The Lost King~失われし王ルイ=シャルル第一部(9)追跡
Ⅸ. 追跡 ド・バッツの決断が下されたのが、極めて差し迫った時点であったのは明白である。
政府の要員中、少年の逃亡を知らされていた者がどれだけいたのかは正確にはわからないが、少なくともバラスとフーシェは事態を把握し、後者が極めて困難な捜索を行なっていたのは確かである。ド・バッツの読み通り、公共の安全【註1】という名目の下に放たれた密偵たちが、捜索対象である少年の正体を告げられていたとは考え難い。恐らく彼らは、偽のルイ十七世を擁立する王党派の陰謀があると説明され、黄色い髪と