そんな娘を見て、似てるな、と思った。
私に。
私も間食用のおやつはいつも同じものを買って、たまにこうして突如「違うのも試してみようかな」と思いつく。
だけど「コレ!」というアテもなく、あれもこれもよく見えてきて、ひとつに絞れなくて。
買いたいお菓子を決めかねている娘に、自分が重なって見えた。
で、私はこういうとき「もう、これでいいじゃん」と急かされるのが心底いやなので。
娘に対しても、私からは何も言わずに、とことん悩んでもらうことにした。
長かった。ただ後ろで見守るのは、すごく長く感じた。だけど、
途中他のお客さんがお菓子コーナーに近づいてくると、私が言わなくともささーと避ける姿に、ああ、ちゃんと周りも見えているのだなと感心したり、
娘の目には、このお菓子たちがどういうふうに写ってるんだろう?とか、
やっぱりアンパンマンのパッケージのものが気になるんだなぁとか、
観察するのも楽しかったりして。
で、気づいたら20分くらい経過していて。
一旦声をかけた。
「トトちゃんが好きなもの選んでいいんだからね。どれを選んでもママ買うからね」
私がそう言うと娘は、少し間をおいて、アンパンマングミを手に取ったのだった。
と思ったら元の場所に戻して(こういうところも私そっくり)、別の商品を手に取り、「これにする」と言って、ついに決断した。
先ほどまで見せていた真剣な表情からは一変、その商品を手にした娘は終始ニコニコ。
家に着き、「やったね!自分で選んだお菓子買えたね!」と私が言うと、娘から、
「うん!ぺろぺろきゃんでぃー!!」
と返ってきた。
チョコです。
「トトちゃん、それチョコだよ」
思わず突っ込むと、
「ちがう!ぺろぺろきゃんでぃ!!」
と、何度か「それはチョコです」ってことを伝えたけれど、娘は断固としてペロペロキャンディ説を信じて疑わなかった。
食べた後も、なぜかずっとペロペロキャンディって言ってたけれど。
あなたがおいしいおいしいと喜んでいるのなら、母はもう何も言うまい。
それにしても、今日のこの出来事を夫に話していて気づいてしまった。
今までトッピング程度の量しか食べたことのない娘が、こんなに大々的なチョコレート菓子を、それはそれはおいしそ〜うに食べたということは。
彼女は今日、覚えてしまったのだ、チョコレートの味を。
依存性の高い、甘いあま〜い、チョコレートの味を。
もしかして私は、とんでもない扉を開いてしまったのではなかろうか……。
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