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翻訳古典小説無料版

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#海賊

海賊ブラッド外伝~枢機卿の身代金(1)

 ローマ・カトリックの信仰で生まれ育ったキャプテン・ブラッドは、己が法の埒外で生きる身となってからも自らを旧教徒と見なす事をやめなかった。そのような彼がプロテスタントの闘士を助けた罪によりイングランドを追放された事、そしてスペイン軍からは火刑に処してしかるべき異端者と見なされている事はなんとも痛ましい皮肉であるのだが。  ある日の事、個人的な良心の呵責を理由にして、少しばかりの涜聖行為に目を瞑れば実現可能な容易かつ莫大な略奪計画に背を向けたキャプテン・ブラッドは、フランス人

海賊ブラッド外伝~枢機卿の身代金(2)

 全ての顛末を語り終えたウォーカーが口を閉じても、聞き手達は興奮と感慨によってしばし言葉もなかった。  ようやく吠えるような声で沈黙を破ったのはウォルヴァーストンだった。「カスティリャ野郎の悪どいやり口なんざ慣れっこのつもりだったが、こりゃガチで胸糞の悪い話だな。そのキャプテン・ジェネラル(司令官)にゃ船底くぐり[^1]をやらせたらいいんだ」 「なるたけじっくりと火炙りにしてやりたいね」イブレビルが言った。「そうでもしなきゃ、新キリスト教徒[^2]の豚は喰えないだろう」

海賊ブラッド外伝~枢機卿の身代金(4)

 キャプテン・ブラッドの所業である、新スペインの大司教枢機卿に対する言語道断かつ罰当たりな狼藉についてのドン・ヒエロニモの報告によって、キャプテン・ジェネラル(司令官)ドン・ルイスは驚きと狼狽、そして恐れによる憤慨で一杯になったが、しかしその話の結びである己に対する召喚とその理由に駆り立てられて、今や閣下はほとんど超人的な活動に追われる事となった。彼がその召喚に応じるまでには四時間を要したのであるが、ようやくドン・ルイスがやって来た時には、既に普通のスペイン人が普通の状況で行