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<BACK NUMBER>第93回 苦手克服研究所 憲法「教科書検定」

みなさん、こんにちは。
 
伊藤塾講師の藤田です。
 
それでは、今回も一問一答をやっていきましょう。
 
今回取り扱うテーマは、
憲法の「教科書検定」です。
 
 
題材としては、「令和元年度 問題6 肢2」を扱っていきます。
 
 
まず、「令和元年度 問題6 肢2」を以下に示します。
 
 
肢2 教科書検定による不合格処分は、発表前の審査によって一般図書としての発行を制限するため、表現の自由の事前抑制に該当するが、思想内容の禁止が目的ではないから、検閲には当たらず、憲法21条2項前段の規定に違反するものではない。
 
 
 
……
 
 
 
いかがでしょうか?
 
 
 
結論からいうと、本問は誤りです。
 
 
以下、解説していきます。
 
 
本問は、第1次家永教科書訴訟(最判平5.3.16)についての知識を問う問題です。
上記判例は、まず、「不合格図書をそのまま一般図書として発行し、教師、児童、生徒を含む国民一般にこれを発表すること、すなわち思想の自由市場に登場させることは、何ら妨げられるところはない」として、教科書検定による不合格処分が事前抑制に該当しないと判断しました。

また、「憲法21条2項にいう検閲とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的とし、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを特質として備えるものを指すと解すべきである。」とした上で、本件検定について、「一般図書としての発行を何ら妨げるものではなく、発表禁止目的や発表前の審査などの特質がないから、検閲に当たらず、憲法21条2項前段の規定に違反するものではない」としました。

要するに、教科書として発表できなくても、一般図書としては発表できるでしょ、だから事前抑制にも検閲にもあたらないよ、ということです。

このように、裁判所は、教科書検定について、事前抑制にも検閲にもあたらない旨、判示しました。
よって、本問は誤りです。

答えだけではなく、「なぜ」誤りなのか、その理由についても、ポイントだけでよいので押さえておけるとよいですね。
 
 
今後も、試験合格に役立つ知識をお伝えしていく
予定ですので、日々の勉強の息抜きに
ご活用ください。