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アジア日記#03 【 底の見えない孤独さえも楽しんでしまおう。だって、旅だもん。 】


バンコク2日目。
ホテルを後にしたわたしは、宿に着いた。

なんだろう。

入った瞬間、
「何かが違う。」そう感じた。

わたしは土地や場所、人が持つエネルギーに少し敏感。第六感がほんの少しだけ鋭い、そう言えるかもしれない。

ゲストハウスの人はすごく丁寧だし、宿泊者も自由にくつろいでて、落ち着いた空間であるのは確か。

だけど、何かが合わない。なんだろう。

日本人のお友達を作りたくてこの宿にしたのに、なんでだろう。

自らから話しかけようとさえ思えない。いつもなら自分から積極的に話しかけるのに。

なんでだろう。

ドミトリーはわたし以外、誰もいない。残り7個のベッドは静かに、綺麗なまま。

「独り占め」
そう言ってしまえばそうだ。

けど、わたしは

「 ひ と り ぼ っ ち 。」

確かにそう感じていた。

いつもならポジティブに物事を捉えられるのに、なぜだか今はプラスに考えることができない。

19:30 外はもう暗い。

誰か気の合う人とお話をしたくて、フラフラと街を歩く。

誰かひとりでご飯を食べている旅人はいないだろうか。そして、仲間に入れてくれないだろうか。

見つからない。一向にお一人様が見つからない。

お腹なんて空いてない。言ってしまえば、お腹はいっぱいだ。ただただ、誰かとテーブルを囲む温かい時間がほしい。

みんな誰かと楽しそうに互いの時間を楽しんでいる。やけにカップルが目に移る。彼女の背中をさする彼氏。手を繋いで歩く2人。隣同士に座り、お酒に酔いしれる2人。

寂しさに包まれた自分を嘆きながらとぼとぼ歩いていると、客引きに捕まった。

「とりあえずメニュー見て!」そう言われ、お一人様の観光客の目の前に座らされた。

私がメニューを見てると、その彼は「席移動してもいい?」って言って移動しちゃった。

彼は、ただ一人の時間を過ごしたかっただけなのかもしれない。でもね、その小さな行動だけでもすごく傷付いちゃうわたしがいるの。

お腹なんて空いてないわたしはメニューをパラパラと見る振りをして、その店を後にした。

お昼に来てすごく気に入った小さなレストランへ。

「また来たよ!」と手を振ると、お父さんが笑顔を見せてくれた。このお店のお父さんにすごく癒される。

お腹なんて全く空いてないのに、自分の居場所を確保するだけの為にまたここへ。

大好きなタイ料理がここまで進まないとは...。

あ、今カップルがわざわざ私の目の前で立ち止まってハグした。すごく愛を感じる温かいハグだ。

とても素敵だけど、なんでよりによって私の目の前で。

...。

自分の感情がよく分からなくて、上手く説明できなくて。

お友達に連絡して話を聞いてもらった。
人って聞いてもらうだけですごく楽になる。

辛い時にはね、ただそこにいてくれるだけでいいの。何も言わなくたっていいの。

「誰かがそこにいてくれる。」
ただただ、それだけで心が救われるの。

入り混じった感情が溶けて涙に変わり、目からとめどなく溢れる。

ぎゅうぎゅうに膨れたを胃を無視して、口にご飯を運ぶ。

昨日まではこんな形で旅を迎えるとは1ミリも想像できなかった。

でもね、これも含めて「旅」なの。

悩んで、泣いて、笑って。

今はホームシックにも似たような不安定な感覚だけど、とりあえずこの感情も楽しんでみる。

だって、旅だもん。



た す く。

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